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春闘を前に経営側 ベアにこだわらない賃上げを
1月19日 4時08分

春闘を前に経営側 ベアにこだわらない賃上げを
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今月下旬に事実上スタートする春闘を前に経団連は19日、春闘に向けた経営側の方針を正式に発表します。この中で基本給を引き上げるいわゆるベースアップには必ずしもこだわらず、ボーナスの増額なども検討し、3年連続の賃上げを行うよう呼びかけます。
この中で経団連は「収益が拡大した企業は去年を上回る年収ベースの賃金引き上げに前向きで踏み込んだ検討が望まれる」として、年収全体が去年を上回る形で3年連続の賃上げを行うよう呼びかける方針です。ただ、賃上げの手法に関しては基本給を引き上げるベースアップに必ずしもこだわらず、ボーナスの増額や子育て世帯の賃金を増やすなど、さまざまな手法の検討を促すことにしています。去年、経団連はベースアップを前向きに検討するよう呼びかけましたが、ことしはベースアップが経営の重荷にならないよう選択肢を広げた形です。
一方で、非正規労働者の待遇改善も必要だとして、正社員への登用や時給の引き上げを働きかけることにしています。
ことしの春闘は、来週25日に開かれる「労使フォーラム」で経団連の榊原会長と連合の神津会長がそれぞれ考え方を表明し、事実上スタートします。

ベアにこだわらない背景

ことし経団連がベースアップにこだわらない背景には、企業の負担に配慮していることがあります。
経団連は去年、賃上げに対する政府の強い要請などもあり、経営側の方針に「ベースアップも選択肢の一つ」と明記し、ベアの前向きな検討を呼びかけました。その結果、大手企業の月額の賃金の引き上げ額は定期昇給を含めた平均で、おととしは前の年より7370円、率にして2.28%、そして去年は8235円、2.52%と大幅な賃上げが2年続けて実現しました。ただ、ベースアップは従業員の基本給を引き上げるだけではありません。ボーナスや退職金、それに企業の社会保障関連の支出も基本給の水準がもとになり、企業の負担の増加は全体でベースアップ分のおよそ1.6倍になるという試算もあります。
経団連の榊原会長も報道各社のインタビューで、「かつて経験したようなリーマンショック的な事態があるとベースアップは経営の重荷になる。経営者が継続的なベースアップに慎重にならざるをえない姿勢があることは理解しないといけない」と述べています。
このため、ことしは、ボーナスの増額や子育て世代に重点的に配分するなど、さまざまな手法を組み合わせた賃上げを呼びかけることにしています。

春闘 ことしの焦点

ことしの春闘では3年連続の賃上げが実現するかどうかに加え、大企業と中小企業の賃金の格差がどこまで小さくなるのかも焦点となりそうです。
労働組合が経営側に要求書を提出するのは来月中旬ごろですが、今のところ去年を上回る水準のベースアップを要求する動きはみられません。例えば、トヨタグループの労働組合でつくる「全トヨタ労連」は、3000円以上のベースアップを求める方針を示していますが、水準は去年の半分にとどまっています。この背景には、中小の組合も要求しやすい水準にすることでグループ内のすべての企業の賃金の底上げを図ろうというねらいがあります。
連合も大企業と中小企業の格差是正を方針に掲げていて、ことしの春闘では大企業だけでなく、中小企業の対応が注目されます。
もう一つの焦点が不安定な金融市場の影響です。東京株式市場では原油価格の下落や中国経済に対する懸念から、年明け以降初めて6営業日連続で株価が値下がりしたほか、円相場も一時、1ドル=116円台まで円高が進みました。金融市場の不安定な状況が続けば、今後、経営判断の姿勢が慎重になるという懸念もあり、労使交渉への影響も注目されます。

春闘 今後のスケジュール

ことしの春闘は、来週25日に開かれる「労使フォーラム」で経団連の榊原会長、連合の神津会長がそれぞれの考え方を表明し、事実上、スタートします。
そして、来月に入ると各企業で労働組合が経営側に対して要求書を提出し、労使交渉が本格化します。その後、交渉が断続的に行われ、3月中旬ごろ集中回答日を迎えます。

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