なんでも掲示板として10年以上運用してきましたが、意見交換をしやすいフォーラムである特徴を生かして、『イギリス史10講』(岩波新書)や『民のモラル』(ちくま学芸文庫)、そして『イギリス史研究入門』(山川出版社)などをめぐるQ&A に特化したサイトにしたいと考えています。
日常茶飯事についてはブログ〈オフィスより http://kondohistorian.blogspot.com/〉があります。
どうぞ よろしく 2014年5月 近藤 和彦
<歴史のフロンティア> というシリーズは、山川出版社の全面的支援によって企画と執筆が進み、1993年の秋に刊行が始まりました。『民のモラル』はそのシリーズの第1巻として公刊され、良き読者に迎えられ、版を重ねることができました。個人的には1980年代からの社会文化史の一つの総括であり、この本を置きみやげに、翌94年にはロンドン大学(UCL)へと旅立ったのです。
じつはその執筆のかたわら、筑摩書房の雑誌『ちくま』253号(1992年4月)にジョン・リード(野村達朗・野田隆訳)『反乱するメキシコ』について一文をしたためていました。そのときの縁を忘れなかった編集者 Yさんが、2013年9月にまったく変わらぬ面立ちで立正大学の部屋に現れてわたしを驚かせたのです。『民のモラル』が大好きですという Fさんを伴っていました。
初版からちょうど20年。可能なら本書を〈ちくま学芸文庫〉に収めたい、そのさい自由に改訂してよいという、ありがたいお申し出でした。
あらためて著者の目で読み直してみると、これは一つの歴史的な作品であって、本質的に材料と議論を変える必要はないし、変えないほうがよいと思われます。 <歴史のフロンティア> のスタイルには60年代のスピリットが反映しています。
それにしても、『民のモラル』の表現には無骨なところがないではない。必要な箇所ではその後の拙編著への参照を求め、また全体にわたって文意を明快にすべく手を入れることにしました。
→ https://www.chikumashobo.co.jp/comingbook/
つづく
トラックバックURL : http://kondo.board.coocan.jp/bbs/trackback.php?id=598
コメント
承前
なお「新しい文化史」と題する終章は、中途半端でもあり、削除しました。終章はないほうが、「女房売り」と「スキミントン」で始まり、民衆文化と法の代執行とホーガースの表象と四つに取り組んだ『民のモラル』は、「一代の奇傑ホーガース」のメッセージに戻って終わることになり、一巻の係り結びとして、すっきりします。
副題は、いささか曖昧な「近世イギリスの文化と社会」から「ホーガースと18世紀イギリス」に改めて、焦点をはっきりさせました。この18世紀とは、本文でもいう「長い18世紀」のことです。1660年の王制復古の騒擾も、1832年の女房売りのビラも含まれる、たいへん長い18世紀です。
文庫化にともなって補論や付録を加える先例が多いことは承知していますが、本書の場合は、2つの文化が交渉する力の磁場や、いじめのパフォーマンスといった議論について、すでに初版で十分に立ち入って展開していたので、さらに加筆すべきことはありません。
図版はこの本の生命でもあり、きれいに製版してもらいました。編集者の尽力により、いくつか大胆に補充したものもあります! ロックの地図をたよりに、18世紀ロンドンを出歩くことができます。表紙デザインについては、9とおり用意してくださった案から、上のものが選ばれました。
山川版と本質的には同じです。ですが、ちくま版の『民のモラル』は、今日の近藤による改訂版と受けとめてください。『イギリス史10講』p.202でも言及していました。
6月10日発売予定。本体価格1300円とのこと。
請うご期待。