ネットフォーラム
高気密健康住宅
デシカ＋各室クーラー
- M. M / 関東
- 2013/11/07 09:11
これはと思う有力なスジに、デシカによる空調換気システムの可能性を教えてほしいと依頼しました。
そしたら、ダイキンから、「デシカ換気＋個別クーラーの計画図」が届けられました。
あくまでも計画図で、価格面までのことはわかりません。
しかし、デシカの定価が高いことを聞いていますし、５台もクーラーを設置するというシステムでは、設備費もランニングコストもかかりすぎるという気がしてなりません。
デシカと個別エアコンというのは、メーカーにとってはウハウハものでしょうが、施主にとっては負担が大きすぎると言う気がします。
この点を、unoさんはどう考えておられるかをお聞かせください。
コメント
M.Mさん
私は、空調・換気に関しては、理論的にはともあれ、実質的にどれだけ快適性の面やアフターメンテナンスの面で効果があり、省エネになっているかを立証してもらわないと、メーカーの側の一方的な言い分を信じてはならないと考えています。
換気に関しては、かつてはヨーロッパや北米では第３種換気が全盛でした。イニシアルとランニングのコストが安かったからです。
ところが、熱をそのまま捨てているというのはもったいないという猛反省で、第１種換気に移ってきています。１種換気の欠点を挙げていたディックス社が倒産しました。
そして、それまでの顕熱交換機を見直して、全熱交に切替えようと言う動きがカナダ、ヨーロッパ、日本でも起こってきました。 夏のエンタルビ効果を考えると、理論的には全熱交が優れているからです。
しかし、臭いの移転という大問題をカナダのメーカーも、スウェーデンも、日本のメーカーも解決していません。
このため、30〜50％という熱を、トイレ・浴室から捨てており、24時間連続排気を行わないためにカビの発生も懸念されています。
私は各メーカーが言う熱回収率80〜90％という数値は、全然認めていません。
実質的な熱回収率が50〜70％であったとしたら、エンタルピ効果で得られるものよりも、浴室とトイレから失う熱の方がはるかに大きいのです。
私は実際に使ってみて、全熱交が夏季にほとんど役に立たないことを知りました。 したがって、観念論ではなく、実質面で全熱交には批判的。
しかし、日刊工業新聞電子版の特許報道によれば、フロンティア産業の脱臭フィルターの特許が認められ、熱と水分は透過するけれども臭気やCO2は透過しないという《ガスバリア性透湿膜》が開発されたとか、されそうだという話を今春に聞いています。
実物の採用実績もないので何ともいえませんが、これが事実だとしたら、その効果性と価格性で熱交換の分野に革新をもたらしてくれるかもしれません。
そうした中の一環として、私はデシカを捉えています。
ともかく、日本には換気に関する学者先生や技術者は 腐るほどいるのに、まともに全熱交のメリットとデメリットを、建築現場、あるいは生活現場の実体を調査して、問題点を提起したり、改善点を指摘している論文を見たことがありません。
これは、私の知識不足による見落としが原因かもしれません。 しかし、かなりいい加減な製品が巷に氾濫しているのは事実。
さる４日、千葉でPM 2.5 (微小粒子物質) の警報騒ぎがありました。 環境省は、「70マイクログラムを超える怖れがある場合は、注意を喚起する警報を出すように」 と、各都道府県に通達しています。
これからの冬から春先にかけて、今までの花粉に加えてPM 2.5 が消費者を襲ってくる可能性が高くなってきました。
それを未然に防いでくれるのは、《高気密住宅》以外にはないということを、この25年間で私どもは学習してきました。
それなのに国交省は、その気密性の大切さを 大手住宅メーカーの圧力に屈して完全に無視しています。
消費者の自己防衛策に対して、非協力的。 こんな国交省をそのまま温存させておいてよいのでしょうか。
「こんな国交省は、もういらない!!」 という運動が起こっても不思議でないのですが、誰も発言しません。
それと、ホルムアルデヒド対策として、建築基準法で機械換気の導入を義務づけました。
そして、その機械換気システムはどうあった方がベターかを寒冷地や温暖地ごとに検証し、推奨してゆく責任が建築基準法の番人たる国交省にあるはず。 同省がその気になれば、多くの研究機関で取り上げるはず。 ところが同省は横を向いたままなので、各研究機関も手を抜いているように見えます。
民間企業と学識経験者が中心になって、民間ベースで、世界に通用する優れたシステムを開発してゆくことこそが、本来のあるべき姿。
それが、民間企業の無責任な思いつきに委ねられ、研究機関が正しく介助していない。 このため、世界に通用するシステムが量産化されず、日本の消費者はみじめな思いをさせられている。
これが、この10年来の 全熱交へ急傾斜していった日本の問題点だったと私は認識しています。
