(北村鉄男)うまそうだな〜これねミノの薄焼き。
この店でしか食えないんだこれ!まぁじゃんじゃん食って。
今日は俺のオゴリ。
イエ〜イ!
(女達の歓声)キタちゃんゴチになります!お〜っし!キタちゃん最高ー!お〜っし!まぁね君たち若人にはこれから日本を担ってもらうっていう大仕事が待ってるわけだからさ遠慮しないで食えよ食えよ。
特上カルビ追加ね〜!
(堀川正太)えっ!?
(店員)ありがとうございました。
キタちゃんごちそう様!あ〜いいのいいの。
腹が減ったらいつでも呼んで。
(堀川)先輩!ちょっと!…何だよ!?そろそろ二手に分かれましょうよ。
望むところだ。
タクシー呼んで来い。
はい!ちょっと待て。
先にタクシー代。
今だって僕が払ったんじゃ…!いいから!2人のうち好きな方選ぶ権利お前にやるから。
(笑い)早く言ってくださいよ。
ご苦労さん。
行って来いアニマル。
行けアニマル。
早く早く…!次の店はね俺の行きつけ。
暗〜い店。
アハハ!いいの?ホリちゃん放っておいて。
ホリちゃん?誰それ?そんな奴いたっけ?アハハ!あいかん…ちょっと自然が俺を呼んでる…。
ちょっと待っててね!すぐだから!
(物音)おい!どうした?兄ちゃん。
何かあったか?おい!開けっ放しだぞ!おい…!
(舌打ち)しょうがねぇなぁもう…。
おじさん?おじさん!?寝るにゃ早ぇな…。
お邪魔しますよ…。
おい!おいしっかりしろ!あの野郎…!おい京都府警の者だ。
話訊かせろ。
待てコラ…!てめぇ…この野郎待てコラ!大人しくしろ!しょんべんぶっ掛けるぞ!
(鶴丸あや)京都地検の者です。
(警官)ご苦労様です。
(白井清志)退庁後までコキ使われてはいくらナイスガイの白井清志も怒りますよ?ゴチャゴチャ言わない!これも仕事のうち!
(ため息)これはこれは地検の美人検事殿。
珍しいねお出ましかい。
うちのお坊ちゃまに殺しの現場見せとこうと思って。
(白井)どうも。
身元は?
(池内弘二)公営墓地管理人横山孝二55歳。
どれどれ…?ほれ。
うっ…!
(白井のうめき声)ちょ…しょうがないわねもう。
まぁ可愛いとこあんじゃないですか。
うっ…なんか俺も気持ち悪くなってきた…。
思いっきり食った後思いっきり走ったからさ…。
うっ…!きた…汚いなもう!もう嫌だなぁもう…。
何とかしろよ!おはよう。
(柿口可久子)おはようございます。
あら〜?柿口さんなんか感じが違…あ!髪形変えた!?ちょっ…メガネも変わった?へ〜何かいい事でもあったの?…別に。
似合うわよ。
そうですか?うん。
ちょっとバケツの水替えてきますね!
(太田勇一)どうです?検事。
あの変身!きっと僕のためですよ。
『マイ・フェア・レディ』作戦の効果がじわじわと…。
違うと思うけど。
さぁ!今日もパワー全開!張り切って参りましょう!彼女いない歴38年。
焦りがにじみ出てるなぁ…。
(アナウンス)「まもなく2番線より鞍馬行き電車が発車します」
(遮断機の警報音)
(遮断機の警報音)
(遮断機の警報音)
(立花フク)あの子…。
黙ってちゃわかんねぇんだよ!横山さん家に行かなかったとは言わせねぇぞ。
俺はこのつぶらな瞳でしっかり見ちゃったからなぁ。
下地観念しろ。
この男はなまともなところは1つもない男だが視力は2.0なんだ。
うるさい!よしわかった。
お前はやってない。
横山さんを殺したのはお前じゃない。
しかしお前は何かを知ってる。
横山さんを殺したのが誰か見てるんだ…そうだろう?誰だ…言ってみろ。
(下地圭太)刑事さん…。
うん?僕が殺しました。
ほら落ちた!見たか?これが必殺の取り調べテクだ。
よく覚えとけ!僕…僕が…。
下地ゆっくりでいい話してみろ。
嫌な事があって…1人で酒を飲んでたんです。
(横山孝二)コラ!ええ大人が何をしょうもない事しとんねん。
こんな事したら通れへんやろ!片付け!
