台湾で武藤拉麺を経営しているデグです。
マーケティングっぽいネタについて書きます。
台湾・台北で開業した武藤拉麺は1年と4ヶ月経ちました。
その間、周りでは多くの飲食店が潰れていきどうして、ぼくは生き残れたのか?と考えた時に、日本人の海外起業成功のヒントが見えた気がしました。
台湾・台北市内の激戦区はどこか?
海外起業成功のヒントの前に台湾・台北市内にどんな商圏があるかを簡単に紹介します。
日本人の多く住む台北駅の北側周辺の「中山區」
まず台北駅の北側エリアを中心に多くの日本人が住んでいます。
駐在員向けの高級マンションや、日本人経営の居酒屋も多く存在。
日本人向けの店や高級料理店が多く競争が激しいエリアです。
また日本人向けの歓楽街「林森北路」があるのもここです。
このエリアにくると、全く安く食事することができず日本か?と思うほどです。
この辺りは日系企業チェーン店がひしめくというよりは、日本人経営のオシャレ・高級な店が多いです。
江戸前寿司を経営する日本人がいるのもこのエリア。
あとは個人経営のフランス料理屋などもあります。
現地の人より裕福な、駐在員が行くような店が沢山ある場所ですね。
台北のオシャレエリア「東區」
続いて台北駅から東側に向かっていくと「東区」というエリア、中国語で「東區」です。
ここは、台湾人の25〜40歳ぐらいまでの人が多く行き交うオシャレエリアとして認知されています。
ユニクロ、ZARA、H&M、などなど、ファッションブランドもここに集結しデパートも数多いです。
当然、日系の飲食店チェーン店も多く、日本食・洋食・中華・飲茶・なんでもあります。
特に土日はかなり多くの人がこのエリアに遊びに来るため激戦区となっています。
また、台湾でラーメンブームが起きたときには、このエリアに10軒近くのラーメンが集中したほどです。(たくさん潰れたけど)
あとはこのエリアはカフェも非常に多く、台北のカフェブームもこのエリアか始まりました。
そんなハイソな感じのエリアです。
運良く(?)激戦区を避けられた武藤拉麺がある「內湖區」
こんな中山區,東區と2大商圏から大きく離れた場所が「內湖區」
ここに武藤拉麺があります。
大きな川を挟んでいるためこのエリアに行くためには、車で橋を渡るか、MRTという地下鉄に乗る必要があります。
こういった距離感から、商圏が分断されており、おかげで周りに日系のラーメン屋が進出してくることもありません。
ここが1つのポイント。
大手の日系飲食企業が進出してこないエリアということです。
おそらくですが、日系の飲食店がチェーン店進出しようとするときは膨大なコストがかかります。
そのため、宣伝効果の高い繁華街エリアを選択せざるを得ないことや、マイナー区を選ばなくても集客できるブランド力があるため、繁華街を中心に出店するのものだと思われます。
1年で13軒の店が潰れた激戦区「江南街」
そんな內湖區に武藤拉麺はあります。
内湖區には飲食店街が数多くあり、その中の「江南街」という場所に武藤拉麺があります。
この飲食店ストリート「江南街」には30近くの飲食店があり、昼ごはんを食べるサラリーマン、夜はファミリー層、など多くの人が行き交う飲食街となっています。
当然、競争も激しく武藤拉麺がオープンした2014年9月以降、この江南街で潰れた店は13店以上です。
開店して2ヶ月しか営業しなかったような、よくわからない店を含めればもっと多くの店が潰れており、まさに激戦中の激戦区です。
武藤拉麺が生き残れた理由は「ラーメン」と「日本人経営」
そんな激戦区ですが、武藤拉麺は一定の支持を得ており、存続できています。
自分なりにこの理由を考えたのですが、ラーメンの味のみで生き残ってこれたとは思えませんでした。
やはり、台湾人経営の店しかない飲食店街で「日本人」が店を開き、日本食としては寿司に次いで有名な「ラーメン」を提供していることが最大のセールスポイントになっていると思えます。
もちろんラーメンには自信がありますが、うちより美味しい日系企業ラーメン屋が繁華街の中で潰れていったのを見ていると、味だけでは生き残れません。
いかに競争しないか?が重要だということです。
現地人の店で溢れかえっている飲食店街なので、競争しているといえばしているんですが、「ラーメン」「日本人経営」この2点において武藤拉麺は全く他店と競争していません。
これが激戦区の中でも差別化がされ、支持を得られた理由でないかと考えています。
海外での起業・出店を成功させる方法は?
今回の話をまとめます。
海外での飲食店起業・出店を成功させるには、「競争しないこと」「現地人にとっての激戦区」「誰もが知る日本食」この3点をおさえるべきです。
競争しないこと
自分が出店するエリアに同業者がいないこと。
日本人経営者がいないこと、この2つです。
なんでこんなところに日本人が店を出したの?そんな場所が最高だと思います。
現地人にとっての激戦区
上記のように競争を避けることを意識しすぎて、市場がないところにいってしまうのでは本末転倒です。
なので、現地人の店で溢れかえっており、かつある程度の知名度がある飲食店街エリアを探すべきです。
そうすれば集客という点で困ることはありません。
もちろん、そのエリアに日本人が経営している店がないこと。
できれば自分が出そうとしている料理を出している店すらないことがベストです。
誰もが知る日本食を出す
3つ目はこれ。
何の料理を出すかは重要です。
台北には日本人経営の個人店が多くありますが、ぼくが知る限り長く経営できているのは寿司屋か居酒屋です。
出している料理から明らかに日本を連想できるほうが、味よりも大事である、とすらぼくは思います。
ぼくはラーメン屋をトンカツ屋に切り替えて大赤字を出した経験からこれを痛感してます。(これはまた別の機会に詳しく)
もし、日本を連想しにくい料理をだすのであれば、最低限日本人であるアピール、できればキャラを立てたり、ご当地料理を出すのがいいのではないでしょうか?
例えば・・・・「日本人母ちゃんが作った日本の家庭料理」「日本の本場の味、名古屋味噌カツ」など。
こういった、外国人視点から行ってみたい、食べてみたいと思わせるプロモーションが必要です。
以上、【「競争してはいけない」1年で13軒の店が潰れる場所で武藤拉麺が生き残った理由】です。
いかがでしょうか?
「自分の強みを理解して、市場のあるところに、差別化できる商品を提供する」というマーケティングの基本ですが、こういった基本を押さえて出店することは大事だと実感しています。
決して日本人ばかりがいる(日系企業がある)地区に、同じような飲食店を出すことのないようにしましょう。