うっ…うぅ〜っ…!
(史恵)ちょっ…!お父さん!?
(珠恵)どうしたの?分からない。
急に倒れた。
(珠恵)お父さん!お父さん!救急車救急車呼んで!
(史恵)分かった!
(珠恵)お父さん!お父さん…!
(珠恵)
いつもどおりの昼食風景でした。
献立は主人のリクエストでにゅう麺を用意して。
主人は糖尿病を患って10年。
カロリーや塩分に制限があるので食事にはいろいろ気を遣います
そろそろご飯にしませんか。
お父さんご飯!どうして最近母さんはそういうキツイ口調で話すのかねぇ。
・
(史恵)ただいま。
(珠恵)おかえり。
お母さんはい。
あっありがとう。
あなたもにゅう麺食べる?うんそうね。
おしょうゆ安かったから買っといた。
あ〜ありがとう。
うぅっ…!お父さん…?うぅっ…。
ちょっ…!お父さん!?
(珠恵)どうしたの?分からない。
(救急車のサイレン)
(救急隊員)堂本史也さん67歳男性。
(森)堂本さん!分かりますか?
(森)移すぞ!1・2・3!森先生酸素量は?5リットルで流して。
はい。
ルート確保輸液生食で。
モニターのっけて。
(看護師)はい。
堂本さん機械を付けるので服切りますよ。
(森)あっ手術痕。
レントゲン持ってきて。
患者を救え!分かりました。
ほう?糖尿病です。
(光浦)正解だと思います。
珍しいですよね。
最初に病名を言ってるっていうのはね。
で窒息状況ですからね。
さあ光浦さん。
どう推測します?え〜分かんないけど一つ言えるのは…
(玉ちゃん)耳が悪い?耳が遠かった。
だってねいい人そうですもんね。
「お母さんそんな言い方して」ってあれ仲いいでしょ。
無視するまだそういう関係性ではない夫婦が。
冷えた関係性ではない。
ドンさんなんか糖尿病既に…。
そうそう。
(玉ちゃん)あらららら。
長いですね。
じゃあちょっと窒息した事も…?いやそれはないでしょ。
どうして窒息なのかそれよく分かんない。
いろいろ糖尿するとこんなふうになりますよって事は医者に言われてるわけだから。
合併症をねよく言われますよね。
そこは怖いから気を付けなさいって言われてるいくつかはあるんだけど俺も結構詳しいんだけど窒息は分からない。
さあそれでは今回の症例を解決したドクターGの登場です。
(玉ちゃん)今回のドクターGは…
(拍手)さあいきなり大変な展開なんですが。
糖尿病っていうのは分かってるわけですね。
そうですね。
糖尿病は本当にいろいろな病気が出てくるので合併症を含めていろいろ考慮しながら進める必要がありますね。
さあ救急から始まりましたが…。
ERに登場した先生は今回書記の森先生になります。
(玉ちゃん)あっ森先生!
