”一億総活躍社会”、女性の活躍はキーワードの一つだが…
2015年安倍政権下での「ニッポン一億総活躍プラン」のキーワード、”一億総活躍社会”。
政府の説明によりますと、「若者も高齢者も、女性も男性も、障害や難病のある方々も、一度失敗を経験した 人も、みんなが包摂され活躍できる社会、それが一億総活躍社会である 」とのこと。
「希望出生率 1.8(2014年は1,42)」の実現に向けて、子供を産み育てるに足る若者の雇用・経済的基盤の改善と同時に、仕事と家庭の両立ができる環境づくりのため、結婚から妊娠・出産、子育てを 望む全ての人の希望をかなえる環境整備、「女性の活躍の環境整備」を図ることが挙げられています。
一億総活躍プランにおいて、女性の活躍促進にはかなりの重点が置かれています。
ただ、「女性の就労」を促進するためとして、現行の配偶者控除制度などを見直す。と言っている割に、長時間労働の是正でワーク・ライフ・バランスの 実現を加速する。とも言っていたりと、少し整合性が取れていない印象も受けます。
さらにダメ押しとして、安倍首相の12日の衆院予算委員会の実質賃金の低下にかんする答弁
「(例えば)妻は働いていなかったが、景気がよくなって働くことになり、私が50万で妻が25万なら75万円。2人で働くと平均は下がる」という発言が波紋を呼んでいます。
「パートの現状がわかっているのか。25万円のパートがあったら教えて欲しい」ということで、首相は市井の人々の実生活レベルを全く把握していないとして非難を浴びています。
女性が働かないと、家族が維持できない
2015年版「厚生労働白書」によりますと、婚姻率は20〜24歳で正規雇用者は9.6%。非正規雇用者は3.7%。25〜29歳は正規雇用者が33.4%。非正規雇用者が14.5%と成っており、婚姻率は雇用形態によって大きく変わることが明らかになりました。
さらに正規社員でも、国税庁が2013年9月に発表した調査によると、国内における民間給与は2年連続で減少しており、原因としては(これが昨日の安倍首相の発言を引き出したとも言えるのでしょうが)
従業員の総数は増えているにもかかわらず、給与総額の減少が止まらないためだと言われています(生産性が低い正規社員を解雇するのは日本では各種規制により、非常に難しいことです)
そんな中、平成17年度版国民生活白書によりますと、一人の子どもを育てる費用は、一人目が約1,300万円(各種補助の助けを借りたとして)、二人目はその8割程度は必要だとのことでした。
政府の掲げる「希望出生率1,8」を達成するためには、各家庭約2人の出産が必要ですが、この現状を見ると「結婚したら女性は専業主婦」ということはとてもできない状況です。
つまるところ、月収25万円貰えていようがいなかろうが、女性は働くしかないのでしょう。
非正規社員でも、育休取得できる社会へ
ちなみに、一億総活躍社会の実現に向けて、「非正規雇用労働者の育児休業取得」を実現するための法改正が提言され、現在各派遣会社が準備中です。
非正規社員は、正規社員の育休の穴埋め・代替要員として利用されがちで、育休が終了したら解雇されることが多いものです。
厚生労働省は昨年4月、中小企業における育休取得率を上げるため、育児休業を取得する従業員の代替要員を確保した企業への、助成金制度を拡充しましたが、正規社員の育休が終わると切られてしまう非正規社員の立場まで、考慮しているとは思えません。
この「非正規雇用労働者の育児休業取得」に、対応可能だ。と答えた派遣会社は46%ありますので、今後ますますの法整備を期待したいところですね。
日本の育休制度はけっこう恵まれています。
内閣府男女共同参画局の報告によりますと、スウェーデン及び、ドイツでは手厚い育休制度が導入されていますが、アメリカ及び、イギリスなどでは、日本(子が1歳になるまで)と比較しても、全く手厚いものではないとのこと。
ちなみに育休期間及び、育休取得率の低いアメリカでは、先頃行われたオバマ大統領最後の一般教書演説においても言及がありましたが、アメリカ政府はこれまで、追加で6週間の有給の育児休暇(payed parental leave)を、雇用主が用意するよう求めてきました。
むしろ日本においては、6歳未満児のいる夫の家事・育児関連時間(1日当たり)が、国際比較でダントツの低さを示していることのほうが重要視されるべきかもしれません。
リクルート、育休明けの女性社員とその上司を対象とした公開型研修をリリース
株式会社リクルートマネジメントソリューションズ(本社:東京都千代田区)は12日、リクルートグループが取り組む「子育てしながら働きやすい世の中を、共に創る」をキーワードに、「はたらく育児」を応援するプロジェクト”iction!(イクション)”の一環として、育児休職明けの女性社員と、その上司を支援するための3時間の研修コースを3月より提供開始すると発表しました。
内容は以下のようになっています。
●本人向け:継続的な活躍に向け、復職後の不安やストレスの早期解決
●上司向け:育児中の社員への適切なマネジメントのポイント
「同じ立場の人と語り合う中で、”悩んでいるのは自分だけではない”ことを理解し、参考事例や働き方のヒントを得て、自分にとってのよりよい働き方や仕事への向き合い方を考えます。」とのことで、受講後は次のような状態を目指します。
● 自分の現状をまずは受け止め、焦らずに頑張ろうと思えている
● 今回の研修で気づいたこと、感じたことを上司・同僚などの周囲に話してみようと思える
● 今後働く上での目標や心構えのようなものができる
詳しくは、リクルートラーニングクラブ【女性活躍推進】育休復職後の時短勤務の心構えと働き方~自分らしく、成長し続けるために~および、リクルートラーニングクラブ【女性活躍推進】育休復職者・時短勤務者の“上司としての”心構えとポイント(管理職対象)をご覧下さいますよう、お願いいたします。
「参照」
- 一億総活躍国民議会(首相官邸)
- UAゼンセン 男女共同参画推進計画(PDF)-uazensen.jp
- 平成17年版 国民生活白書「子育て世代の意識と生活」
- Back to Work: What Comes After the President’s Final State of the Union Address-whitehouse.gov
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