特別企画
企業にとって大きな問題になる? Windowsのサポートポリシー変更
最新プロセッサでは最新のWindowsだけがサポート対象に
(2016/1/19 06:00)
1月15日に米Microsoftが公開した新しいWindows OSのサポートポリシーでは、プロセッサによって同じOSでもサポートされる期間が変わることになる。
Windows OSのサポートポリシーではこれまで、OSのバージョンによってサポート期限が決まっており、ハードウェアによって期間が異なるといったことはなかった。
例えば、Windows 8.1ではメインストリームサポートは2018年1月9日、延長サポートは2023年1月10日まで提供されるし、すでにメインストリームサポートが終了しているWindows 7でも、延長サポートは2020年1月14日まで提供される。
しかし今回の変更により、OSをインストールするプロセッサ(プラットフォーム)による制限が付け加えられた。
すでにリリースされているIntelの第6世代プロセッサCoreシリーズ(開発コード名:Skylake)のハードウェアでは、Windows 7/8.1のサポートが2017年7月17日で終了となる。メインストリームサポートではなく延長サポートが終了するため、2017年7月17日以降は、Skylakeプロセッサを使用したWindows PCでWindows 7/8.1を使い続けるのは、セキュリティ上大きな問題をはらむことになる(例外として、もっとも重要度の高いセキュリティアップデートは継続して提供されるという)。
また、今後、新しいプロセッサ(プラットフォーム)がリリースされた場合は、最新OSのみがサポート対象になる。
サポートポリシーの変更をBlogで発表した、MicrosoftのWindows and Devices Group, Executive Vice President、Terry Myerson氏によれば、「Windows 10はバッテリでの動作など、さまざまな面で最新のプロセッサ(プラットフォーム)にチューニングされています。実際、Skylakeプラットフォームにおいて、Windows 7とWindows 10を比べると、3倍のバッテリ寿命を実現しています。さらに、Skylakeプラットフォームが持つ高いグラフィック機能、高いセキュリティ機能、高い仮想化機能などもWindows 10のみでサポートされています」としており、最新プラットフォームとWindows 10との組み合わせを前面に押し出している。
最新ハードウェアでは最新OSだけがサポート対象に
今後は、今回の発表の通り、新しいプロセッサでは最新のWindows OSだけがサポートされることになる。つまり、2016年後半もしくは2017年にリリースが予定されているIntelのBabyLake、AMDのBristol Ridge、Windows 10 Mobileに使われているクアルコムの最新プロセッサ(8996)などでは、最新OSのWindows 10だけがサポート対象になる。
新しいプロセッサ(プラットフォーム)では、Windows 7やWindows 8.1はサポートされないのだ。最新のプロセッサでもWindows 7やWindows 8/8.1が動作する可能性はあるが、セキュリティパッチやデバイスドライバの提供などは公式には行われない。
Microsoftが指摘しているのは、新しいプロセッサで古いOSをサポートするために開発されるデバイスドライバやソフトウェアが、各PCメーカーやMicrosoftにとって負担になってきている、というのだ。例えば、「メインストリームサポートが2018年1月9日に終了するWindows 8.1を最新プロセッサでサポートするのには、コストとメリットが見合わない状況になっている」と語っている。
企業にとってOSのダウングレード権の行使は難しくなる
このようなWindows OSのサポートポリシーの変更は、企業にとっての影響がより大きい。
企業では、ライセンスプログラムのSoftware Assurance(SA)で特典として提供されているOSのダウングレード権を使って、古いOSを最新のPCにインストールすることがよくある。これは、企業全体で1つのクライアントOSを使うことでサポートコストを低減させたり、自社開発のアプリケーションやカスタマイズされたアプリケーションの動作環境を保証したりするためだ。
新しいOSでアプリケーションが動作するかどうかのテストをするのにも費用や工数がかかるし、もし、動作しなかったり、トラブルが起こったりするようなら、ソフトウェアの改修が必要になる。
また商用ソフトウェアを使っていても、最新OSのサポートは次のアップグレードで行われることも多く、商用ソフトウェアのアップグレード費用が必要になったりもする。
しかし今後、最新のPCを導入した場合は、更新されたサポートポリシーの関係でWindows 10だけがサポート対象となる。これにより、OSのダウングレード権を行使して、企業全体で1つの(最新ではない)クライアントOSにまとめることは難しくなる。
