国立がん研究センターなどの研究班は19日、がん患者の10年生存率を公表した。甲状腺がんや乳がんは80%を超えるが、膵臓(すいぞう)がんは5%を切り、がんの発生部位によって大きな差があることがわかった。がん全体では約58%だった。全国規模で10年生存率を調べたのは初めて。
全国がんセンター協議会(全がん協)に加盟するうち16施設で、1999年から2002年までに診断・治療を受けた3万5287例を追跡調査した。がん以外の原因による死亡の影響は補正した。
甲状腺がんの10年生存率が90.9%と最も高く、前立腺がん、乳がんや子宮体がん、子宮頸(けい)がんも70%以上だった。一方で食道がん、胆のう・胆道がん、肝臓がんの10年生存率は30%を切った。特に膵臓がんは4.9%と低かった。
胃がんや大腸がんは、最初の5年間は生存率が下がるが、その後ほぼ横ばいとなる。5年目以降はほとんど再発しないとみられる。だが肝臓がんや乳がんは5年を過ぎても下がり続け、再発リスクが高いことがわかった。「これらのがんは長期にフォローアップし、再発をチェックする必要がある」と猿木信裕・群馬県衛生環境研究所長は話す。
今回調査した人が治療を受けたのは約15年前。がんセンターの堀田知光理事長は「がん治療は進歩しており、今、治療を受けた人の10年生存率はさらに高まる」と話す。
がんの病期(進行度)ごとの生存率や、各施設における主ながんの生存率、その施設が進行がんをどの程度診療しているかなど、詳しい結果は20日から全がん協のホームページで公開する。
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