(光浦)さっき出てた。
(玉ちゃん)森先生全然随分違いますねVTRと。
森先生は救急医なんですか?自分はですね中部病院の4年目の医師をしています。
救急も今のように対応する事がありまして。
金城先生のいる沖縄県立中部病院では患者の症状が多岐にわたる場合必要に応じて複数の科の専門医が参加するチームが組まれる。
適切な治療を行うため時には1人の患者を7〜8人の医師が診る。
専門知識や経験を合わせる独特なやり方で患者の命と向き合っているのだ。
今回のケースは金城先生森先生を含めたチームで取り組んだ症例だ。
病気の正体を探り当てるために全国から集まって頂いた研修医はこちらの3人です。
(拍手)さあ堀江先生。
VTR見てどういう病気だと思いました?人工透析とかそういうのもされてるので早急に対応した方がいいと思っています。
來間先生どうですか。
任されたら何を診るのがポイントでしょう?糖尿病であるとか人工透析あの左肩の手術の痕も何の手術であったのかなどが気になります。
(玉ちゃん)さあ松浦先生どうでしょうか?どこがポイントでしょう?一番疑わしいのはやっぱり息を詰める物をのどに詰めて窒息してるというのがあるんですけれども本当にそれが物を詰めた事によるものなのかそれとも何かきっかけがあって詰まらしたのかという事を注目したいかなと思います。
森先生はこの症例でどこをポイントと考えてますか?今研修医の先生がおっしゃったようにですね自分も意識を失ったから窒息になってしまったのかそれとも最初に窒息があって意識を失ったのかこの順番が非常に大事だなというふうに思っていました。
あっそうなんだ。
順番があるんですね。
意識をなくすにしてもね。
さあそれでは再現ドラマを見て頂きましょう。
ドクターGの症例に研修医が挑みます。
正しい病名にたどりつき患者を救う事ができるのか。
ドクタージェネラル!おはようございます。
おはようございます。
森先生。
先生おはようございます。
わざわざすみません。
はい。
昨日の昼に救急搬送されてきた67歳の男性なんですが…。
一時的な心肺停止ですぐに呼吸も心拍も落ち着き現在ICUで経過を見ています。
特に問題ありません。
正常です。
これを見て下さい。
(森)堂本さんMRI撮れないんです。
3年前に肩を骨折した時の金具が入っているんで。
意識消失が先かのどを詰めたのが先かで疑う病気が全く違うわね。
そうですね。
どちらが先かで鑑別が変わってきます。
昨日の診察の時にそのあたりもご家族に確認してみたんですけど。
詳しく聞かせて。
バイタルは?体温37.8度血圧149の90脈拍92です。
少し落ち着いてきました。
倒れた時の事を聞かせて頂けますか?突然倒れたんです。
間違って食べ物が気管に入ったりとかですか?あぁ…私はちょうど食卓を離れていたので倒れた瞬間は見ていなかったんです。
堂本さん。
先にのどが詰まって意識がなくなりましたか?思い出せませんか?はい。
あっ娘が見ていたはずです。
もうすぐ来ますので確認します。
糖尿病という事ですが心筋梗塞の既往は?ありません。
脳梗塞は?それもありません。
(森)他に大きな病気は?肩をケガした時が大変だったくらいで…。
あ…でも週に3回人工透析をしに別の病院に通ってます。
人工透析を始めて何年ぐらいですか?2年…ですかね。
(森)他に糖尿病で気になる症状はありませんか?ん…?以前は低血糖を起こして倒れた事もありますが最近は…。
他にはどうでしょう?これといって…。
ほらお父さんちょっと前に目がかすむって言ってたじゃないの。
えっ?目よ。
あぁ目な…。
疲れ目かなと思って。
とりあえず洗面道具とか着替えとか必要そうな物持ってきたわ。
ありがとう。
お嬢様ですか?はいよろしくお願いします。
(森)倒れた時の状況を聞かせてもらえますか?にゅう麺をズルズルッと吸って…。
(史恵)
それから急にのどがグッとなってパクパクしたかと思ったらそれからバターンって…
ちょっ…!お父さん!?事前に兆候はありませんでしたか?そういえばここ1週間ほど食べ物が飲み込みにくいと言うので献立もにゅう麺にしたんですが…。
ご家族の話によるとのどが詰まって意識を失ったそうです。
本人ははっきりとは覚えていません。
(医師B)飲み込みにくいかぁ。
(森)CTではのどには問題ないです。
(医師A)のどの少し上の部分に若干の腫れがあるけど飲みにくくなるほどかなぁ。
熱が37度8分…。
でも風邪というわけでもないのよね?そうです。
のどの痛みやせきの兆候はありませんでした。
そうなると微熱の原因はどこにあるのかなぁ…。
はい糖尿の病歴については詳しく聞いてみたんですけど…。
堂本さんどんな事から糖尿病と分かったんですか?10年前水虫がこじれていつまでたっても治らなかったんです。
(珠恵)いらっしゃいませ。
(堂本)Aランチ上がったよ。
(堂本)
私は家内と2人で洋食屋をしていました
お待ちどおさまでした。
(堂本)
前から健康診断で血糖値が高いと言われていたし疲れっぽくて痩せてきたんです。
それにねほら糖尿病になると水虫が治らないっていうじゃないですか。
もしやと思って医者に行ったら…
堂本さん。
あなた糖尿病がかなり進んでいますよ。
すぐに治療を始めないと水虫が治らないどころか下手をすると脚を切らなきゃいけなくなりますよ。
えっ…。
(堂本)
それからインスリンを打つようになって慌てて食生活やら運動に取り組みました
(堂本)たばこもやめたし酒もなめる程度にしました。
もちろん趣味だった食べ歩きもやめました。
でもねぇ遅かったんだ…。
2年前私と夫で店を引き継いで両親と同居をし父には治療に取り組んでもらうようにしたんです。
どうかな?う〜ん…。
味が濃すぎるかな。
もう少し薄口にした方がいいんじゃない?
