【北京=永井央紀】中国の習近平国家主席は19日、サウジアラビア、エジプト、イランの中東3カ国の歴訪を開始した。これらの3カ国はいずれも、中国が中心になって設立したアジアインフラ投資銀行(AIIB)のメンバーだ。資源開発やインフラ建設など経済協力を強化する。イランへは同国に対する米欧の経済制裁の解除決定後で初めて訪問する外国首脳になることを目指す。
サウジはイランと断交して対立しているが、習氏は両国首脳に冷静な対応を呼びかけ、米国やロシアとは異なる立場で仲介の機会を探る構えだ。
習氏は19日、専用機でサウジアラビアの首都リヤドに到着した。中国国家主席がサウジを訪問するのは2009年の胡錦濤氏以来7年ぶりで、サルマン国王らと会談。両首脳は資源開発やインフラ建設など経済協力に関する文書の調印式にも出席する。
中国にとってサウジは最大の石油供給国であり、経済成長に不可欠な資源の安定調達に向けて関係強化を狙う。ロイター通信によると習氏は国有大手の中国石油化工集団(シノペック・グループ)とサウジが合弁で手掛ける製油所の式典にも参加する見通しだ。
次の訪問先であるエジプトの首都カイロでシシ大統領と会談する。同市内のアラブ連盟本部で演説し、今後の中東政策を説明する。中東と距離を置いていた従来の方針を転換し、積極的に関与する姿勢を打ち出す見通しだ。
最後に訪れるイランの首都テヘランでは最高指導者ハメネイ師やロウハニ大統領と会談する。イランは15年の欧米や中国など6カ国との核合意を順守していると確認され、経済制裁の解除が決まったばかり。首脳外交をテコに欧米に先駆けて協力関係を深める狙いだ。
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