【コラム】韓国のスポーツ選手に人権はないのか

 しかし、警察はすでに一度「前科」がある。警察は昨年7月、男子プロバスケットボールリーグのチョン・チャンジン釜山KT監督に対し、八百長疑惑で逮捕状を請求した。現役監督が八百長に関与したという話は、スポーツ界全体を揺るがす一大事だ。ところが、警察は大声で騒ぎ立てていた捜査序盤とは違い、容疑を裏付ける証拠を見つけられなかった。結局、検察は証拠不十分を理由に警察が請求した逮捕状を差し戻した。

 チョン・チャンジン氏にはこの時、道徳的イメージに大きな傷が付いた。八百長に加担した証拠がない状況で韓国バスケトボールリーグ(KBL)から監督登録を拒否された。シーズン前、同氏を監督として迎え入れようとしていたKGC人参公社は、代わりにキム・スンギ・コーチに監督代行を任せ、昨年12月31日に正式に監督に任命した。もし「嫌疑なし」で捜査が終結しても、チョン・チャンジン氏にはすぐにコートに戻る手だてがない。

 「もしかしたら、何か大きな手柄が立てたいという功名心のため、警察は証拠もなしにむちゃな捜査をしたのではないだろうか」という気がする時がある。もしそうなら、警察は自ら公権力が持つべき基本的な責任と義務を破ったことになる。捜査が初期の内偵捜査段階だったなら、今回のようにメデイアに漏れないように徹底して保安維持すべきだった。

 スポーツ界のスターは一挙手一投足に人々の視線が集まる「公人」だ。彼らの行動は社会的な影響力が大きいため、間違ったことをした場合、厳しい処罰を受けなければならない。しかし、彼らは人権を保護されるべき国民でもある。疑われるだけでも、彼らの有形・無形の被害は甚大だ。今のように捜査が遅れれば遅れるほど、警察に対する国民の信頼度は真冬の気温計のように下がるばかりだ。

スポーツ部=姜鎬哲(カン・ホチョル)次長
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