久しぶりの真空管ファイナル機、TS-830V(100W改)とTS-830S、同一オーナー様からの依頼です。TS-830V(100W改)は、WARCバンドの開放に間違ったことを実施し、Sメーターが振れなくなったというもの。まず、こちらから。
オーナー様も理解しておられたようで、間違って青い線を切ってしまったとのこと。このラインはSメーターのラインでまさにそうでした。
コネクタハウジングからピンを取り出してハンダ付けにて対応。Sメータは振るようになりました。
汚れがあったので、例のごとく洗浄。
ファイナルボックスも清掃。こちらは、そんなにホコリが溜まっていませんでした。
パワーは出るのですが、IPが振りきれる勢い、アイドリング電流は120mAを示している・・・。これは電流計の指示が狂っているとスグに判断できた。ファイナルのカソード-アース間に入っている抵抗で検出しているのですが、5Ω(20Ωx4パラ)の抵抗値が大きくなってしまってます。ソリッド抵抗を外して測定してみると・・・倍以上に。これでは電流計が振り切ってしまいます。金属皮膜抵抗に交換で対応。
その他、ボリュームのガリ、接点接触不良を対策することで、品位の良いTS-830に復活できました。
<TS-830S>
もう1台の TS-830S こちらは、パワーは出るが本体のメーターが全く振れないとのこと。また、バンドスイッチの接触不良もあり整備して欲しいとのことです。
こちらの方は前者と比較して汚れや、ホコリが酷くファイナルボックス内は、相当なホコリが溜まっていました。特に、冷却ファンのところはすごいことに。ツマミ類、パネル洗浄と共に大掃除となりました。
バンドスイッチの接触不良が酷く、IPAで洗浄しているところ。真っ黒になって汚れがこびり付いてます。
こちらもIP検出抵抗を測定してみると20Ωであるところが24.4Ωに増大して、これでは正確に測れないので交換しました。ソリッド抵抗はダメですね。
調整中、急にIPが流れなくなりパワーが出なくなってしまいました。いろいろ調べたところ、
ドライバー管の12BY7Aが力尽きたようで、交換すると元通りに。
12BY7Aも結構劣化してしまうことが多いですね。IPが流れないとか、ALCが働かない時はたいていこの真空管が劣化してしまってます。
あとメーターが動かないのは、スイッチ類の接触不良。また、VR類のガリが酷く、洗浄で復活しましたが、ホコリによる皮膜が酷いせいで再発する可能性も無きにしもあらずってところです。
ただ、ホコリまみれだった6146Bは非常に元気で、最初の写真の通りALCが振れるまでドライブするとIPが250mAを超えて130W程度の出力が出てきます。これまで、TS-520, TS-820, TS-830を多数診てきましたが、130Wをマークしたのは初めてです。
まぁ、ほどぼとにしないと、タマの負担が大きくてクタバってしまう可能性が高いですが。
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