【萬物相】台湾出身アイドルが台湾旗を振るのは不適切なのか

【萬物相】台湾出身アイドルが台湾旗を振るのは不適切なのか

 4年前、安山市檀園区は公衆電話ボックスなどに東南アジア諸国の国旗を貼った。外国人労働者が不法投棄したゴミがいつも山積みになっていたため、頭痛の種になっていた場所だった。すると、1カ月でゴミが急に減った。外国人労働者たちは異国の地で見た自国の国旗の前で、恥ずかしい行動を取ることができなかったのだ。

 国旗は人々の血をたぎらせることも、襟を正させることもできる。国旗に似たものは歴史の記録が書かれるはるか前の古代エジプト時代からあった。どの国の国旗も、3色を超える色づかいはまれだ。模様は主に十字架・太陽・星・月の形だ。色や模様は国民情緒によって異なるが、そこに込められた理念は自由・平和・真理・博愛・純潔など、だいたい同じだ。

 中国で初の共和国「中華民国」の国旗「青天白日旗」は最初、清の覆すための革命軍軍旗として作られた。それを元にした現在の「青天白日満地紅旗」の赤・青・白は民族・民権・民生という孫文の三民主義を象徴している。太陽は中国の民族の繁栄を意味する。考案者の陸皓東は1895年の第一次広州起義時に逮捕されて処刑された。「青天白日満地紅旗」は1928年、蒋介石が北伐に成功した後、中華民国国旗に正式採用された。1949年、蒋介石が中国共産党に追いやられ、台湾に移って台湾の「国旗」になった。

 「青天白日満地紅旗」がこのほど、韓国・中国・台湾の間で騒動の中心になった。韓国の多国籍アイドルグループ「TWICE」のメンバーで、台湾出身のツウィさんが韓国の番組で韓国国旗「太極旗」と一緒に台湾「国旗」を振った映像が広まり、中国のネットユーザーたちが怒った。ツウィさんは「中国は一つであり、私は中国人です」と謝罪し、彼女が所属する韓国の大手芸能事務所JYPエンターテインメントは「再発防止」を約束して頭を下げた。台湾総統選で当選した最大野党・民進党の蔡英文主席はおととい、「自分の国の国旗を振ることは国民の権利だ」と反発した。蔡英文氏は台湾独立を目指す民進党のトップだ。

 今回の台湾総統選前、台湾を訪れた中国人観光客が「青天白日満地紅旗」を振り、中国に友好的な国民党を応援する写真が報道されたことがある。彼らが台湾の旗を振ってもよくて、台湾出身のツウィさんが振ってはダメだというのは変だ。結局、国旗ではなく政治と大衆感情の問題ではないだろうか。中国と台湾を行き来する人は年間1000万人に達する。台湾に中国人観光客が殺到し、空港で金門高梁(コーリャン)酒が買いにくい状況になったと言われるほどだ。それでも、中国と台湾の関係はまだ越えなければならない山が数多くあるようだ。「ツウィ騒動」を見て、中台関係よりはるかに後れを取っている南北が進むべき道を考えた。

金泰翼(キム・テイク)論説委員
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