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特別な1日(Una Giornata Particolare) このページをアンテナに追加 RSSフィード

2016-01-18

TVドキュメンタリー2題:『「報道の魂」 -民主主義 何度でも-』と映画『ヤクザと憲法』

| 20:52 | TVドキュメンタリー2題:『「報道の魂」 -民主主義 何度でも-』と映画『ヤクザと憲法』を含むブックマーク TVドキュメンタリー2題:『「報道の魂」 -民主主義 何度でも-』と映画『ヤクザと憲法』のブックマークコメント

今日東京は6センチの降雪で通勤が大変でした。雪国の人からみたらお笑い草なんでしょうけど、東京人間からしたら6センチの雪なんて命がけです(笑)。こういう時は、運行を維持するために懸命に雪かきしたり、人混みの整理をしている鉄道バス会社の人には頭が下がります

今日通勤電車はこんな感じです(笑)昭和毎日:買い出し列車 - 毎日jp(毎日新聞)

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さて、台湾の総統議会選挙野党 民進党が勝ちました。ボクは詳しいことは知りませんが、2年前 政府が中国との通商協定を強引に進めることに抗議して学生たちが国会を占拠した『ひまわり学生運動』が大きな影響を与えたそうです。実際 ひまわり学生運動の流れから議員も5名も誕生しています台湾新総統、民進党・蔡英文主席が大差で当選 政権交代:朝日新聞デジタル

民進党は2000年〜2008年、初めて政権を握ったものの、トップの汚職など失政が続き、散々の体で下野したそうです。今回 政権奪回したのは、『党のトップが失政の責任を取って交代した』『中国とも共存する現実的路線を選択した』、この2つが大きかったのだと思います

政権を握ったものの、うまく行かなかったのは日本の民主党も同じです。ボクも政権当時の民主党に呆れかえった一人ですが、自民党以外の現実的選択肢と言うと現時点では民主党しか見えないのも確かです(もちろん他にマトモな政党が出てくればよいのですが)。民進党もこれからがいばらの道だと思いますが、日本の民主党、いやリベラル勢力の再生を図る上で今回の出来事から見習うべきことは多いと思いました。


最近、TVキャスター退陣が何人も重なっています。確かに安倍政権になって政権側の圧力は強まっているかもしれません。が、もともとくだらない番組ばかりですし、少しTVを過大評価しているのではないでしょうか。だいたい真面目にモノを考えるためにはTVなんて、殆ど役に立たない、と思うんですよね。良く引き合いに出される報道ステーション』なんて間違いも多いし、突っ込みも足りないし、あんもの、大人が真面目に見るようなものじゃありません政府圧力に悲憤慷慨(笑)するより、もっと自分判断力を磨いたほうがいいんじゃない、と言いたくなります。もともと物事を考えさせるような、まともな番組なんて数えるほどしかありません。NHKの『クローズアップ現代』(確かに、時々誤報やいい加減なものもありましたけど)や『ドキュメント72時間』、TBSの『報道特集』、BS-TBSの『週刊報道LIFE』、それに深夜にやっているいくつかのドキュメンタリーくらいしか思い当たりません。

                                                                              

そういえば昨晩 TBS深夜の『報道の魂』で『民主主義 何度でも SEALDs2年間の軌跡』と言う特集をやっていました。報道の魂。先日BS-TBS放送したSEALDs活動の様子、それに今夏『特攻隊で死んだ仲間が生まれ変わって国会前にいるんじゃないか』という感動的な投書を新聞に寄せた元予科練加藤さん(86歳)にSEALDsの子が会いに行った様子を組み合わせたものです。

番組SEALDs前身SASPL特定秘密保護法に反対するデモで『民主主義が終わったのなら始めればいい』とコールするところからまります。それが2015年SEALDsに発展、抗議は大きくなっていきます。その夏 彼らは投書を寄せた加藤さんに逢いに行きます。投書だけでなく加藤さんの話は感動的でした。予科練では学生たちは人間ではなく、消耗品扱いされていたそうです。それでも特攻機突入の瞬間 大抵モールス信号を『ツー』と押したままにする。『死にたくない、繋がっていたい』と思っていたからだ、と加藤さんは言います