(堂本)どうした。
俺が見てやろうか?逆だよ味が薄いぞ。
うんこんなもんだよ。
これはしょっぱすぎるわよお父さん。
え〜?そんなはずないだろう。
(堂本)舌が鈍くなったんだと思ってがく然としました。
そのころ吐き気がすると言って受診したんですけど尿毒症になってると…。
それで2年前から人工透析を受け始めたわけですね。
(堂本)
透析を始めて味は少しずつ分かるようになってきました
(森)
透析を受けている時に具合が悪くなった事は?
(堂本)
これといっては…
そうですか…。
他にお医者さんにかかっていませんか?あっ…あの…耳鼻科に。
前に耳だれが出て耳がうずくと言って医者に行きました。
糖尿病だと治りにくいって言われて…耳鼻科には時々通ってるのよね?うん。
耳鼻科には問い合わせたの?はい。
・
(森)あ鳩山先生ですか?よろしくお願いします。
(鳩山)はいはい堂本さんですね。
悪性外耳道炎にかかっていたので抗生剤を入れたところ症状は改善しました。
今は経過を見てたところです。
う〜んこれは難問だな…。
そうなんですよ。
何か見落としている事があるかもしれないわね。
(玉ちゃん)う〜ん。
さあさあ家族の話では窒息が先。
これ重要なポイントだと言ってましたからね。
だけどねもう病気のデパートだねあの人は。
ねえ。
(玉ちゃん)いきましょう堂本史也さんのバイタルデータでございます。
(玉ちゃん)こういったデータになってますが先生どうでしょう?微熱があるほかのバイタルは落ち着いてきてる様子で。
(玉ちゃん)なるほど。
ちょっと微熱があるんですね。
それでは研修医の皆さん疑われる病名をフリップにお書き下さい。
どうぞ!ね〜。
いやいっぱいあり過ぎて分かんないねこれ。
(光浦)分かんない。
目がおかしくて耳がおかしくて。
味覚障害。
味覚がおかしくて。
(小西)よく合併症って言われますよね。
だから何か一つが悪くなると全部連鎖していくという。
これ全部僕はイメージ的にですけど…そもそも糖尿病からっていうのだと思うんですけど…
(玉ちゃん)傷口も治りづらいとかね。
糖尿病になると血液中の糖分が増え血流が悪化します。
血管や神経が傷つきさまざまな合併症にかかりやすくなります。
更に免疫力が低下すると病気が治りにくくなります。
足の先の小さな傷から細菌が入り込んだ事で壊死が広がり脚を切断しなくてはならない場合もあります。
ドンさんは糖尿病と診断された時どこからだったんですか?僕の場合はそうですね予備群だったんですよ。
(玉ちゃん)予備群。
ああ出ました。
(光浦)治るって事はあるんですか?予備群から。
例えば運動によって筋力をちゃんとつけていって糖をちゃんと消費できるような形に体をつくっていくという事もできますしもちろん改善はできると思います。
でも医者にね予備群の時にそれこそきちょうめんにあれやってこれやってこれやってあれやってって…。
なかなかできないですよね!大変ですよねほんとにね。
今だったら分かりますよ。
あの時にやっときゃよかったって。
さあ研修医の皆さんが病名を書き終わったようです。
一体どんな病名が出てくるんでしょうか。
それでは一斉にお出し下さい。
フリップオープン!
