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明けましておめでとうございます。
みなみさん、野坂昭如の訃報には、わしもびっくりしました。
なんせ焼け跡闇市派だから、ヨイヨイになってもしぶとく生き続けると思ってた。
その点は水木しげるも同様。
この二人、神戸および阪神という共通項とともに、みずからの戦争体験にこだわり続けたというのも共通してますね。
実は、水木しげるは、野坂昭如の小説の漫画化なども手掛けておるのですね。
小牧さん、司馬遼、すごいです、確かに。
ことに幕末ものなど読むと、「なんでこいつが生き残って、こいつが死んでんだ…逆なら歴史も……」と思うこと度々であります。
12月の本は7冊。
『三月の招待状』角田光代(集英社文庫)
『ロック母』角田光代(講談社文庫)
『あしたはうんと遠くへいこう』角田光代(角川文庫)
『キッドナップ・ツアー』角田光代(新潮文庫)
『勇者たちへの伝言 〜いつの日か来た道〜』増田実(ハルキ文庫)
『龍馬の妻』阿井景子(ちくま文庫)
『刑事長(デカチョウ)』姉小路祐(講談社文庫)
相変わらずの角田光代月間でもあった12月。
今回の4冊も、ともに「イタイ」人々が「これでもか」と描かれていた。
でも、実際に「いるいる、こういう人」という実在感もまた角田光代なのだった。
『キッドナップ・ツアー』のダメダメ親父など、もし自分に子供がいたらば、「こういう父親になったんでは…?」と、思わず身震いしてしまったのだった。
『龍馬の妻』は、かつて三谷幸喜の脚本で、芝居→映画化された、そのタネ本かな?
もしも龍馬が死なずに明治以後も存命だったら、この人もまた「あさが来た」みたいになったのかな?
『勇者たちへの伝言』は、谷口ジローの『遥かな町へ』と同じく、中年になった男が、ふとした記憶の隙間からタイムスリップ、忘れていた少年時代を追体験するお話。
なのだが、そのキーとなる場所が、阪急ブレーブスが試合をやってる「阪急西宮球場」なのだった。
「西宮小説」と言えるかもしれない。
著者が阪急電車で移動中、「西宮北口」という車内アナウンスが「いつの日か来た道」と聞こえたのが、この小説のきっかけだったんだそうだ。
「刑事長」は、百円棚からテキトーに抜き出して買った本なのだが、なんだかひどく懐かしいというか、ノスタルジックな感じがして、「なに?」と考えたらば、その昔によく暇つぶしに貸本屋で借りていた「新書ノベルス」の臭いだと気づいた。
巻末を見るとはたして、元は「講談社ノベルス」だった。
ミステリーのはずなのに、最初におこった事件が最後まで未解決、というテキトー加減がまたノスタルジック。
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司馬遼太郎全集19 峠(一) 司馬遼太郎 文藝春秋
司馬遼太郎全集20 峠(二) 司馬遼太郎 文藝春秋
ゼロ以下の死 C・J・ボックス 野口百合子 講談社文庫
司馬遼太郎全集35 翔ぶが如く(一) 司馬遼太郎 文藝春秋
山の本 2015冬 No94 白山書房
なぜ山へ行くのか。山が来ないからだ。
鈴鹿の釈迦ケ岳に登ろうとしたが、あえなく敗退した。
典型的な冬型の気圧配置で、濃尾平野は晴れているのだが、山の登り口は小雨が降っていた。
ここにも、2年前に入山して、帰って来ないという名古屋の64歳の男性の情報求むのポスターが貼ってあった。
傘をさして歩き始める。
朝明溪谷の川に沿って登っていく。
ぴゅー、という鳴き声が聞こえ、鳥の声にしては大きい。
鹿だった。
こちらを見ている。
くるりと反転して白い尻を見せて逃げていった。
羽鳥峰峠に着くと、吹雪いていた。
