ある日、羽がない子と出会った。
可愛くないこの子は、逃げてきたようだった。
「羽がない子だってクズばっかり みんな死んじゃえ」とかハッキリしないことをボソボソというのだった。
「どうして可愛くない私は羽のある子にも、ない子からも嫌な扱いを受けなければいけないの?」
誰かは「それは人の好き嫌いだ あなたこそお顔に囚われている」
それまた別の人は「あなたのような人を好きになるかもしれない」
以前にも別の羽がない子と話したことがある。
その子は可愛くて、身重だった。
羽が無くてもいいけど、可愛い子が生まれてくるのを願っていた。
最近聞いた話だと、羽があって可愛い子が生まれた喜んだいるそうだ。
いま目の前にいる子にも自分にも何も救いがない話にしかならない。
札でこの子は可愛くならない。
だけど、2人は札に夢を見るしかないのだった。
嫌な思いをしないようになれると信じて。