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芥川賞に滝口さんと本谷さん 直木賞に青山さん
1月19日 21時14分

芥川賞に滝口さんと本谷さん 直木賞に青山さん
第154回芥川賞と直木賞の選考会が、19日夜、東京で開かれ、芥川賞に滝口悠生さんと本谷有希子さんの2つの作品、また、直木賞には青山文平さんの作品が選ばれました。
第154回芥川賞と直木賞の選考会は、19日、東京・中央区の料亭で開かれました。
このうち芥川賞には、滝口悠生さんの「死んでいない者」と、本谷有希子さんの「異類婚姻譚」の2作品が選ばれました。
滝口悠生さんは東京都出身の33歳。小説家を目指して早稲田大学を中退したあと、平成23年に発表した「楽器」で文芸誌の新人賞を受賞してデビューし、去年、「愛と人生」で野間文芸新人賞を受賞しました。芥川賞は前回に続く2回目の候補での受賞となりました。
また、本谷有希子さんは石川県出身の36歳。平成12年にみずから脚本と演出を手がける「劇団、本谷有希子」を旗揚げし、性格に癖のある現代女性などを主人公にした舞台は若い世代を中心に高い支持を集めています。平成21年には戯曲「幸せ最高ありがとうマジで!」で、「演劇界の芥川賞」と呼ばれる岸田國士戯曲賞を受賞しました。また、小説やエッセーも評価が高く、おととしには「自分を好きになる方法」で三島由紀夫賞を受賞しています。芥川賞は今回、4度目の候補で受賞となりました。
一方、直木賞には、青山文平さんの「つまをめとらば」が選ばれました。青山さんは横浜市出身の67歳。経済関係の出版社に勤務したあと、平成4年に「俺たちの水晶宮」で文芸雑誌の新人賞を受賞し、作家としてデビューしました。その後、創作を中断し、フリーランスのライターとして活動していましたが、平成23年に創作活動を再開しました。直木賞は2回目の候補での受賞で、67歳での受賞は歴代2番目に高い年齢となります。

本谷さん 若い世代に人気の演出家

芥川賞の受賞が決まった、作家で演出家の本谷有希子さんは、石川県出身の36歳。平成12年にみずから脚本と演出を手がける「劇団、本谷有希子」を旗揚げし、性格に癖のある現代女性などを主人公にした舞台は、若い世代を中心に高い支持を集めています。
平成21年には戯曲「幸せ最高ありがとうマジで!」で、「演劇界の芥川賞」と呼ばれる岸田國士戯曲賞を受賞しました。また、小説やエッセーも評価が高く、おととしには「自分を好きになる方法」で三島由紀夫賞を受賞しています。芥川賞は今回、4度目の候補で受賞となりました。
受賞作の「異類婚姻譚」は、深く考えることなく結婚生活を送ってきた専業主婦の女性が、ある時ふと自分の顔が夫に似てきたと感じたことをきっかけに、夫婦の関係に疑問を感じ始める物語です。夫と自分の顔に起こる不思議な変化を受け入れようとしつつも、夫が自分とは根本的に異なる存在であったことに気がつく女性の心情を、軽妙な文体で描いています。
本谷さんはNHKの電話取材に応え、「知らせを受けた直後なので頭が真っ白です。周りの人たちがかつてないほど期待してくれていたので、みんなに喜んでもらえてうれしいです。芥川賞はこれまで3回落ちていますが、自分自身でその理由が分かっていたので、この作品まで粘ることができました。私自身は今回の受賞でよかったと思います」と話しました。

選考委員の講評

芥川賞の選考委員の1人で、作家の奥泉光さんが会見し、滝口悠生さんの「死んでいない者」と、本谷有希子さんの「異類婚姻譚」について、受賞の理由を説明しました。
会見で奥泉さんは、賞の選考過程について、「1回目の投票の段階で、この2作品にほぼ絞られる展開になった。当初は滝口さんの作品が過半数を超える高い評価を得たのに対し、本谷さんには丸に近い三角をつけた人もいた。そこからこの2作について議論し、最終的には両方とも非常に高い評価が下され、ほぼ変わらない点数で受賞が決まった」と、2作同時受賞の経緯を説明しました。
そして、滝口悠生さんの「死んでいない者」については、「死者や生きている人など、たくさんの人物が登場するが、それらが煩雑にならず、一人一人の人物像が同じ距離感でうまく描かれていた。工夫した語り口には巧みさが見られ、それが空間や時間の広がりを作り出している点が評価された」と受賞の理由を説明しました。
また、本谷有希子さんの「異類婚姻譚」については、「説話の構造を現代小説にうまく生かしながら、夫婦の不気味な関係が巧みに描かれている。一方で、本谷さんが以前の作品で持っていた凶暴さが失われているという意見もあったが、技術的な高さや小説としての完成度を評価した」と説明しました。

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