加藤さん(86歳)はデモ光景を見て、鼻を詰まらせながら『俺たちはミジメだったなあ』と述懐ます

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加藤さんはこうも言います。『憲法希望だった。何もかも終わったところから希望は始まったんだ』。奇しくも冒頭の『終わったのなら始めればいい』というコールとシンクロするのです。

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番組は昨年12月の銀座のデモで、バカ右翼街宣車が隊列に突っ込んできた時、参加者が『民主主義ってなんだ!』とコールして押し返すところで終わります売国白痴右翼を目の前にしても元気いっぱい、多くの人が笑顔なんです。この声笑顔こそが民主主義なんだと思います

●その時のコール&レスポンス。笑顔です!

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コンパクトな番組でしたが、感動的な30分でした(番組ネットで有料配信しています)。



良質なドキュメンタリーを作っているいくつかの民放のなかでも東海TVは秀作を生んでいるそうです。戸塚ヨットスクール番組東京でも映画として公開されて話題になりました。今回はそのドキュメンタリー番組から劇場公開された作品です(放送のものとは内容は若干違っているそうです)。

東中野で映画ヤクザ憲法』。映画『ヤクザと憲法』公式サイト

ネットの紹介記事高収入TVマンが“社会的弱者”のヤクザに100日密着「それマシンガンですか?」 プレジデント探検隊【25】:PRESIDENT Online - プレジデント

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東海TVが約100日間 堺の暴力団事務所に密着ルポをしたものです。映画ではまず、撮影に際して監督が組長と約束した取り決めが流されます

「謝礼金は一切支払わない」

モザイクはかけない」

撮影素材を事前に見せない」

ヤクザがどうしてこんな取り決めに納得したのでしょうか。

そのあとカメラは堺の暴力団事務所へ入っていきます。建物の周りにはビデオカメラがいくつも設置され、狭い階段を登らなければ事務所にたどり着けないようになっています。扉は鉄製、防弾仕様(笑)暴力団の中でも本当にやばそうな、戦闘態勢の事務所です。

事務所の様子

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二代目東組二代目清勇会。玄関すぐわきの事務所には応接間と作業机、それに組員が3,4人たむろしていますカメラを抱えた、細くて弱そうなインタビューアー(監督?)は結構、ズバズバと質問をします。『事務所に銃は無いんですか』、細長いバックを見ると『これはマシンガンですか?』

率直な質問に組員は苦笑しながら『そんなものあるわけないだろう』と答えます。『銃は非合法なんだよ』とまで言うからには絶対、どこかにあるに違いありません(笑)若い子が一人いますが、あとは年配の人ばかりです。やくざ高齢化していると言いますが、なるほどと思いました。

事務所光景の次に出てくるのは会長です。彼は山口組との抗争で一般人を巻き添えにして15年の実刑を受けています。それが暴対法改正のきっかけになったそうです。だけどこの人、ルックスが格好いい。俳優みたいです。精悍な感じは61歳には見えません。

ルックスはかっこいい。

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カメラ会長が新世界を歩くのに同行します。彼の歩く姿は威張った感じもないし、そこいらのアンちゃんみたいな感じで、ヤクザには見えません。途中入った飲み屋では焼き鳥を食べながら飲み屋のオバちゃんと談笑します彼女会長タメ口で話します。『ヤクザと言っても全然怖いことあらへん。警察は守ってくれへんもん。』 組長もゲラゲラ笑っています。ここでも全然威張った感じがないのが意外でした。そのあと会長カメラは色町の方へ回るのですが、普段は絶対撮影できないような非合法なところでも、一緒だと全く平気だったのは流石です。

カメラの前で組長がヤクザ組織図を書いて説明してくれます全然知らなかったので勉強になりました(笑)

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ヤクザの月例会議というのが面白かった。まるで地方の営業所営業会議みたいなんです。組長が前に座って、その月の売上?とか連絡事項を組員に伝えるのです。やくざ組織という面では企業と変わらないんだと思いました。その会議に出ていた49歳の元ペンキ屋の組員は、商売がうまく行かなくなったとき、組長が助けてくれたからヤクザになったそうです。『どうしてヤクザになったのですか』と言うインタビューアーに対して『今の社会で本当に困ったときあんたのこと助けてくれる人が居ますか?』と逆に問いかけます。その問いにインタビューアーは返答ができない。映画の後半、彼は詐欺容疑で捕まります。                                     