(玉ちゃん)さあいきましょう!さあじゃあ堀江先生からお願いします。
サルコイドーシスを挙げました。
(光浦)サルコイドーシス…?
(玉ちゃん)さあ來間先生。
私は糖尿病性の神経障害を考えました。
(玉ちゃん)はい。
松浦先生。
敗血症を挙げました。
ここからはドクターGと研修医との真剣勝負。
カンファレンススタート!じゃあ堀江先生の方からまずサルコイドーシスとはどういう病気なのか教えて下さい。
全身の…心臓であったりとかあと神経のところにも出来てしまったりとかして起きる病気です。
サルコイドーシスは全身のリンパ節や臓器皮膚などに「肉芽腫」と呼ばれる異常な細胞のかたまりが出来て炎症を起こす原因不明の病気です。
肺に出来る事が多く息苦しさやせきが出ます。
まれに心臓に出来ると不整脈や心不全によって心臓が止まり意識を失う事があります。
その意識消失して詰まったのかなと思いましてサルコイドーシスだと心臓にも出来やすいので今回意識消失が起きたのがそういった不整脈から起きるものなのかなっていうのとあとは目がかすむっていうのも糖尿病で網膜症になって目がかすむっていう事もあるんですけどサルコイドーシスでもブドウ膜炎といって目がかすむ事もあるので。
合わない点は?ちょっと微熱があるのがちょっと気になるところでそこはちょっと違うかなと思ってます。
じゃあ松浦先生敗血症病名の説明をお願いします。
はい敗血症というのは感染症にかかる事で血液の中に菌が出てきてしまうような病態です。
僕は意識障害がきてから窒息したのではないかと考えました。
今回のVTRのどのシーンから?
(玉ちゃん)そう言ってたね。
まず10年ぐらい前から糖尿病があったという事でやっぱり糖尿病の方というのは感染に対して弱くなっています。
なので感染しやすい環境にあります。
合わない点はいかがですか?まず飲み込みづらいのが前からあったというのが少し合わない感じがします。
來間先生じゃあ糖尿病性神経障害という事でその病気の説明をまずはお願いします。
糖尿病には合併症がありますけれどもその中で神経に出てくる症状としては手足の先がしびれるという症状であるとか水虫のように感染や痛みなどに気付かない事もあります。
糖尿病性神経障害は糖尿病の合併症で脳や脊髄から体の末端までのびている末梢神経などに障害が起きる病気です。
のどの神経に問題が起きると飲み込みにくいといった症状が出ます。
目撃された娘さんの病歴を聞くかぎりでは…この方は糖尿病が10年前からという事でさまざまな合併症腎臓にも合併症が起こってますし神経の合併症も間違いなくあるだろうというところとやはり味覚障害と嚥下機能の低下などといって神経症状が少しずつ進んでるのではないかなと考えました。
(玉ちゃん)どうですか?のどに詰まって。
窒息して迷走神経反射のようなもので意識を失ったのではないかと考えました。
恐怖や痛み精神的ショックで迷走神経が刺激されると脳への血流が急激に減り意識を失う事があります。
ショックが大きいとその時の状況を覚えていない場合もあります。
來間先生はのどを詰まらせ息ができなくなったショックから迷走神経反射が起き意識を失ったと考えた。
一方2人は堂本さんが覚えていない事から…
(森)先にのどが詰まって意識がなくなりましたか?思い出せませんか?はい。
果たしてどちらが先に起きたのか?今回の症例は窒息が先だったんですか?それとも意識消失が先だったんでしょうか?だから意識がなかったら落っことしてる。
確かにそうですよね。
だからどうも意識残ってたように見える。
…ようには見える。
確かに堂本さんはおわんを落としてはいなかった。
のどを詰まらすまで意識があったのでは…。
覚えていない事もその時のショックが大きかったと考えれば説明がつく。
どっちだったんでしょうか?