そして、それらの問題点を一気に解決してくれるのが、デシカ換気だと私は実感してきました。 S邸における3年間の実験で、素晴らしい効果が現出したからです。
全熱交の夏季の除湿力の低さに呆れて、ビル用の500m3のデシカをS邸に導入したのは、3年前の2010年の8月。
何しろS邸は延べ85坪の大きな家。空調機も10数kWの動力が入っています。 しかし、夏季には全熱交の除湿能力が足りず、一時的にアメニティビルトインを2台と入替え。 それでも満足出来なくて、デシカに切替え。 住宅の性能はQ値が0.9Wで、C値は0.2c��/�屐�
排気ダクトに光触媒を設置して主に浴室・トイレ・台所・シューズルームから24時間排気。 そして、ダイキンは2010年8月から2011年8月まであらゆるデータを取ってくれました。 ただ、このデータは社内秘で、今年の夏まで一切未公開。
ただ、夏場8月の室内の温湿度図と、冬季4ヶ月間の温湿度図だけは、先にブログ欄で発表しました。(2013年7月20日付の「今週の本音・何故デシカにこだわるのか‥‥」を参照)
この夏季と冬季の室内の温湿度を見てください。
夏季は、室温が27℃で、相対湿度か40％と言うところ。 つまり絶対湿度か9グラム。
ということは、室温が32℃だと相対湿度が30％、35℃だと25％強ということで、カラリとしていて冷房がなくても快適な生活が可能。 ただし、相対湿度が25％以下になると季節に関係なく、女性は肌荒れが気になります。したがって、絶対湿度9グラムで室温が27〜32℃というのが快適空間。 つまり、絶対湿度を9グラムに設定すると、高気密住宅の場合は夏季は一切クーラーの必要性はないということに。
一方、冬季は室温が21〜23℃で、相対湿度は40〜50％。平均して40％ですが、2割ぐらいの日が45％を超えています。
この場合の絶対湿度は7グラム。 しかし、準防火地域なのでサッシのU値は1.3W。 これ以上相対湿度が高いとサッシに結露が生じてカビが発生。 したがってS邸の場合は、40〜45％が限界。
理想としては、サッシのU値を0.9Wにして、相対湿度を50〜53％で生活出来ること。この場合は室温が19〜20℃でも十分に温かく感じ、それこそ暖房費が大幅に削減可能。
冬季、ほとんどの家庭では相対湿度が25％以下で、皮膚病に苦しみ、静電気も起きやすく、ストレスが溜まるし、風邪もひきやすい。
ところが、S邸では室内で風邪をひく心配がなくなっただけでなく、無垢の床材やケーシングなどの造作材が狂うことが一切なくなり、塗り壁やクロスにもシワが一つも入りません。 埃も入ってこないので、築６年たっても新築同様に美しい。 しかもクレームレス。
さて、家庭用デシカの価格は、せいぜい40〜50万円程度で入手出来るのではないかと、浅はかながら各位の言動から私は考えていました。
それだったら、S邸のデータから考えて、Q値が0.9W、C値が0.3c��/�屬僚斬陲世辰燭蕁�30坪までの住宅だったら空調機は3kW1台で済み、40坪までだと4kW、50坪だと5kWの空調機が1台で済むはずだと私は考えました。
つまり、ダクト工事を入れても120〜150万円で上がるのではないかと、浅はかにも考えていました。
ところが、家庭用デシカの定価が100万円。 その上、安全側を考えて一段上のクラスの空調機をメーカーは奨めますので、ダクト工事を入れると最低で190〜240万円にもなります。
このように、初期設定価格が高いために、普及が著しく遅れ、量産によるコストダウンの見通しが全くありません。
ご存じのように、フォードは最初のT型フォードを普及させるためには、量産された暁を考えて政策的な価格設定がなされ、大ブレークしました。
ダイキンでは、家庭用デシカに対してはそのような配慮がなく、設計・施工マニュアルも作成されずに、成り行きに任せた販売策を取りました。
このことについては、井上会長をはじめとした会社の経営方針ですから、外野席からとやかく言ったところで全く無意味。
そして、ダクト工事に自信を持っている社員がほとんどいないので、各室に個別エアコンをつけ、2分岐とか4分岐の部品を適当に天井裏でダクトを配するプランが出回っています。
M.Mさんの場合も、そのようなシステムだと思います。
一条工務店のような、各室ごとに m3 単位で風量が調節出来る分配器を、ダイキンは未だに開発していません。
このシステムが売れれば、ダイキンとしては今まで通り各室にエアコンが売れ、しかも100万円もする家庭用デシカが売れるのですから、仰るとおりウハウハもの。
しかし、消費者にとってはこれほどメリットのない商品はないと言えるのではないでしょうか。
私は、セントラル空調換気方式しかなく、3〜5kWの空調機1台で上げられない限り、デシカを採用する意味がないと考えています。
と同時に、浴室とトイレから24時間連続排気出来るシステムでないと、冬季の加湿不足が解消されず、実質熱回収率は低すぎて、省エネの面からも推薦出来ません。