●元ペンキ屋のワンルームにて。親切に受け答えしていた彼も服を脱ぐとこの通り

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カメラ山口組顧問弁護士にも密着します。さぞ儲かっているのかと思ったら、全然そうでもないそうです。事務員のおばちゃんはカメラの前で山口組からは月10万しかもらってないと断言します弁護士事務所経営も苦しくて、かっては事務員が何人もいたのに、今はそのおばちゃんだけだそうです。他の客はやはり二の足を踏むから顧客はどんどん減っているからです。しか警察から嫌がらせのような訴訟を何度もおこされています。ぼろい工場の3万円のドアを壊すことを教唆したとかしないとか、通常だったら事件になるかどうかわからない、そんな話です。そんな嫌がらせを受け続けて、彼はなぜ顧問弁護士を続けるのか。それは山口組の組長と人間関係ができているから、なんだそうです。

                                   

最年少、21歳の若い子は組の事務所の3階に住んで、月2万円の小遣いをもらって生活しています丸刈りメガネをかけた、真面目そうな子です。そんな彼は宮崎学の本を読んで憧れて入ってきたようです。それほどバカじゃない。そんな子が見通しも暗い業界にどうして入ってきたんだろう、と思ったんですけど、彼なりに考えがあるのでしょう。

カメラヤクザの負の面も捉えていますペンキ屋の組員のシノギのシーン(覚せい剤?)、その組員が恐喝逮捕されるところ、事務所野球賭博のカネの計算をするところ、若い子が上司文字通り張り倒されるところ、警察事務所に手入れに入るシーンもあります警察のほうがヤクザより遥かに乱暴でした)。

警察の手入れ風景。法的な権限がないにも関わらず、彼らは取材妨害ます

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ヤクザはなぜカメラ取材を受けたのでしょうか。組長は『我々には人権がないのか』と言うのです。銀行口座も作れない、ゴルフもいけない、出前も取れない、子供幼稚園に行くのを断られる。『法の下の平等保障した憲法14条はどうなっているんだ』と言うんです。その点については彼の言い分は正しい。

葬式にて。組長の後ろは幹部が控えます

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今 ヤクザは全国に約3万人、だそうです。思ったより少ない。彼らは絶滅危惧種なんでしょうか。確かに迷惑存在ではあります。『任侠道』の文字事務所にも大きく貼ってありますが、彼らは間違いなく一般人迷惑をかけている存在です。やはり、できればいなくなってもらったほうがいい。しかし、ここにしか居場所がない人もいる。それもまた事実。それを自己責任と片づけて放置したり、社会的抹殺することに果たして社会にとってメリットがあるのか。彼らを排除するだけで問題の解決になるのでしょうか。やくざでなく、半グレとか他の形態になるだけではないのか。

事務所3Fの居住区に張ってある『任侠道』の文字

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普段は見たことがない世界、画面で見るだけでも単純に面白かったです。だけど、ただ面白いだけでなく考えさせられる優れたドキュメンタリーでした。こういうものがなぜ全国ネットゴールデンタイムで流れないのか。視聴者もなぜ、そういうもの求めないのか。映画館はほぼ満員が続いていて、大ヒット上映中?だそうです。

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iireiiirei 2016/01/18 22:01 SEALDsの若者たちが、特攻で散った戦友たちの生まれ変わりに見える・・・それほど、今のご時世が緊迫しているのでしょうね。その80歳超のおじいさんの言葉が新鮮です。国の持つ危険性・毒がSEALDsには隔世遺伝としてヴィヴィッドに感じられるのでしょうか。

そういえば「クローズアップ現代」の国谷裕子さん、降板させられるらしいですね。籾井の意志か。

myrtus77myrtus77 2016/01/18 22:30 東京は積雪だったんですね。普段雪の積もらないところで積もると大変でしょうね。

やくざの人権、考えてもみなかったことでした。子どもが幼稚園に入れないというのも、考えたこともないことで色々考えさせられる映画のようですね。
私の好きな「聖おにいさん」というコミックには、ブッダとイエスと仲良くなるやくざが出てきますが・・。

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