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【スポーツ】<首都スポ>ビーチバレー・長谷川徳海&暁子 夫婦で見るリオの夢2016年1月19日 紙面から
生粋のビーチバレーボール選手の夫の長谷川徳海(31)と、ユニバーシアードに出場するなどインドアバレーボール選手としてエリート街道を歩んできた妻の暁子(30)。砂浜と体育館。別の道でそれぞれの夢を描いてきた2人が2013年に生涯の伴侶となり、ビーチバレーボール選手として、夫婦で初めての五輪を目指す。大学5冠やNECで主将を務めてきた妻を「尊敬する」という夫と、プロとして自ら道を切り開く行動力を持った夫を「よくやってきたなぁ」と感嘆する妻。「どこにでもいる、ごく普通の夫婦」と笑い合いながら、2人で同じ夢を目指して進んでいく。 (フリーライター・田中夕子) アイシング用の氷嚢(ひょうのう)や、トレーニングウエアが入ったリュックサックの中から取り出した、2人分の弁当を並べる。 暁子「昨日のおかずを詰めただけなんですけどね。シーズンが始まれば、お互い別々のことが多いから、一緒に練習できる時ぐらいは、奥さんらしいこともしないと」 Vリーグの選手としてプレーしていたころは、全国を飛び回ることはあっても、国内から出ることはめったにない。試合や合宿で世界を飛び回るビーチバレーボールは、妻の暁子にとっては未知の世界だった。 一方、夫の徳海は大学卒業と同時にビーチバレーボール選手としての道を歩み出し、パチンコ屋やゲームセンターでアルバイトをしながら練習をして、試合に出る生活を続けてきた。 徳海「基本的に自分のこと以外には興味がなかったんです。だからインドアの世界は全く分からない。彼女が大学時代やVリーグですごい経験を重ねていたことも、ほとんど知りませんでした」 そんな2人が出会ったのは、08年の夏。最初は友人として知り合い、連絡を取り合うこともなかった。距離が縮まったのは、暁子はバレーボールの東京代表として、徳海はビーチバレーボールの新潟代表として出場した09年の新潟国体。ささいなことから連絡を取り合うようになり、翌年から交際に発展。夏がメインのビーチバレーボールと、冬がメインのバレーボール。一緒に過ごす時間は限られていたが、交際開始から2年半が過ぎた13年に結婚した。 27歳と28歳。いわゆる適齢期とされる年齢での結婚は少しも珍しいことではないが、スポーツ界、特に女子バレーボール界に目を向けると、様相が異なると暁子は言う。 暁子「外国人の選手は現役のうちに結婚して、子どもを産んで復帰するのも当たり前。でも日本ではまだまだ少ないんです。だから、自分が現役で結婚することで、後にも続いていくといいな、という気持ちはありました」 結婚後もプレーは続け、所属するNECでは主将も務めたが、14年に現役を退いた。子どもを産んで、また競技復帰するのもいいかな。そんな気持ちを抱きつつ、そのままNECで社員として働いていたが、同年9月に韓国の仁川で開催され、徳海が日本代表として出場したアジア大会が、大きな転機になった。 夫の応援ついでに韓国旅行。軽い気持ちでいたはずが、競技は違えど、パスやスパイクの精度など、見ていて「自分ならもっとできるんじゃないか」と、それまでは感じることがなかった思いを抱いた。最初は遊び半分の気持ちで、同い年の草野歩(ミキハウス)とペアを組み、10月の川崎市長杯に出場。アジア大会に出場した選手も顔をそろえる中、結果は準優勝。その素質を徳海は夫としてだけでなく、ビーチバレーボール選手としても見抜いていた。 徳海「人に言われて動くというより、自分で考えて動けるタイプだから上達も早い。もともとバレーボールスキルも高いし、向いているんです」 暁子が本格的にビーチバレーボール選手として活動を始めた直後の14年11月、そろって日本代表候補のトライアウトを受け、強化指定候補選手に選出された。リオデジャネイロ五輪イヤーとなる今季は、それぞれにとって挑戦の年でもあるが、2人の距離感は変わらないと妻は言う。 暁子「アスリートだからって、特別なことはありません。今日の練習はこうだった、とか、その日にあった出来事を報告する、ごく普通の夫婦です」 妻だけでなく、夫も同様だ。 徳海「2人ともオリンピックを目指しているのは同じだし、結果が出たら2人で喜びます。でもだからといって夫婦で二人三脚、という感じではないかな。もしも二人三脚なんだとしたら、そのひもはものすごくゆるくて、伸びるもの。だからうまく回るんだと思うんです」 夢は、いつの日か勝利した後に2人で抱き合って喜び合うこと。しかも、それが五輪の舞台ならば言うことはない。これからも2人で道を切り開き、夢を追い続けていく。 ◆昨年のペアは?<徳海> 昨年現役復帰した五輪2大会出場の白鳥勝浩(39)=トヨタ自動車=や高橋巧(24)=了徳寺大=と海外ツアーなどを転戦。14年アジア大会では、大学の先輩、上場雄也(32)=松戸レガロ=と組み5位入賞。 <暁子> 草野や永田唯(27)=スポーツクラブNAS=と組み、国内最高峰ツアー(ビーチバレーボールシリーズA)で3勝。草野と組んだツアーファイナルも優勝した。 <長谷川徳海(はせがわ・よしうみ)> 1984(昭和59)年8月23日、新潟県長岡市生まれの31歳。186センチ、86キロ。ミキハウス所属。小6からバレーボールを始め、中越高から中央学院大へ。4年時に出場したビーチバレーボールジャパンカレッジで優勝、卒業後はビーチバレーボール選手として活動。2010年、14年アジア大会の日本代表。ビーチバレーボール強化指定候補選手。 <長谷川暁子(はせがわ・あきこ)> 1985(昭和60)年11月30日、東京都江東区生まれの30歳。旧姓内田。175センチ、66キロ。ミキハウス所属。小4からバレーボールを始め、文京学院大女子中高を経て青山学院大。同大3年時に大学5冠を達成。2007年ユニバーシアード日本代表。卒業後はNECで攻守にたけたサイドアタッカーとして活躍。主将も務めた。14年6月で現役引退。同年10月、ビーチバレーボールに挑戦、同年11月にビーチバレーボール強化指定候補選手に選出された。 ◇ 首都圏のアスリートを全力で応援する「首都スポ」面がトーチュウに誕生。連日、最終面で展開中 PR情報
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