(堀江)窒息が先かなと。
窒息が先。
そこはよろしいですかね皆さん。
意識消失が先に起きる病気の可能性は低くなった。
のどが詰まったのが先なら來間先生が挙げた「糖尿病性神経障害」なのか?窒息をしてから意識がなくなったというパターンを考えるとするとどういう疾患を考えとかないといけないでしょうか?嚥下障害とかそういうのがあれば…と思います。
嚥下障害が起こるっていうお話ですけどもどのように…?脳神経っていう…飲み込みをつかさどる神経なので。
(玉ちゃん)そうなの?知らなかった。
ちょっとじゃあ神経の名前をまず教えて下さい。
(玉ちゃん)「ゼツ…」?舌咽神経。
(小西)舌ですか?「ゼツ」は。
そうですね。
他にはどんな神経がありますか?
(玉ちゃん)迷走神経…。
飲み込みに大きく関わる舌咽神経と迷走神経は脳から舌やのどにのびています。
これらの神経に脳からの信号が伝わり舌やのどが動いて物を飲み込む事ができるのです。
飲み込みを支配する神経と今回の嚥下障害というのはどういうふうにつながるんでしょうか?飲み込みのところを支配する神経のところが病変によって侵されていれば飲み込みづらくなったりする事はあると思いますし単純に腫れてる事でそこが通りづらくなっているという事も可能性としては考えられます。
さっきVTRでなんか「腫れてる」っていうふうにCT上でお話が出てたと思うんですけど。
分かんなかったですCT。
輪切りですよね。
これはもうじかに森先生見てるわけですから。
(森)CTではのどには問題ないです。
(医師A)のどの少し上の部分に若干の腫れがあるけど飲みにくくなるほどかなぁ。
VTRで出てきていた場所はですねここからここの間のCTの画像をVTRで流してまして少し腫れがあるなというのがありました。
さあ腫れてる場所ちょっと我々も分かんないんですが。
(光浦)全然分から〜ん。
(玉ちゃん)どこですか?腫れてるところ。
(森)左右差を見ると少し分かりやすいかもしれないですね。
右と左で本当は左右対称に。
(光浦)対称じゃない。
穴があった。
(小西)穴が違う。
(光浦)穴は関係ないのか。
(森)この辺りです。
なるほど。
森先生具体的に脳の画で言うとどの辺が腫れてる事に…?ここら辺りですね。
腫れてる場所。
ちょうど鼻の輪切りが。
(森)こう切ってるところで。
鼻と耳の間。
松浦先生挙げて頂いた舌咽神経とか迷走神経がこの絵の中でどんなふうに走ってるのか。
場所としては下の方に出ていくのでこのように動きが入っていくのでこちらの方が当たっていれば飲み込みづらくなるというのはのどの動きとかが障害される事は考えられるのではないかと。
(光浦)舌咽神経。
腫れていたのはのどの上の「上咽頭」の部分。
舌咽神経や迷走神経の通り道だ。
とすると飲み込みにくさの原因はこの腫れなのか?他の病気の可能性はないのか?疾患を一般的に考えてみたいんですけれども見逃しちゃいけない疾患も含めて…脳梗塞は脳の血管が詰まる病気です。
その周辺の脳の機能に障害が出る事があります。
大脳にある飲み込みに関わる部分の血管が詰まると嚥下障害が起きます。
堂本さんの嚥下障害を引き起こしていたのは脳梗塞なのか?のどの上の「上咽頭」の腫れなのか?それとも全身のさまざまな神経が働かなくなる糖尿病性神経障害なのか?口の中をみて…カーテン徴候。
どういう徴候なんですかね?声を出すと口の奥の筋肉は…。
2つの神経の働きで上につり上がります。
左側の神経に異常が起きるとつり上がらず右に引っ張られます。
またのどの奥の壁にカーテンのような縦のひだが出来ます。
他には何か?堀江先生いかがですか。
(玉ちゃん)バレー徴候出た。
どうやるんでしょうか?手を出してもらって目をつぶって頂いてこれが落ちてくると右のマヒであったりとか。
マヒしてる方は内側に落ちてくると。
目をつぶってやるんですけど。
(小西)脳梗塞ならそうですね。
そうですね。
脳梗塞ならおっしゃるとおりですね。
他には何か?振動覚って具体的には?音叉を使って振動がどれぐらいで止まったタイミングと自分の感じてるタイミングとの差を…。
音叉を使うんだ。
チューニングする時使うやつだね。
こちら音叉です。
これは音が分かるようにっていう事で。
ちょっとどんな音が出るかっていうのは遠くの方には聞こえづらいんですけども。
(音叉の響く音)
(光浦)意外といい音ですね。
(小西)共鳴してますね。
(玉ちゃん)糖尿病だったらそれがもう全然感覚がないんですか?そうですね。
こんな感じです。
感じますか?