(下地の声)それをあいつに注意されてカーッて…体の中が熱くなって…つけてったんです。
家の中へ上がり込んで…言い争いになって…気付いたら…。
自分だって…!すいませんでした!どうした?具合でも悪い?いえ!白井は至って健康ですよ。
そう…?ならいいけど。
なんか朝から元気なかったから。
あ…鶴丸検事!はい?昨日の事黙っててもらえますか?太田事務官達に。
昨日…?あぁ!現場でトイレに駆け込んだ?アハハ…あたしも最初はそうだったわ。
気にする事ないわよ。
しかしですよ?この白井清志ともあろう者があのような醜態見せるなんて白井…ショックで…!まずそのナル坊なんとかする事ね。
(遮断機の警報音)行けないわよ!そんな急に言われても…。
仕事もあるんだし。
まぁそりゃあたしだって会いたいけど…。
りんの学校だってあるんだし。
ね?その辺の事さちょっと考えてよ章ちゃんも。
ああの〜また夜にでもメールするから。
はい…はいはいはい!じゃあね〜!はい!
(ため息)
(鶴丸りん)お父さん東京で1人ぼっちで寂しいんだよ。
わかってるけどさぁこっちにも都合ってものがあるんだから…。
でも最初の頃しょっちゅう東京帰ったりお父さんが京都へ来たりしてたのに…。
離れて住んでたま〜に会うのが夫婦長持ちの秘訣。
それって夫婦って言うの?生意気言ってないで早く食べなさい!遅刻するわよ!白井検事が休みたい?
(高原純之介)うん今朝私の自宅の方へ電話があった。
欠勤の理由は何なんですか?こっちが聞きたいよ。
本人は「一身上の都合」としか。
あ…確かに最近最初よりはパワーダウンしてましたよねぇ。
所詮お坊ちゃまってひ弱なんですね。
あやちゃん…。
はい?何か心当たりあるんじゃないの?あたしに?あ…嫌だ副部長!まさかあたしが白井検事をいじめ倒したから彼が休暇を願い出たとでも!?他に考えられんだろう。
理由をぼかすのもだな後の君の反撃を恐れて…。
人を山姥みたいに言わないでください!誰かあたしの犠牲者でも?大勢いる。
事務官の太田君だって府警の北村君だって…山姥どころの騒ぎじゃないよ!え!?どれだけいつも愚痴をこぼしているか…!かく言う私だって…。
あたしがいつ副部長にご迷惑をお掛けしたと言うんですか!?いつお掛けしたんですか!?いつ!?下地さん…まずあなたが介護士という職業を選んだ理由を教えてください。
なんでそんな事訊くんですか?僕はもう人を殺した事を認めてるわけですし…。
今さらそんな事訊いたって…。
ぜひ話して欲しいの。
介護士って社会的弱者に対して優しい眼差しを持っていないと出来ない仕事でしょう?そんなあなたが人の命を奪うなんてあたしの中ではうまく整理がつかない…。
検事…被疑者は警察でもここでもすんなり自供してるわけですし。
太田事務官。
あなたの言いたい事はよ〜くわかるけどしばらく黙っていて。
おねがい。
…はい。
下地さん…話してください。
(フク)お巡りさん…申し訳ありません。
は?何ですか?私…人を殺しました。
おいおいおい…。
(池内)立花さん…くだらない冗談やめてくださいよ。
あなたに人殺しなんか出来るわけないでしょう。
間違いありません。
横山孝二を殺したのは私です。
じゃあ訊きますが動機は何ですか?殺した理由。
ほらご覧なさい。
言えるわけがない。
犯人はもう捕まってるんですよ。
真犯人は私です!さぁ逮捕してください!
