2016年1月19日、レノボがThinkシリーズ製品の新製品発表会を秋葉原にて実施しました。今回発表された中でThinkPadシリーズの中核となるのが、14インチ薄型モデルの『ThinkPad T460s』(写真)と、12.5インチ液晶モデルの『ThinkPad X260』の2モデルです。
発売日は1月19日、つまり本日からで、同社の直販価格はT460sが15万2000円から、X260が12万7500円から。
なおCESでの中心モデルとなったX1 Tablet、X1 Carbon、X1 Yogaの発表は今回はありませんでした。こちらに関しては「日本では発売が若干先になることもあり、別途発表の機会を設けさせていただく」(レノボ広報談)とのコメントが出ています。
T460sとX260(写真)は、CPUにインテルの第六世代(=Skylake版) Core iシリーズを搭載するモバイルノートPC。それぞれの前モデルと比較した特徴としては、CPUの世代交代による高性能化に加え、T460sは本体デザインを一新し、大幅な薄型・軽量化を実現した点が特徴。またX260は本体の設計は同一なものの、若干の薄型・軽量化が図られています。
合わせてメモリの世代交代(DDR3からDDR4へ)や最大メモリ容量の増加(T460sは最大24GB、X260は最大16GB)、PCI Express接続-NVMeの高速SSDが選択可能になった点など、基本性能に関わる点は大幅に手が加えられています。
さらに両機種共通で、冷却制御用のファームウェアに、「膝上に置いた状態」や「電源オンの状態でカバンの中に入っている」状態を内蔵加速度センサーで検知するモードを追加。そうした状態では冷却優先モードとして動作することで、「膝の上で使っていて暑くなった」「カバンから出したら本体の発熱が大きく、バッテリーも減少していた」という事故を防ぎます。
T460sは上述のように、きょう体ベースで本体設計を一新したモデル。本体サイズは331×226.8×18.8mm(幅×奥行き×厚さ)、最軽量構成時の重量は1.32kg。前モデルT450sは、サイズが331×226×22.94mm(タッチ液晶)、20.65mm(非タッチ)で、最軽量構成で約1.54kgなので、2~4mmほど薄く、220gほど軽くなっています。
またレノボからはこの値が、2014年に発売された初代ThinkPad X1 Carbon(サイズ331×226×18.8mm、最軽量構成で約1.36kg)とサイズはほぼ同じで、重量はむしろ軽い点がアピールされました。
また、直販モデルのBTOオプションとして、GPUにGeForce 930M(ビデオメモリ2GB)の選択も可能。X1 CarbonではCPU内蔵GPUのみとなっているため、ここはアドバンテージとなります。
ただし一方で、小型化されたことによりバッテリーは内蔵のみとなり、また2.5インチHDDやSSDの搭載は不可能となっています。底面も上写真のように、バッテリーパック部はありません。
前モデルまでは内蔵+バッテリーパックのデュアル構成でホットスワップが可能で、2.5インチHDDやSSDの搭載も可能だったため、保守の点では有利でしたが、そうしたメリットは後退しています。
液晶ディスプレイのカスタマイズには、WQHD(2560×1440)解像度のIPSパネルも加わりました。従来モデルはフルHD(1920×1080)が上限だったため、この点でもX1 Carbonに近づいています。ただしWQHD解像度のパネルではタッチパネルは選択できません。
またタッチ対応液晶パネルには、インセルタイプの製品を搭載。前モデルまではタッチ仕様を選択すると付いてきた表面ガラスが省略されているため(上写真参照)、とくにタッチ対応モデルでは薄型化と軽量化のメリットが大きくなっています。合わせてパネル表面処理はタッチ対応でもノングレア(非光沢)となりました。
また指紋認証は前モデルまでのスライド式から、昨今のスマートフォンで採用例の多いタッチ式へと変更(タッチパッド部右の四角いエリアがそれ)。認証時に指を動かす必要がなくなり、利便性が増しています。
CPUは第六世代Core iプロセッサー、メモリはDDR4で最大24GB、ストレージはSSDのみで、最大512GB(PCI Express-NVMe版含む)。バッテリー駆動時間は最大10時間(JEITA 2.0)。OSはWindows 10 Pro 64ビット版、またはWindows 7 Professional SP1(ダウングレード権による)です。
拡張端子としては、本体厚ギリギリとなる有線LAN(RJ-45)端子と、フルサイズのSDカードスロットを搭載する点がポイント。他にはUSB 3.0×3基とミニDisplayPort、HDMI、専用ドッキングコネクタ(仕様は前モデルまでと同じ)を備えます。
なお上写真では左側面後部にSIMカードスロットがありますが、日本では残念ながら(今回も)LTE通信オプションは見送られています。
X260は、古くからのファンより人気の高い12.5インチ液晶の比較的コンパクトなモデル。
こちらはきょう体こそ前モデルまでと同じですが、内部はSkylake世代となり一新。冒頭で紹介したように基本性能は堅実に向上しており、とくにメモリはDDR4で最大16GBまでと、前モデルの最大8GBに比べて強化されています。
本体サイズは305.5×208.5×19.3~20.3mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は約1.32kg(最軽量構成時)。最厚部の薄さは前モデル比で1.5mmほど薄く、最軽量構成での重さは前モデル比で110gほど軽量となりました。
選択可能な液晶パネルの構成は、フルHD(1920×1080)解像度のIPSパネルと、1600×900解像度パネル。
またT460sでは不可能となったHDDの搭載も可能。カスタマイズでは最大1TBまでをサポートします。なおSSD選択時はT460sと同じ最大512GBで、PCI Express接続NVMe版を含みます。
バッテリー駆動時間は最大11時間(JEITA 2.0)。内蔵バッテリーとバッテリーパックのデュアル構成により、ホットスワップが可能な仕様も(こちらは)引き継ぎます。指紋認証ユニットは前モデルと同じスワイプタイプ。
CPUは第六世代(Skylake世代)Core iプロセッサー、メモリはDDR4で最大16GB、ストレージはSSD選択時は最大512GB(PCI Express-NVMe版含む)、HDD選択時は最大1TB。OSはWindows 10 Pro 64ビット版とWindows 7 Professional SP1(ダウングレード権による)。
なおこちらも残念ながら、海外モデルでオプションとなっているLTE通信機能は非対応です。
拡張端子としては、USB 3.0×3基とミニDisplayPort、HDMI、有線LAN(RJ-45)端子、フルサイズSDカードスロットを備えます。
今回の2モデルは、ThinkPadの中核機種のモデルチェンジですが、2機種とも順当な強化が施されている印象。とくにT460sは薄型・軽量化が大きく進んだことで「X1 Carbonに近いサイズと重量ながらより手頃で、GPUも搭載可能」というモデルという位置づけも得ています(ただし一方で、バッテリーや2.5インチHDDベイなどが省略されてはいますが)。
基本性能の強化点なども含めると、今世代もThinkPadの定番モデルとなることはほぼ間違いなさそうなモデルチェンジと呼べそうです。