最近、新聞やテレビなどで、相続税が改正された、というニュースを耳にされた方もおられることでしょう。
そういうニュースは、こむずかしい説明や、図が書いてあることが多いですよね。
なかなか読む気にならないので、結局、自分とどのように関係があるのか分からない、そのようにお感じの方が多いのではないでしょうか。
相続税というのは、誰かが死亡したときに、その死亡者から相続・遺贈を受けた財産が、 「一定の基準」を上回る場合に、財産の取得者に発生する税金のことをいいます。
そして、この度の法改正によって、その「一定の基準」というのが引き下げられ、これまでよりも、多くの人に、相続税が課税されることになったのです。
おおざっぱに言いますと、改正前は、
遺産総額から、{5000万円+(法定相続人数×1000万円)}を控除し、それでもお釣りがくる場合に課税されていましたが、
改正後は、
遺産総額から、{3000万円+(法定相続人数×600万円)}しか控除が認められなくなったということです。
以上の説明でも、結局なんだかよく分からないという声も聞こえてきそうですね。
ただ、基礎控除額(上記の{ }内の額)は、40%もダウンしていますので、これまでより相続税が発生する人は確実に増えます。
改正前は、全相続件数の4.2%に相続税が課税されていたということですが、
改正後は、全相続件数の7〜10%程度が、課税の対象となる、というデータもあります。
相続税が改正されただけでなく、贈与税の税率が引き上げられ(50%→55%)、お年寄りの方がお持ちの資産を若い世代に移転しやすくして若い世代の消費を拡大し、経済の活性化を図るための制度の改正もされています(相続時精算課税制度の拡大など)。
当職は、相続に関するご相談を受けることも多いですが、これらの法改正もしっかり勉強して、より適切なアドバイスが出来るようにならないといけないな、と思います。
平成27年3月12日 弁護士 岡村庸靖