(電話)はい執務室。
えぇそうですよ。
ちょうど今こちらに呼んで…え!?はい伝えます。
何?横山孝二殺しある人物が中京署に自分がやったと名乗り出たそうです。
えぇ!?下地さん今日はこれで終わりにしましょう。
帰って結構よ。
コラへなちょこ!何やってんだよ!?今さら真犯人登場ってどういう事だよ!?知りませんよ!捕まえろっつって動かないんだから…。
俺があんまり鮮やかにパクったのが妬ましくてまさかホシ捏造したんじゃねぇだろうな?悪いっすけどあんたの事なんか最初から眼中にありませんから。
ああ…。
何て言った今…?おい。
キタさん!お前…!堀川さん頼むよもう…。
おばあちゃんそろそろお家に帰ろう?ね?きっとね息子さんやお孫さんも心配してると思うよ。
息子も孫もおらん。
誰もおらん。
(ため息)おばあちゃんさ下地君とすっごい仲良しだったんだよね?だからあいつを庇って自分が捕まってやろうと思ってんでしょ。
こっちはね全部お見通しなんだよ。
何べんも言うとるが下地なんて人は知らん。
じゃあ殺された横山って奴は?公営墓地の職員なんかと一体どういう関係なの?
(太田)そんなバアさん相手にする事ないですよ。
誰かに構って欲しくて暇つぶしで引っ掻き回してるだけなんですから。
そんな乱暴に切って捨てる事は出来ないと思うけど。
私も鶴丸検事と同じです。
意見を聞こうか。
はっ。
私は元々下地圭太の供述に疑問を持っていました。
まず酔っていさめられた初対面の相手を追いかけ家にまで上がり込んで殺人に及ぶという事が考えられません。
酔った理由も被害者が下地圭太をいさめた言葉も曖昧ですし。
何より弱者の味方たらんとして介護士という職業を選んだ人間がそう簡単に殺人を犯すとは考えられません。
また主婦の勘ですか?違う!検事の推理!池内君君の意見は?はぁ…。
私はあのおばあさんが「下地圭太の事は知らない」「名前も聞いた事がない」って言い続けてる事にずっと引っ掛かってます。
(池内)立花フクは下地の勤めてる老人ホームに週に1度通ってますが2人は恋愛しているかと思えるほど仲が良かったと言っていますし…。
(太田)老いらくの恋…?池内君。
はっ。
警察の方でもう少し立花フクの周辺を洗ってみてくれないかな?私もまさか彼女がやったとは思わんがやはりそこまで捕まえてくれと言い張るのはどうも不可解だ。
事によると下地圭太の逮捕自体を…。
いやもちろん今の段階で軽々しい事は言えないが…。
副部長…誤認逮捕の可能性大だっておっしゃりたいんですね?はぁ〜まったくあの北村のおっちょこちょいが絡むとろくな事がない…!被害者の横山孝二をもう一度洗ってみます。
博打好きで多額の借金を抱えてたって話もあったんで怨恨の線もあるかもしれません。
うん。
被疑者送致後にあたふたするなんて…!警察もどうかしてるわ。
だからって鶴丸検事が出しゃばっていいって事にはなりませんからね。
同感だ。
また立花フクって老人の周りうろちょろしようと考えてんだろうが!まぁ!ご心配には及びませんわ。
副部長や太田事務官に言われるまでもなく今年度から私山積した事件の迅速な処理を第一テーマに掲げておりますの。
もうそんなお年寄りの相手なんてとてもとても…!オホホ…。
検事!舌の根も乾かない内によくこんな事が出来ますね!?今日のスケジュールどうすんですか!?スケジュールの調整ぐらい何とかなるでしょ!太田さんあなた何年事務官やってるの?
