規制緩和後、事故が増えた?
先週15日、長野県軽井沢町でスキーバス転落事故が起きた。乗客乗員41名のうち14名死亡、27名重軽傷という痛ましい事故だ。
特に、死亡したのは若い大学生ばかりで、本当にやりきれない。亡くなった方のご冥福を祈るとともに、けがをされた方の一日も早い回復を祈りたい。
事故原因はこれから究明されるだろうが、バス運行会社には多くの法令違反があったようだ。
マスコミの中には規制緩和の弊害を指摘する声もある。たとえば、17日に放送されたテレビ朝日の『サンデースクランブル』である。小泉構造改革による規制緩和のせいだと断定するように、小泉首相(当時)の映像を映したあと、「規制緩和によって新規参入者が増えたせいで、バス会社の利益が出なくなった。(だから、いろんなところで無理をする業者が増えた)」としていた。
本当に規制緩和の弊害だろうか。まず、そのときの規制緩和がどのようなものだったのか、振り返っておこう。
バス事業には、「乗合バス」と「貸切バス」がある。今回事故を起こしたのは、後者の貸し切りバスだ。交通分野での規制緩和は先進国に多くの例があるが、日本での取り組みは遅れていた。1996年末の段階で当時の運輸省がようやく発表し、1998年度からの3ヵ年計画である第2次規制緩和推進計画に盛り込まれた。
貸切バスは先行して2000年2月に、乗合バスについては2002年2月に、需給調整規制の廃止等を内容とする改正道路運送法等が施行された。これらにより、事業の参入については、需給調整規制を前提とした「免許制」から、輸送の安全等に関する資格要件をチェックする「認可制」へ移行し、運賃制度についても、事業者の創意工夫により多様な運賃を設定することが可能となった。
免許制と認可制は行政実務としてはあまり大差ない。認可制から「登録制」になると、行政裁量がなくなり参入業者は飛躍的に増えるが、安全面についての行政のチェックの厳しさが変わることはない。この意味で、この規制緩和は経済規制緩和であって、それほどドラスチックなものではなかった。
貸切バスの規制緩和では新規参入がやや促進したが、乗合バスではもともと採算が悪かったので、あまり新規参入はなかった。その結果、貸切バスでは料金値下げが起こったが、乗合バスでは一部に競争促進の事例があるものの、全体としてみれば価格の低下などにはあまり起こらなかった。
先行して規制緩和した貸切バスや、それが遅れた乗合バスのいずれでも、懸念されるのが事故率の変化である。認可制であるので、法律上の建前としては安全基準に問題がある業者は、事前チェックによって排除される。
ところが、実際にそうなっているかどうか。それがポイントであり、もし安全基準をないがしろにする業者が、規制緩和によって参入してきたとすれば問題である。では、その点についてみてみよう。
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