こういう話をすると意外そうな顔をされることが多いのだけど、家で自主的に専ら聴くのは西~北アフリカや東南~中東アジアの音楽、新旧ヒップホップ、ソウル、ファンク、R&B、1930年代付近のフォーク、ブルーズの発掘音源、あるいはブラームスからバルトークあたりの室内楽とかなわけで、さらに中古レコ屋に行って買うのは、ムード・インストとか知育モノとか相撲関係の100円200円レコ。で、たまーに無性に昔のヴァン・ヘイレンやAC/DCを爆音で聴くとか、定期的にルー・リードとアーサー・ラッセルとクラウス・ノミを愛でるとか。
でも、恐らく今、私の生活を明るく照らしてくれる優れた音楽家たちもまた、そうした破天荒な……いや、というよりも、要するには意識的に生意気になってみながらシームレスに縦軸と横軸とを循環させるようなリスニング生活を送っているのではないか、で、そこからギュウと何かをひねり出すように自身の作品作りへとぶっとくフォーカスさせていっているのではないか、とふと共振を実感したりするのです。
だって、2015年、好きで好きでたまらない、もう一回聴くよ、まだまだ聴くよ、という感じでドープに接してきた作品は、全て、私自身のこうした意識的で生意気になってみながらシームレスに循環させるような音楽生活とちゃんとどこかで符合しているように聴こえたから。そういう作品が2015年も両手両足の指の数じゃ全然足りないという事実! 「洋楽だけで100枚くらい聴いたが凶作状態が長く続いてる」とお嘆きの方もいるようだが、冗談じゃないよ、送り手が体張ってひねり出した作品に不感症になってる場合かっての!
というわけで、2015年も笑ってしまうほどたくさんの素敵な出会いがあったわけですが、今回は海外のソロ・アーティスト、ソロ・プロジェクト、シンガー・ソングライター……一人でやっている人で、なんらかの形で歌と言葉の持つ可能性と格闘している作家に限定して選びました。
ケンドリック・ラマーもドニー・トランペットも大好き。今でもガンガン家でかけている。でも、思い切り想像力を働かせてごらん、今回ここにあげたこれらの音楽家たちの作品は、それらと接点が薄いようで、実際はそれらと同じように、意識的で生意気になってシームレスにひねり出された尊くも愛おしいものだと思うのです。Be liberal !!!
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