(ため息)レトロ…。
こんにちは。
あいらっしゃいませどうぞ。
あ…あのお願いしたいんですけど先週美容院行ったばっかりで。
よく見るとキレイにしてある。
私はそんなモダンな頭出来ません。
お客じゃないんです。
京都地検の鶴丸といいます。
検事さん!?女の?はい。
立花フクさんですよね?わぁ…このお店いつから?忘れてしまった…。
私らの時代には女の検事さんなんかいなかったから女が仕事しようと思ったらこんな事ぐらいしかなくて。
あのご主人様は?私はずっと1人ですよ。
私を捕まえに来たんでしょ?行きましょう。
すぐ支度を…。
いえいえ違うんです違うんです。
あの簡単な質問を2つだけ。
ね?えっと殺された横山孝二さんとはどういう関係だったんですか?関係がないといかんかな?テレビを観ても新聞を読んでも関係ない人間同士が殺したり殺されたりしとる。
はぁ…。
横山孝二さんは公営墓地「みやこ苑」勤務…。
あ…そこに知り合いのお墓があったとか…。
ない!墓なんかない。
どこにもない。
いやでも田舎にご先祖のお墓は…。
ない!墓なんていらん!ああ…。
あの…もう1つだけ。
介護士の下地圭太さんとはどういう…?帰っとくれ!12時に予約のお客さんが入ってるから…。
12時の予約なんて嘘…誰も来なかった。
お客どころか2時間ずーっと見てたけど訪問者ゼロ!電話1本かかって来ない。
鶴丸検事!80歳の老いた美容師が昼下がりの有り余る時間を無為に過ごすのをどうして日本一忙しいといわれる地検の捜査検事が2時間もボーっと眺めているんですか!?しかもしっかり携帯の電源まで切って!決まってるでしょ!それはね…太田さんも私も大好きな…仕事のため!可久ちゃん!拍手するところじゃないぞ!皆さん相変わらず無駄話に花が咲いていますねぇ。
また扱いにくい個性が1人…。
白井検事。
休暇の申し出をしたと副部長から…。
うちの自宅は皆さんのところと違ってすこぶる快適なんですがやはり白井清志という男は世の中に出て力を発揮するというのが天から与えられた使命じゃないですか!知らねぇよ…。
オーディオルームでワーグナーの『ニーベルングの指輪』を聴いていたんですが集中出来なくて…。
だからナル坊直せって…!バリバリ働いてください白井検事。
あの事は口が裂けても太田さんたちに内緒にしとくから…。
大丈夫大丈夫!鶴丸検事それって脅迫ですか!?何ですか?何ですか!?私も知りたいです!仕事!下地さんこれはあなたに話すべきかどうか迷いましたが実は昨日警察に「自分が横山孝二を殺した」と自首してきた人がいました。
「自分が真犯人だから捕まえろ」とてこずらせたそうです。
もちろんお引き取り願いましたが…。
下地さん…この話を聞いて何か言いたい事はありますか?その人…誰ですか?それは言えません。
誰か心当たりでも?…いえありません。
とにかくそんな奴相手にしないで僕を早く起訴してください!お願いします検事さん!
(桜井麗子)そりゃたまには東京の章ちゃんとこ行ってあげなきゃ!
(吉川香織)そりゃそうや!いつもはあたしの方から帰るわけじゃない?だからさぁ会いたければたまには京都へ来い!って感じ?え〜?夫婦って面倒くさいなぁ!
(漆原さやか)結婚なんて楽しいのは最初のうちだけや。
うちはまたこの頃ラブラブよ〜。
嘘こけ!嘘を〜!今さら1人になってもなぁ…。
ホントどないしたらいいかわからへんわ。
そうよ。
女の一生って何なのかしらねぇ…?
(柿野たまこ)ちょっとちょっと!
(4人)え?さっきからあの人皆さんの後ずっとつけてます。
ただいまー。
おかえり。
ささ…どうぞどうぞ。
(りん)お客さん?あぁあのこれ娘です。
まぁこんばんは。
突然お邪魔して許してくださいね。
いえ…。
今日は娘が炊事当番なんですよ。
毎日あたしなんですよ…。
よかったら一緒に夕食でも…。
へったくそな料理なんですけどね。
あどうぞどうぞ…。
文句あんなら自分でやれっつうの!
(フク)すぐ失礼しますから。
さどうぞこちらへ。
はいどうぞ。
でもまぁよくわかりましたねあたしのとこが。
お勤め先の表で待ってたんですよ。
そしたら何か男の方にポンポン言いながら出てこられたので…すぐわかりました。
あ…。
じゃあ地検からあたしの後をずーっと…?何かあたしにお話でも?ちょっとりんあんた退場。
え〜?早く!可愛いお嬢さん。
いえそうでもないんですよ。
