眺めていたい。
好きな映画というのは 何度見てもいいものです。ストーリーも、結末も知っているのに 黙って何度でも見ていられます。そう・・・じっと眺めていられる感覚です。
好きな役者が出ているとか、原作が好きとか・・・そういう理由からではなく、一本の映画として、見終わったときに 「いい映画だった。」と思えるかどうか・・・そういうものです。
有名無名にかかわらず、演技の上手下手にもこだわらず、監督が伝えたい事に 自分も興味があり、ストーリーと台詞と感情と音楽と目線(カメラを通しての画)・・・そういうものが一体となり、何かを感じさせてくれれば・・・一生の宝・・・大好きな映画となるのです。音楽も同じで、気に入ったレコードは やはり一生好きでいられます。
でも、そういうものに出会うのが大変です。片っ端から見たり、聴いたり出来るような時間も余裕もありませんから 本当に好きといえるものになかなか出会えないのでしょうか。
仮に、私が映画評論家だとしたら・・・たくさん見られるから 好きなものを見つける機会も多くていいんじゃない!と思うかもしれません。でも、冷静に考えれば とてもじゃないけど 続かないと思います。ほんとに いいと思える映画って 実際には そんなにたくさんあるものじゃないって思うんです。たくさんの映画監督がいて たくさんの作品が生み出されているけど、一生ものの映画は 案外ないものなのです。
例えば 一生ものの映画と同じ監督の作品もきっと・・・と期待してみてみても、興味の無い題材では 自分にとっていい映画とはなりません。レコードも同じ、好きなプレーヤーのレコードでも ぜんぜんいいと思えない・・・むしろその方が多い。
だから、いいと思える映画や音楽に出会いたいと思ったら とにかく見て、聴くしかない。ただし、そんな無駄な事は出来ないから あえてしない。案外偶然の中から、ロマンチックに見つかるもの・・・そんなことに結び付けて考えたりするのです。
自分でも 何をこんなにこねくり回した言い方をしているんだろうと 書きながら思っていますが、実は たった一言で言う事もできます。
それは 「雰囲気が好きだ!」ってことに尽きます。
最初から最後まで 全てを通して魅惑的な映画。A面もB面もグッと聴かせる魅惑的な音楽。そのどちらにも当てはまるのが 「雰囲気が好きだ!」ってことだけなのです。単純だけど 他人にそれを与えて欲しいと求めるのは 全く持って無理な話です。だから 滅多に無いわけです。それでも 私は求め続けるでしょう。きっと何処かにあるはずです。
私が古い家具を好きなのも同じ気持ちです。ほんとにいいな・・・と思えるものは 一生ものです。それも、飽きるとか 何も感じなくなるとか、そういうものではありません。いつでも 何かを感じさせてくれて、自分の使い方一つで もっともっと魅力的になっていく。使えば使うほど 味わいが増し、深まっていく・・・。そういうものだと思っています。
大好きな 一生ものの映画や音楽と同じように、「好きな雰囲気」を感じさせてくれるものは 何度でも、いつまでも 眺めていたいと思えるのです。
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