強風で傘がくしゃくしゃになった。
稜線の向こうは日本海側の天気なのだ。
峠の右上に小ピークがある。
薄く雪を被ったざらざらした斜面を登り、ピークに辿りつく。
羽鳥峰山823mだ。
ブルジュ・ハリファ828mに負けてる。
そこまで行って、これ以上吹雪の中進んでも、ろくなことはないと、釈迦ケ岳登頂を断念、また来ればいいさ。
山は来ないが、逃げることもない。
峠』先月船戸さんの『新・雨月 戊辰戦役朧夜話』を読んで、河井継之助という人物に興味を持ち、司馬遼太郎が河井継之助を主人公にした『峠』を書いていると知って、読んだ。
当時最新鋭の武器、ガトリング砲を手に入れて興奮するさまが印象的だった。
『ゼロ以下の死』猟区管理官ジョー・ピケットシリーズ。
これは必読、もちろん期待は裏切られません。
『翔ぶが如く(一)』『峠』に続いて、西郷隆盛の話も読みたくなってしまった。
『竜馬が行く』などと違って、小説っぽくない。
しかし司馬遼太郎、すごいなあ。よく調べたなあ、と圧倒されながら読んでます。
というわけで、今年もこちらでいろいろ遊ばせてもらって、ありがとうございました。
来年もよろしくです。
皆様、よいお年を。
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『犬の心臓・運命の卵』ミハイル・ブルガーコフ(岩波文庫)
もちろん、2作とも当時のソ連の政治体制への批判がこめられているのだけど、『犬の心臓』は「怪奇大作戦」風、かたや『運命の卵』は「ウルトラQ」風の怪獣ストーリーでありました。
『死のドレスを花婿に』ピエール・ルメートル(文春文庫)
こういう作品を「イヤミス」というのだろうか。
とにかく「犯人」がヒロインをおとしいれるワナの数々が、愚劣で陰湿で、不快きわまりない。
読み手をそんな気分にさせるのは、ミステリとしては成功なのだろうけど。
『乱離骨灰鬼胎草』野坂昭如(福武文庫)
なにか読み返したくなって、作者50代の短編集を本棚からひっぱりだしました。1986年5月刊。
「らんりこつぱいおにばらみ」と読ませる表題作は、歴史奇譚と見せかけて、ナント原発小説!
戦時中の強制連行を題材した作品もあります。
すべての作品に、死のカゲが色濃くただよっている。
焼け跡闇市派は、戦争が「日常」で、戦後が「非日常」だったと、いまさらながらに感じました。
野坂昭如は、西宮に縁があって、『火垂るの墓』の回生病院(今年7月取り壊し!)にとどまらず、震災前まで夙川にあった喫茶店『ラ・パボーニ』には、たびたび顔をだしていたようです。
この短編集、どこかの文庫で復刊すればイイのに。
では、どちらさまも、つつがなく越年なさいますように!
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ドン・ウィンズロウの新作が2冊同時発売なんですか?
(「報復」「失踪」)
ミレニアム4も出たし、来月にはサラ・ウォーターズもヘニング・マンケルも発売になるし。
しかもいまの職場は翻訳小説なかなか買ってくれないし。
全部自分で買っていると破産。
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スポニチとニッカンが「SMAP解散!」をブチあげたアノ日。
サンスポは、ドライチの高山、デイリーが福原の、ともに苦肉の「ヒマネタ」の一面でした。
ところが、駅売り部数のトップだったのは、意外にもサンスポでした。
どこまで、タイガースが好きやねん!
とゆーか、SMAPファンの女性はスポーツ新聞などハナから買わないのか、それとも真夜中から早朝にかけて、SNSですでに知れ渡っていたからか?