共働きですか?はい。
じゃあそろそろご主人…。
いえ主人はね東京なんです。
異動であたしと娘が京都へ。
別居生活は良くない。
あ…でもお互いの仕事の都合で仕方ないんです。
仕方がないなんて事あるもんですか!今すぐ別居生活を解消して1つ屋根の下でお暮らしなさい。
なんだったら私がご主人にお願いしましょうか?いえ…!それには及びません。
夫婦はいつも一緒にいなきゃ。
三度三度向き合ってご飯をいただき庭に花が咲いたといっては一緒に喜び小鳥のさえずりに共に耳を傾け季節の移ろいを感じ合う…。
(あやの声)それから延々お説教!帰ったの10時回ってたわよ!りんなんか晩ご飯食べそびれてぶんむくれ!ハハ…そりゃとんだとばっちりでしたね。
でもなんで検事のご自宅まで押しかけたんですかね?あのおばあさん。
う〜ん…わかんないのよね。
捜査の進展具合でも探りに来たのかしら?「ご用件は?」って訊くとね「夫婦かくあるべし」っていう古臭〜い夫婦像を延々喋るだけで…。
あの執拗さはただ事じゃないわ。
きっと自分の周辺で何か夫婦にまつわる嫌な事があったのねぇ…。
これ主婦の勘だけど。
横山孝二が殺された夜立花フクにはアリバイがありました。
近所の人が銭湯で見かけてる。
あの人はシロです。
こんにちはー。
あれ…?こんにちは…。
ごめんくださーい。
立花さん?ちょっと…失礼しまーす。
(戸の開く音)あ…すいません。
勝手に上がりこんで。
火事になったら危ないなと思って…。
すいません…。
お話があって来ました。
横山孝二さんが殺された時間にフクさんは銭湯に行ってらしたそうですね。
犯行時間にお風呂に行っていた…被害者と接点もないとなると捕まえようがありません。
あたし知りたいんです。
フクさんがこの事件にこんなにこだわる理由を。
帰っとくれ。
はぁ…。
フクさん前に言ってましたよね?「墓はない。
どこにもない」って。
でもこの仏壇の人お墓あるんでしょう?その人誰ですか?帰っとくれ!12時に予約のお客さんが来るから。
はぁ。
(遮断機の警報音)
(電車の走行音)そこの美容院のおばあちゃん?はい。
えぇよくいらっしゃいますよ。
週に1度は必ずお花を。
あぁやっぱり!それって仏壇用の…?えぇそうです。
いつも必ず同じお花を。
あ…でも今年のお盆とお彼岸には一対余計に。
一対余計に…?えぇ。
お墓参りに行かれたんでしょうね。
お墓…!?それどこですか?知りません。
じゃああの仏壇はどなたの…?さぁ…?そこまでは。
すいません!このお花欲しいんですけど。
はい!
(ため息)
(池内)いくらスッたんだ池松?話訊かせてもらおうか…な?貧乏神にモテそうな面だなお前。
(堀川)池松…!おら!横山孝二殺しについて訊かせてもらおうか!
(横山)すぐに返すがな。
(池松の声)借りた金返しもせんとごちゃごちゃいい訳ばっかり言うて…。
しまいに貸す方が悪いんやって開き直りよるからこっちも頭にカーッと血ぃ上って…!何やとコラー!?お前横山さんにいくら貸してたんだ?…20万。
20万!?たかだか20万の借金で殺されちまう奴と20万回収し損なって殺しちまう奴か?アホだよお前ら。
(ノック)
(高原)どうぞ。
お呼びでしょうか?府警本部から連絡があった。
例の公営墓地職員殺し真犯人を逮捕したそうだ。
下地圭太はやはり…。
うん…妙な事件だ。
2人も犯人だと名乗り出たが2人共違って真犯人は別にいた。
あぁもうホントにいい加減にして欲しいわ!警察のずさんな捜査のおかげでいつも振り回される…。
とにかく下地圭太はシロだ。
放してやってくれ。
わかりました。
では。
あやちゃん。
はい。
これ以上深追いするな。
仕事は山のようにあるんだ。
もちろんです!でも副部長下地圭太と立花フクがなぜ相次いで自分から捕まろうとしたのか…。
気になりますよねぇ?なんでなんだろう?知りたいなぁ〜ねぇ?そりゃまぁ私だって…。
お墨付きいただきました!ありがとうございます。
え?え?おい!それはないだろうあやちゃん!という訳であなたの疑いはキレイに晴れました。
どう?今の気分は。
やっと元の自分に戻れるような気がします。
あの夜あそこで死体を見てから今まで経験した事ないパニック状態が続いて…。
勘違いしたのね。
横山孝二の死体を目の当たりにしてもしかしたら自分のよく知っている人が殺したんじゃないかって…。
