嬉しい誤算、オバマが日本側に寝返った! (3)米中冷戦は日本に「超追い風」
この記事の後半は「投資ブログ」の「地政学リスクの考え方(10)米中第二冷戦と中国バブル崩壊」と重なっています。
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このブログでは早くから米中冷戦と日本の戦略について語ってきました。
結論としてはこうです、
日本は米国とともに海洋国家として繁栄を続けるべき
この結論が特に変わっているとは思いません。海洋国家と大陸国家の性質や、日本が置かれた地政学的状況を考えるとこれしか結論がないのです。
米国を敵に回した瞬間に日本の国防戦略も経済戦略も破綻します。
逆に米国と手を組めば、ともに永続的に発展することができるのです。
そのためには、世界のどこかで殺し合いがあっても容認すべきです。
米国がムチャをしても大目に見るべきです。
アメポチと言われても構いません。
日本政府は日本人が殺されないように努力すべきで、他国のために滅びるようなことがあってはならないのです。
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米中冷戦における日本(まだ読んでいない方はこちらからどうぞ)
(1):序論
(2):地政学的に恵まれた日本
(3):中華文明が進歩しない理由
(4):朝鮮半島の思考回路
(5):軍部利権としての朝鮮併合
(6):日本が韓国に甘い理由
(7):日韓、米日、沖縄の相似形
(8):「戦利品」としての日本の価値
(9終):中韓朝との冷戦か、米英とのリアル戦争か
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今の中国は、かつて大日本帝国が試みたことをさらに大胆にやっています。
「一路一帯構想」「海のシルクロード」は、大日本帝国の「大東亜共栄圏」をさらに西に延ばし、「中東の石油までいただくぜ」という宣言です。
仮に日本が同じことをしようとすれば、早い段階で経済制裁されて焼け野原になっていたでしょう。
しかしこれまでの米国は中国の侵略を見逃し、ここまで増長するほどに育ててしまいました。
オバマは米国の覇権より、兄弟が中国で経営する焼肉屋のほうが大事だったのかもしれません。
しかし中国は、立て続けに「米国の虎の尾」を踏んでしまいました。
領有権を争っているスプラトリー諸島を勝手に埋め立てし、米国の海洋権益をわがものにしようとしました。
AIIB(アジアインフラ投資銀行)を設立し、ドルを基軸通貨から引きずり落とそうとしました。
キューバに艦船を派遣して、キューバ危機並みの緊張をもたらしました。
それでオバマや民主党議員、さらには「親中反日」で有名な大御所のキッシンジャーやブレジンスキーまで中国と距離を置き始めたのです。
「中国を発展させれば対立は薄まり、国際社会で責任のある行動をしてもらえるに違いない」
こういった希望は粉々に砕け散りました。
日本が痛い目に会って得た結論に、米国もようやく至ったのです。
米国の「本気」を垣間見たのは、5月上旬にケリーがロシアに飛んでプーチンなどと長いこと話し込んだことです。
どうやら中国の策略に乗って、白人同士が殺し合うことの無益さに気付いたようです。
かつて米国は、中国を味方に引き入れることで米ソ冷戦に勝利しました。
その裏返しで、今度はロシアを味方にして米中冷戦に勝ちたいのです。
おそらく、対ロ経済制裁は近々解除されるでしょう。
これまでさんざん殴ったくせに「おお、のび太!心の友よ!!!」と抱きしめるのは米国の得意技です。
冷戦の勝利者は日独と言われています。
しかし中国は国連常任理事国の座を奪って拒否権を手に入れました。チベット・東トルキスタンなどへの侵略行為を認めさせました。その後何をしても、米国はすぐに許します。
米ソ(米ロ)対立の中で最も得をしたのは中国共産党なのです。
その後も中国の策略に乗って米国はロシアを叩き続け、中国を大きく育ててしまいました。
その誤った政策を、これから是正しようというわけです。
安倍首相の米議会演説は見事でした。
硫黄島で戦った米指揮官と日本守備隊の孫にあたる国会議員が握手し、「激しく戦った敵が、心の紐帯を結ぶ友」になったことをアピール。
安倍 → Abe → エイブ → リンカーンと結び付け、奴隷解放で尊敬される大統領とイメージを重ねたこと。
米国と日本はともに冷戦を戦い、勝利した「戦友」であること。
戦後、米国の支援によって最も恩恵を受けたのは日本であったこと。
日本の支援によって東南アジア・台湾(国として認めてます)・韓国・中国が発展したこと。
3.11の震災で日本が打ちひしがれていたとき、助けてくれたのは米国だったこと。
米国が世界に与えてきたものは「希望である」。そして日米同盟は「希望の同盟である」
「一緒ならきっとできます」と締めくくりました。
とてもポジティブで、勇気が湧いて来る演説です。
何度も謝罪を求められ、卑屈に許しを求めるこれまでの日本の姿ではありません。
同盟国から裏切られ、不安を覚えつつあった米国議員の心を揺さぶったことでしょう。
「俺たちはこれまで世界に貢献して来た。激しく戦った日本がそれを認めているんだ。これからも自信を持って一緒にやろうじゃないか!ウオー!!!」
アメリカ人の心にど真ん中ストライクを投げ込んだ感じです。
この演説には実に多くの暗喩があります。
名指しはしていませんが、「中国が世界秩序を脅かしている」ことに日米で対抗しようと言っているのです。
日本の発展は米国の支援によるもの。
それを日本は感謝し、忠実な同盟国であり続けています。
そして中国の発展は米日の支援によるもの。
しかし彼らは友好的になるどころか、ますます居丈高になって軍事的圧力を強めています。
中国は、米国と日本が開いてしまったパンドラの箱
中国を発展させたことで様々な災厄が世界に飛び出してしまいました。
しかし、箱の底には「希望」が残っていました。
それが日米同盟だと言うのです。
これは米中冷戦の始まりを告げる演説です。
中国では不動産会社や国営企業のデフォルト(債務不履行)が増えています。
日本の経験ではこれが銀行の損失となり、金融システムが危機に陥ります。
つまりバブル崩壊が隠し切れなくなったということです。
「米中冷戦」と「中国バブル崩壊」は、経済や株価に大きな影響を与えます。
我々は時間をかけて、その結果を目撃してゆくことになるでしょう。
(終)
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