Microsoftでは、企業においても積極的にWindows 10への移行を進めてほしいという考え方があるのだろう。しかし、毎年大型のアップグレードが行われるとされているWindows 10では、今までのOSと同じような運用はしにくくなる。段階的なアップグレードを可能にするWindows Update for Businessも提供されたが、これを利用しても最大8カ月までしかアップグレードの適用を遅らせることはできない。今後は、常に最新のWindows OSに更新されていくという状況を見越して、アプリケーションの開発やITシステムの開発を行っていく必要が生じてくるわけだ。
もちろん、古いOSのサポートがすべて終了し、サポート対象のクライアントOSがWindows 10だけになってしまっているのであれば、企業側もそれに対応できる体制を整える必要はある。ただし、少なくともWindows 8.1のサポートが終わる2023年1月10日までは、体制の切り替えに関して猶予があると考えられてきた。
しかし今回の発表により、Windows OSのサポートポリシーが変更されたため、前倒しで対応していく必要が生じてしまった。もしかすると、今回の発表で大きな反響があり、再度サポートポリシーの変更が行われる可能性もあるが、このような方向性に動いているということは認識しておく必要があるだろう。
******
企業にとって、最新のPCで古いOSが利用できなくなるということはデメリットと思うかもしれないが、ある意味、ハードウェアとOSは車輪の両輪であり、最新のプラットフォームは、最新のWindows OSを使うことを前提に開発されている。もちろん最新OSでは、さまざまな新しい機能などを取り込んでいたり、セキュリティを強化したりしているため、古いOSよりもメリットがある。
前述のように、Windows 10は毎年アップグレードがあるとされているが、Windows 10というシリーズであれば、アプリケーションの互換性がある程度保たれると期待している。とはいえ、それでも100%ではないし、Universal Windows Appとして作るか、Microsoft Edgeで利用するWebアプリケーション化した方が、より対応しやすいだろうか。
いずれにしても今後は、企業においても、最新のWindows OSへ積極的にアップグレードしていくことになるだろう。もしかすると数年後には、SAでのOSのダウングレード権というものはなくなるかもしれない。
URL
- Windows Experience Blogの該当記事(英文)
- https://blogs.windows.com/windowsexperience/2016/01/15/windows-10-embracing-silicon-innovation/
2016年1月19日
- 特別企画企業にとって大きな問題になる? Windowsのサポートポリシー変更[2016/01/19]
- NTT Com、「大阪第5データセンター」を提供開始[2016/01/19]
- アプレッソ、ネクストスケープと共同開発したDataSpider Servista用Azure連携アダプタを出荷開始[2016/01/19]
- インサイトテクノロジー、データベース監視・データ暗号化ツール「PISO Encryption Option」提供開始[2016/01/19]
- ウォッチガード、セキュリティ装置連携の無線LANアクセスポイント新モデル「AP300」[2016/01/19]
- パナホーム、全部門のデータベース統合にインフォテリア「ASTERIA WARP」を採用[2016/01/19]
2016年1月18日
- 連載Infostand海外ITトピックス次は半導体の外販進出 Amazonの狙いとインパクト[2016/01/18]
- Skylake搭載PCではWindows 8.1/7のサポートを2017年7月17日に終了[2016/01/18]
- 米Yahoo、13.5TBにおよぶ機械学習用データセットを研究者向けに公開[2016/01/18]
- アライドテレシス、ループガード機能対応のGbEレイヤ2スイッチ「AT-GS910」3モデル[2016/01/18]
- システムサポート、米ScaleArcのDBロードバランシングソフトを販売[2016/01/18]
- JBサービス、SMBの標的型攻撃対策を支援する「FFR yarai 運用サービス」[2016/01/18]
- 国内クラウドインフラソフト市場、2014年の市場規模は143億7300万円、シェア首位はVMware[2016/01/18]
- IIJ、VMwareベースのプライベートクラウドを構築できる「VWシリーズ」を中国で提供[2016/01/18]
- Colt、シンガポールで自社ネットワーク運用のイーサネットサービスを提供開始[2016/01/18]
- Sansanが総額約20億円の第三者割当増資を実施、国内拠点の強化やアジアでの販路拡大など[2016/01/18]
- TISとKS-SOL、電力小売事業者向け顧客情報管理システムの販売代理店契約を締結[2016/01/18]
- 先週のニュースアクセスランキング[2016/01/18]