からすさん、いま『野坂昭如コレクション』(国書刊行会刊)という傑作選を読んでいます。
その解説によると、滝田ゆうとのコラボレーションの舞台は『小説新潮』だったようです。
『滝田ゆう怨歌劇場』に収められているそうです。
今年も「1・17ひょうごメモリアルウォーク」に参加してきました。
「震災の記憶を風化させるな!」なんて、ほとんど脳裏になく、たんに淡々と歩くのが、けっこう好きなんです。
でも、さすがに東公園では、ジーンときてしまいました。
> スポニチとニッカンが「SMAP解散!」をブチあげたアノ日。
正直言うて、「SMAP解散」が、それほどのオオゴトとは、なかなか認識できません。
「ビートルズ解散」は、確かにめちゃインパクトのある事件でしたけど、それに比べたら、極東のいち些末事じゃ……? などと、どーしても思ってしまって。
そーいえば、「尾崎豊自殺」の報に接した時も、「誰? それ?」なのだった。
それにつけても、「デイリー」の姿勢は、すがすがしくて「よろしい!」と思うのでした。
> からすさん、いま『野坂昭如コレクション』(国書刊行会刊)という傑作選を読んでいます。
> その解説によると、滝田ゆうとのコラボレーションの舞台は『小説新潮』だったようです。
> 『滝田ゆう怨歌劇場』に収められているそうです。
へへへ、実は画像のとおり、買ってしまったのでした。
講談社文庫です。
今回のメルマガで触れたから、なのですが、あの原稿は記憶で書いたので、確かめるためにアマゾンで取り寄せました。
やっぱ、記憶のとおり、「火垂るの墓」は、ジブリよりも滝田ゆうハンの方が、より原作の空気を伝えています。
ただ、初出は、「小説新潮」ではなく「小説現代」だったようで、おそらく「野坂全集」の記載は誤りです。
記憶が曖昧だったので、メルマガでは「月刊文芸誌」としたのですが、この文庫版にも「初出・『小説現代』」とありますし、わしの記憶でも、確か「小説現代」でした。
> 今年も「1・17ひょうごメモリアルウォーク」に参加してきました。
> 「震災の記憶を風化させるな!」なんて、ほとんど脳裏になく、たんに淡々と歩くのが、けっこう好きなんです。
> でも、さすがに東公園では、ジーンときてしまいました。
わしも、近頃はやみくもに歩いております。
『〜怨歌劇場』の書影を見せてもらって、わたしも滝田ゆうの文庫をもっていたはずと思い出しました。
たしか複数の作家の原作を描いたものだと思います。
週末にでも本箱をゴソゴソやってみます。
処分していなければ見つかるはずです。
ネット検索すれば、即座に書名など詳細なデータがわかるはずなのですが、おっちゃんになると、意固地になって、へーんだ!間違っていようが、自前の記憶で十分だーい!と、昨今ますますそんな気分なんです。
あーあ、オヤジってイヤだなあ。
昨年、夙川河口の回生病院取り壊しにあたって、野坂昭如さんは朝日新聞の阪神面に、おそらく夫人の口述筆記と思われますが、寄稿されていました。
さすが!と感動したのは、記事に添えられた近影でした。
フツー、若くて元気なころの写真で、お茶をにごすでしょ。
なのに野坂昭如さんは、あきらかにリハビリ中の写真を選ばれていたのですよ。
なかなかできることではないと思います。
焼け跡闇市派の矜持と、胸をうたれました。
「夙川河口の回生病院」、初めて目にしたのは、30年くらい前。
何の気なしに阪急夙川から夙川公園を河口に下っていって、海に出たところであの病院が見えて、あれ?ひょっとしてあの病院って、あの小説に出てきた……?
と感動したのでした。
あれは確か、筑摩書房から出ていた雑誌「終末から」だったと思うのですが、赤瀬川原平の連載の中で「偽新聞」というのがあって、その「偽『朝日新聞』」にあった一面トップ記事。
「野坂昭如氏東京都知事に」
「初の焼け跡闇市都政実現」
これには、大笑いさせてもらいました。
ところで、甲子園球場24号門近くの外壁に、蔦に混じってヤマイモの蔓を見つけました。
甲子園球場には、ヤマイモも育ちつつあるようです。
果たして戦時中……野坂兄妹が夙川河口で水浴びしてたころ……球場の内外屋が畑にされた時代に植えられたものなのでしょうか?
だとしたら、今や巨大な芋が、あのグランドの下に育っているかもしれません。