【社説】北の核とイランの核、米中が同等に扱っていれば…

 米国と欧州連合(EU)は16日、核兵器開発を進めていたイランに対してこれまで実施してきた経済制裁を解除した。国際社会から制裁を受けていたキューバも米国との国交正常化を受け、経済封鎖解除に向けた手続きを踏んでいる。その結果、国際社会から継続して制裁を受ける国は今や北朝鮮だけとなった。

 北朝鮮はイランと違って核実験を4回行い、また「天が崩れ落ちても核兵器は放棄しない」と公言して憲法にまで核兵器保有を明記した。北朝鮮はイランとは異なり、3代世襲体制を維持することが国の存在理由であり、核兵器はその体制維持のための手段という特殊な事情がある。しかも北朝鮮ではイランのように選挙で政権交代が実現することもあり得ない。これらはどれもイランと北朝鮮との決定的な違いといえるだろう。

 しかし国際社会、とりわけ米国と中国はイランと北朝鮮のそれぞれの核問題に対して異なった態度を取った。これも二つの核問題で異なった結果がもたらされた大きな原因だ。イランによる核開発疑惑が取り沙汰されると、国連安保理は4回にわたり経済制裁を決議し、米国とEUは独自の制裁を行うための法律まで制定して圧力を加えた。これら一連の制裁は北朝鮮に対するものと比べて、その内容も厳しさも格段に違っていた。例えば米国はイランと取引を行う第3国の企業にまで制裁を加える「セカンダリーボイコット」を実施したが、北朝鮮に対してはこれを適用しなかった。またイランは石油の輸出によって経済を維持していることから、イラン産石油の禁輸によってイランを締め上げた。もし制裁が効果を発揮しなければ、軍事行動に移ることもにじませていた。これらは北朝鮮に対して取られたことのない制裁措置だ。

 北朝鮮に対してイラン同様の制裁をできないようにしているのは中国だ。イランと同じような形で制裁を行った場合、北朝鮮の体制そのものが崩壊することを中国は懸念している。米国はこのような態度を取り続ける中国と政治的、経済的に正面から対立する決意も意志もない。それは米国の国益を考えたときに、得るものよりも失うものの方が大きいと考えているからだ。しかしもし米国が北朝鮮の核問題をイランと同じく自分たちにとって直接の脅威と考えたなら、その対応は今とは違っていただろう。

 今後も北朝鮮問題の対応に当たって中国が体制の維持を最優先に掲げ、また米国が引き続き中国にばかり責任を押し付けるのであれば、近く国連が新たに行う北朝鮮制裁は再びさほど大きな影響力のないもので終わるだろう。われわれはこのような現実をまずはしっかりと認識しなければならない。

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