韓米は昨年10月、朴槿恵(パク・クンヘ)大統領の訪米時に北朝鮮の核問題に関する共同声明の発表に向け、文言の調整にかなりの綱引きを展開した。韓国政府は「米国が北朝鮮の核問題を最優先(トップ・プライオリティー)で扱う」という表現で確固たる意思を示すよう求めた。しかし、米国は難色を示し、結局は「最高の急務(アットモースト・アージェンシー)」という文言で折り合った。
それなりの表現だとは言えないこともない。しかし、米国では大統領がどのような表現を用いるかによって、政府の後続措置に大きな違いがある。「最優先」と言えば、実際に政策に反映されなければならない拘束力を持つと受け止められる。一方、「最高の急務」は政策的な圧力にはさほどならないというのが外交関係者の受け止めだ。「やや強めのリップサービス」という程度にすぎない。実際に共同宣言後、米国は北朝鮮の核問題でこれといった動きを見せていない。
「以逸待労」――。北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議で中国の最高責任者を務める武大偉・韓半島問題特別代表が昨年、韓国代表団に中国の立場を説明する際に用いた表現だ。以逸待労は兵法三十六計に出てくる計略で、「休んで期を待ち、敵の疲弊を待つ」という意味だ。
中国が米国よりも先に頭の痛い北朝鮮の核問題にカネとエネルギーをつぎ込む意思はないことを遠回しに表現したと言える。米国の対北朝鮮政策の基調である「戦略的忍耐」について、中国は「自然に解決されることを望む無責任な対応だ」と非難してきた。しかし、以逸待労を中国版の戦略的忍耐と解釈しても問題はなさそうだ。