(光浦)感じる感じる。
「ビーン」つってる。
消えたら教えて下さい。
(光浦)まだきてますよ。
「ビーン」っていってる。
これが分からない人がいるって事ですね?そうですね。
(玉ちゃん)そうすると糖尿病が進行してる…。
あ〜ぼちぼち消える…消えた。
長いですねすばらしい。
全然全く問題なし。
(玉ちゃん)糖尿の気はないと。
ない。
ドン小西さんは糖尿病だが…。
(玉ちゃん)きてます?感じますか?
(小西)全然ギンギンきてますよ。
ビンビン感じてらっしゃる?見え張ってんじゃないの?きてますきてます。
きてますきてます。
きてます。
きてますきてますきてます。
きますよ。
まだきます。
はい感じます。
すばらしい。
はい。
ようやく消えました。
(玉ちゃん)どうですか?先生。
正常です。
正常だ。
まあ本人申告ですからね。
(光浦)負けず嫌いなとこありますからね〜。
(笑い声)それでは診断を絞り込むために再現ドラマの続きをご覧下さい。
ドクタージェネラル!堂本さん今日から一般病棟に移ったんですよ。
(ノック)
(森)堂本さんこちらは総合診療医の金城先生です。
よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
耳の具合はどうですか?最近またうずくんですよ。
ちょっと診てみましょう。
あ〜また状態が悪くなってますね。
堂本さんもう少し診察させて下さいね。
振動が止まったら教えて下さい。
(堂本)…はい。
反対側のくるぶしにも当てますね。
(堂本)はい。
(堂本)止まりました。
今度は肘に当てますよ。
(堂本)はい。
どうですか?…はい。
では両手を貸して下さい。
あおむけにして指を閉じて目もしっかり閉じます。
はい結構です。
アルコール綿で左右差をみます。
これとこれはどうですか?左が弱いかな?これとこれは?あっこれも左が弱いです。
腕もみますね。
これはどうですか?感じます。
これはどうでしょう?変わりませんね。
「アー」と言って下さい。
アー。
なるほど。
すぐに治療を始めましょう。
(光浦)病名は分かったんですか?頭の中に…。
浮かんだんだ。
そうかもしれないなっていうのが。
(玉ちゃん)森先生は「え?」って顔してましたけどね。
この時点でそれを聞いても「ん〜?」という感じでした。
(玉ちゃん)相当なレアケースなんですねじゃあ。
まだ分からない。
それでは研修医の皆さん考えられる病名をお書き下さい。
カーテン徴候はもう確実に現れてますよね。
(小西)完全にこんな状態でしたもんね。
のどちんこがピヨーンって。
傾いてましたね。
(小西)びっくりしましたよ。
(玉ちゃん)片方に寄ってましたね。
あの音叉のやつはどうだったんですか?
(玉ちゃん)早かった。
早かったですよね。
振動覚は早かったですよね。
さあ研修医の皆さん病名を書き終わったようです。
それではフリップを一斉にお出し下さい。
フリップオープン!
