企業献金受取り法人税減税という合法的な汚職
「代表なくして課税なし」
の言葉がある。
課税とは国民の財産の強制徴収を意味する。
財産権を侵害するものである。
財産権は基本的人権の一部をなす。
したがって、財産権の侵害である課税が容認されるためには、正当な手続きが必要になるのだ。
議会制民主主義は、主権者である国民が、その代表者を議会に送り、その代表者が主権者の意思を政治の行動として実行するものである。
正当に選出された国民の代表者が、議会で正当な手続きによって決定を行う。
その決定によってしか、課税は正当化されない。
これが「代表なくして課税なし」の考え方である。
課税は民主主義の意思決定における、根本の根本であると言うことができる。
およそ、政府の活動というのは、一言で要約するならば、その本質は財政活動にあると言って過言でない。
政府の活動に必要な資金を国民から調達する。
そして、その調達した資金を政府活動として支出する。
中央政府、そして地方政府、あるいは社会保障基金の活動というのは、国民から、いかにして資金を調達するか、そして、その調達した資金を、どのように支出するのかにあると言ってよいのである。
この意味で、課税は民主主義の根幹をなす意思決定ということになる。
そうであるなら、主権者である国民は、課税の真実を正確に把握していなければならない。
日本の課税の実態がどのようになっているのか。
その課税が、主権者の意思を正しく反映するものになっているのか。
この点について、主権者である国民は、明確な意識をもって、現実を正確に把握していなければならない。
ところが現実はどうか。
どれだけの主権者が、日本の課税の実態を把握しているか。
日本の課税状況は、過去30年間に劇的な転換を遂げてきた。
その変遷を一言で表現するなら、
所得税中心主義の崩壊
能力主義の崩壊
である。
戦後日本の税制の根幹は、1949年のシャウプ税制勧告によって規定された。
その根幹が所得税中心主義である。
所得税の特徴は、累進税率にある。
所得の多い者に対する税率が高く、所得の少ない者に対する税率が低い。
現実には、所得が一定水準に達するまでは、課税が免除されている。
課税をしなければならなくなる所得水準のことを課税最低限と呼ぶ。
現在の税制では、夫婦子二人で、働き手が給与所得者で一人の場合、子どもの年齢にもよるが、年間給与収入が325万円以下の個人は、所得税課税されない。
納税額ゼロである。
税率は所得が増えるに伴って上昇する。
所得4000万円以上の部分に対する税率は所得税と住民税を合わせて55%になっている。
所得税は、基本的に、税を負担する能力に応じた課税という考え方を根幹に置いている。
これを応能課税と呼ぶ。
この方式は、格差是正、結果における平等を実現するうえで、極めて有効なものである。
戦後日本の税制においては、この考え方がベースに置かれてきた。
しかし、過去30年間の日本税制の変化は、この基本を根本から破壊するものになっている。
所得税の比率が引き下げられ、これに代わる課税の中核に消費税が位置付けられてきた。
消費税は所得税の対極にある税制であり、その最大の特徴は、超富裕者と超貧困者の税率が同一であるという点にある。
また、法人課税については、法人という人格が存在するのか、それとも、法人所得も最終的には個人の所得に帰着するため、法人の存在は擬制であるとするのか、という見方の相違が存在する。
しかし、法人所得が株式の配当や株価を通じて、富裕者の所得と結びつきやすいという点は確かである。
安倍政権は所得税と法人税の負担を減らし、消費税の負担を増大させる方向への日本税制の改変を加速させている。
法人税の実効税率を29%に引き下げる政策が大手を振って展開されているが、これと自民党への企業献金の拡大は表裏一体をなすものだ。
日本の主権者は民主主義の根幹決定である税制の改変に対して、関心を集中させるべきだ。
恐るべき制度変更が強行されていることを知っておかねばならない。
続きは本日の
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