2016年1月15日
- 毎月の交通費精算をスムーズに、マネーフォワード「MFクラウド経費」ベータ版開始[2016/01/15]
- AMD、64ビットARMベースのデータセンター向けSoC「Opteron A1100」を発表[2016/01/15]
- 音声合成ソフト「かんたん!AITalk 3」に関西弁バージョンが追加[2016/01/15]
- 電通、ISID、三菱地所、FinTechスタートアップ支援拠点「Fino Lab」を東京・大手町に開設[2016/01/15]
- ネットワールド、Nimble StorageとCisco製品を組み合わせた「SmartStack」の提供を開始[2016/01/15]
- ウェブインパクト、給与明細発行サービス「WEB給」をマイナンバー対応に[2016/01/15]
- リコージャパン、法務支援クラウドサービス「RICOH Contract Workflow Service」[2016/01/15]
- ソフトバンク・ペイメント・サービス、「EC-CUBE 3」対応の決済プラグインを提供開始[2016/01/15]
- NEC、仮想化基盤の導入を検討する企業向けの「仮想化簡易導入ソリューション」を発売[2016/01/15]
- テックファームとインヴェンティットが資本業務提携、IoT製品を共同開発[2016/01/15]
- サイオス、IT運用分析ソフトの新バージョン「SIOS iQ v3.4」をリリース[2016/01/15]
- みずほ銀行、iPadからワークフローシステムへのアクセスをXenAppで実現[2016/01/15]
2016年1月14日
- SUN'S CAFEが「Smart at robo for Pepper」を採用、店舗スタッフ自身によるPepperアプリ開発が可能に[2016/01/14]
- 「マイナンバー管理 freee」機能追加、従業員による番号直接入力や取引先個人事業主の番号管理が可能に[2016/01/14]
- 産業横断でセキュリティ人材を育成、約40社からなる検討会が課題を抽出[2016/01/14]
- NTT Com、マイナンバー管理のクラウドサービスと企業をVPNで接続するワンストップサービス[2016/01/14]
- 2015年の地域別国内IT市場、大都市圏とそれ以外の地域での格差が広がる〜IDC Japan調査[2016/01/14]
- GYAO!がファイアウォール「FortiGate-3700D」を採用、40GbEによるネットワーク統合を実現[2016/01/14]
- バッファローのNAS製品「TS5000Nシリーズ」、Dropbox連携に対応[2016/01/14]
- SBT、AD連携ソリューションの電子証明書オプションを社内ネットワークなどで利用可能に[2016/01/14]
- MOTEX、「LanScope Cat」でOffice 365やOutlook.comなどのログ取得に対応[2016/01/14]
- IIJ、ライブ中継のエンコードから配信までをワンストップで提供するフルクラウド型サービス[2016/01/14]
- DSP五協フード&ケミカルがBI製品「Dr.Sum EA」を導入、社内に乱立していた類似レポートを整理[2016/01/14]
- NTTソフトウェア、コンタクトセンター向けチャットサポートシステム「Remote Attend」[2016/01/14]
2016年1月13日
- 「古いIE」と「Windows 8」がサポート終了、ユーザーはアップデートを[2016/01/13]
- MSが1月の月例パッチ公開、IEに関する修正など計9件[2016/01/13]
- arcserve、“使い放題”ライセンスの中規模向けバックアップアプライアンス「UDP 7300」[2016/01/13]
- MS、「Surface Book」を2月4日に国内発売、「Surface Pro 4」のCore i7モデルは1月22日発売[2016/01/13]
- パスロジのOTP製品「PassLogicエンタープライズ版」がVMware Horizon Airに連携対応[2016/01/13]
- cloudpack、AWS Direct Connectを利用した専用線接続サービスの新プラン[2016/01/13]
- ベネッセ、オンラインレッスンのインフラに「V-CUBE」採用[2016/01/13]
- ジェイズとサイバーソリューションズ、安全なメール利用とWeb閲覧を可能にする地方自治体向けソリューション[2016/01/13]
- デジタルアーツとジインズ、ID運用の効率化で製品連携を実施[2016/01/13]
- エジソン、システムサポートによる診断とチューニングでDB環境の問題を解決[2016/01/13]
- A10、DDoS対策アプライアンスのマルチベクトル型攻撃対応を強化[2016/01/13]
- SCSK、サンドボックスを活用した標的型攻撃監視・防御サービスを提供開始[2016/01/13]
- アライドテレシスとエムオーテックスが提携、SDNソリューションとLanScope Catの連携を共同開発[2016/01/13]