(玉ちゃん)ジャカジャン!出ました。
堀江先生からお願いします。
悪性の外耳道炎からの上咽頭の膿瘍を挙げました。
(玉ちゃん)來間先生。
私も上咽頭の膿瘍を挙げました。
(玉ちゃん)はい松浦先生。
僕は上咽頭癌の方を挙げました。
(玉ちゃん)がんですか!それでは再びドクターGと研修医との真剣勝負です。
最終カンファレンススタート!じゃあ堀江先生挙げた病名を教えて下さい。
その奥の方に膿瘍形成があるのかなと思いまして。
上咽頭膿瘍はのどの上の部分「上咽頭」に膿のかたまりが出来る病気です。
鼻の奥の痛みや耳の聞こえにくさなどの症状が現れます。
耳かきの傷などから細菌が入って外耳道炎になりそれが進行して悪性外耳道炎になると上咽頭膿瘍を引き起こす事があります。
今回のだと左の顔面の感覚が弱い事と左のカーテン徴候が陽性だったところから膿瘍形成によって神経が圧迫して起こってるのかなと。
來間先生も外耳道炎から上咽頭の膿瘍膿が出来たというふうに記載されてますけれども。
それぞれの神経診察の所見であるとか耳の診察でまた症状が所見が出てきているというところで考えました。
耳かきでちょっと傷つけただけで誰でも外耳道炎になります。
あとスイミングしてる方とかもしょっちゅう湿気がたまっててなったりとかもしますんでほんとに外耳道炎は普通に皆さんかかる普通のものだと思うんですけど「悪性」って付くからにはやっぱり悪性の理由があるはずで。
(小西)普通の外耳道炎とどう違うんですか?悪性になると。
僕もよくね糖尿からの合併症かよく分からないんだけどよく外耳道炎になるんですよ。
(玉ちゃん)え〜。
すぐ治っちゃうんですけどまた繰り返したりするんですけど。
進行していくにしたがって治療に抵抗性なものは膿瘍…膿をつくったりであるとかという事が進む病気です。
じゃあ松浦先生上咽頭がんという事ですけどまず病気の説明をお願いします。
上咽頭にがんが出来る事です。
上咽頭がんは上咽頭に出来る悪性腫瘍です。
…などの症状が現れます。
(松浦)膿瘍だと思って腫瘍がそのまま放置されてしまえば…研修医たちはいずれものどの上の部分上咽頭の腫れに注目して病名を挙げた。
他の2つの病気の可能性はどうなのか?糖尿病性神経障害はいかがですか?やはり手足の…確かに振動覚の低下はあったんですけれども今問題となってる症状はどちらかというと左の首から上の症状がメインになってるのではないかと。
少し違うんではないかと。
今回の窒息とは多分あまり関係ないだろうと。
(來間)はい。
脳梗塞はいかがですか?上肢とか下肢とか動きがおかしくなるとか動かないとかそういった事があるので恐らく違うんではないかと。
飲み込みにくさの原因はのどの上の「上咽頭」の腫れに絞られた。
ならばその腫れは悪性外耳道炎による膿瘍なのか?それともがんなのか?2つの疾患に分かれてるのでもう一回CTの方を振り返ってみたいなと思うんですけれども。
骨のところの表面を見てみるとこちらはギザギザして…。
(小西)骨溶けてるんですかね?
(光浦)骨が溶ける?溶けてきてる。
(小西)押されて溶けてる?
(玉ちゃん)やっべ〜よ。
腫れてて溶けてると。
(小西)相当ひどいじゃないですか。
そうですね。
という所見があったのがもう一回振り返ってみると分かる。
悪性腫瘍の浸潤の方が…。
(來間)考えられる。
骨まで破壊していくような悪いものが…。
(玉ちゃん)あるんですか?そんなの。
そうですね。
堂本さんは確かに糖尿病で免疫力が低下していた。
だとしても耳かき傷でなるような外耳道炎が悪化して骨まで溶かす事などあるのだろうか?膿瘍か悪性腫瘍かを鑑別するにはそこの部分から生検を行って組織をとってくる事が大事だと思います。
そうですね。
もし膿瘍と考えるならばやはり抗生剤を点滴で治療した方がいいと思います。
なるほど。
抗生剤はやってみたい。
膿瘍かもしれないから。
組織をとる検査を行いつつ抗生剤で治療するという方向性で皆さんよろしいでしょうか。
ドクターGたちは腫れている部分の組織をとり出し詳しく検査した。
堂本さんに悪性外耳道炎を治療する抗菌薬の点滴を行ったところ症状は徐々に改善していった。
抗菌薬を2週間やったところで飲み込みの状態を確認したんですけれども…という事でだいぶもう全然…窒息で来た方が飲み込みはだいぶ…。
普通?完全に普通ではないんですがだいぶよくなったと。
外耳道炎自体一つの病名として外耳道炎だけでもこの状態は説明できるんでしょうか?できると思います。
悪性腫瘍ではなくて膿瘍が急激に形成される事は決してまれな事ではないので外耳道炎からこのような形になっても矛盾はないと思います。
じゃあ原因疾患となる診断名を皆さん一斉におっしゃって下さい。
せ〜の…。
そろいましたね。
正解です。
ありがとうございます。
(拍手)これまさか耳鼻科の方でくるとは思いませんでしたけども森先生実際この「悪性外耳道炎」聞いた時はどうでした?VTRでもあったんですけど驚きました。
「え?」って顔。
はい。
まさかここまでですね骨を浸潤して溶かしてしまうほどの…経験した事がなかったので。
糖尿病の堂本さんは「悪性外耳道炎」になり上咽頭に膿瘍が出来た。
そのため飲み込みにくくなっていた。
食べ物をのどに詰めた時強い不安感に襲われ迷走神経反射を起こし意識を失った。
治療前のCT画像では膿瘍のある側は腫れていて正常なら見えるはずの黒い隙間がなくなっている。
治療から半年後腫れは小さくなり黒い隙間が見え始めた。
顕著に回復しているのは骨。
治療前に溶けていた部分が再生しつつある。
ドンさんはしかしいろいろ思い当たるところあったんじゃないですか。
しょっちゅうね耳に炎症起こしてんですよ。
これまさかひょっとして…。
耳鼻科行った時に糖尿病って言ってないんですか?言ってません。
(光浦)何で!言わなきゃ。
そこが連動してるっていうの今日聞きましてちょっと早速検査しなきゃダメですね。
それではドクターGのメッセージをお願いします。
今回の症例は本当に難しくて松浦先生おっしゃったように腫瘍なのかそれとも膿瘍なのかっていうのは全く我々も難しい状態でずっと進みました。
内科疾患ではない病気の一つになりますんで我々がなじみが薄いっていうのがもともとあるんですけれども他科の先生方との連携していく姿勢というのを常に持ってないといけないんだなと改めて実感した症例でした。
患者さんの訴えを真摯に受け止めてあとは地域の開業医の先生方とか他の医療者の方と十分に連携して診療に当たっていく姿勢が非常に大事ではないかなと思いました。
(玉ちゃん)ありがとうございます。
ゲストの皆さん。
着眼点だけは合ってましたね。
そうね。
「耳」最初に言ったもんね。
耳が怪しいって。
これだけ直感だけはいつも当たるんだよ。
(小西)冷や汗出てきましたよ。
夜その辺チョロチョロ飲み歩いてる場合じゃないですね。
(玉ちゃん)僕らも心配になってきました。
いい機会ですよここに出演したのはね。
金城先生森先生どうもありがとうございました。
研修医の皆さんもお疲れさまでした!さて次回はどんなカンファレンスが繰り広げられるんでしょうか。
お楽しみに!ありがとうございました。
(拍手)2016/01/14(木) 22:00〜22:50
NHK総合1・神戸
総合診療医 ドクターG「突然 のどが詰まった」[字][デ]
病名推理エンターテインメント番組「総合診療医ドクターG」。ドクターGが経験した難解な症例に研修医が挑み、病名を突き止める。患者は「突然のどが詰まった」という男性
詳細情報
番組内容
患者は、飲食店を営んでいた糖尿病の男性(67歳)。人工透析も、インスリンの注射もしている。数日前から、何となく食べ物が飲みこみづらいと感じていたので、昼食は妻に頼んで、のどの通りが良い、にゅう麺にしてもらった。ところが、突然、のどに詰まらせて意識を失い、救急車で運ばれることに。幸い命に別条はなかったものの、飲みこみづらくなった原因がわからない。
出演者
【出演】沖縄県立中部病院医師…金城光代,【ゲスト】光浦靖子,ドン小西,【司会】浅草キッド,【語り】小野寺一歩,佐竹海莉
ジャンル :
情報/ワイドショー – 健康・医療
バラエティ – クイズ
ドキュメンタリー/教養 – 宇宙・科学・医学
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音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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