落ち着いて考えればあの人にあんな事出来るわけないのに…。
80歳のお年寄りですものね。
ぼんやりわかってきたけどでも肝心の被害者との接点がわからない…。
(下地)本人に訊いてください。
もちろんそうするつもりだけどでも…話してくれるかな?こんにちは!いいニュース持って来ました。
真犯人が見つかったんでたった今下地圭太君を釈放しました。
フクさん…もう嘘つかなくていいんですよ。
下地君は私の事何か話したかね?いいえ何も。
直接本人に訊いてくださいって。
何も話す事なんかない。
その気になったら話してください。
待ちます。
…じゃあ。
あんた…!はい?あれからご主人と電話で話したかね?はい!フクさんのご忠告どおり明後日東京で会う事にしました。
あぁそりゃ良かった!あんた見かけによらず素直だなぁ。
アハハ!フクさんほど捻くれ者じゃないつもりです。
お線香あげてっておくれ。
はい。
(遮断機の警報音)
(電車の走行音)2週間の夫婦だった…。
うちだけじゃない…。
あの頃は慌てて式だけ挙げて花婿は急かされるように鉄砲担いで外地へ行った。
そんな時代だった…。
いい眺めだろう?はい。
電車が見える。
(電車の走行音)主人は電車の運転士だった。
出征の前の日まで仕事に行って…。
私は毎日ここで主人の乗った電車を眺め首を長ぅして帰りを待っていた。
そんな2週間だった…。
それだけの新婚生活だった。
今年80になったので主人の墓を作ってやろうと思った。
自分も一緒に入る墓を作ろうと思って墓地を探した。
でもやめた。
やめてここにした。
横山に断られてここにたてた。
横山…!?殺された横山孝二?あ…!これどかすんですね?はい。
空っぽ…。
うちの花婿さんは外地で跡形もなく消えてしまった。
骨のひとかけらもなく…。
骨がないと墓は作れんと横山は言った。
規則の一辺倒だ。
骨も返さんと骨がないと墓は作れんとは何たる言い草かと粘ったが…横山は首を縦に振らん。
その日帰って泣いた。
どんな悲しい事があっても悔しい事があってもそれまでは一度も泣いた事がなかった。
でも今度は泣いた。
一生分泣いた。
涙が枯れ果ててしもうたよ。
(フク)それからは家でふさぎ込んでいた。
ある日下地君が心配して訪ねてくれて全部話した。
下地君は一緒に怒ってくれて涙も流してくれた。
でもバカだった…。
後で後悔した。
下地君は一本気で正義感の強い若者だって事を忘れてて…。
一言文句を言ってやりたかった。
あ…!立花さんの悲しみを横山に伝えたくて…。
あいつの家に…。
バカだよ下地君は…。
バカだよバカだよ…!立花さんこそ。
下地君は悪くない。
死んだ者も悪くない。
悪いのはうちの花婿さんの骨を1つも返さんかった奴。
返さんかったくせに威張ってる奴。
返さんかった事を忘れとる奴。
知ってるのに知らん顔してる奴…今でも大勢いる!検事さんそういう奴を捕まえてくれ。
そういう奴を捕まえて死刑にしてくれ…!さもないと…ここにいる花婿さんも花嫁さんも浮かばれんよ…。
よいしょ…!ちょっと…!え?お父さんにこんなお土産買ってどうするのよ?愛の証しよ!4か月ぶりに会うんだもん。
今までの不義理をかねて章ちゃんにお詫びしなくちゃ。
えらい変わり様だ!え?あたしもお父さんに会いたくなった。
あんた学校があるじゃない。
ほら速やかに帰る帰る。
いいからいいから。
ね?はい帰る帰る。
こっから先は夫婦の問題だから。
せいぜいお父さんと仲良くね。
いってらっしゃい。
はーいじゃあね!
(携帯電話)あ…!太田さん何?大丈夫よ一泊するだけだから。
明日の朝一必ず登庁します。
だから万が一の時は白井検事がいるじゃない。
え?ダメ!絶対!絶対東京行く!んもう!大昔の花嫁さんと約束したんだから!うるさい太田。
黙れ!さらば!待ってて章ちゃん!今宵こそあなたの胸に可愛く飛び込んでみせるから!2016/01/15(金) 09:55〜10:53
ABCテレビ1
京都地検の女4[再][字]
名取裕子主演▼第3話「花婿さんの墓」公営墓地職員が殺された。逃走した男が犯行を認めるが、翌日、老女が自首をした。2人の殺人者…!?主婦検事は意外な真実を導きだす!
詳細情報
◇番組内容
▼公営墓地職員が殺された。逃走した若い男が犯行を認める。しかし、翌日、老女(加藤治子)が自首をしてきた。2人の殺人者…!?主婦検事は意外な真実を導きだす!
◇出演者
京都地検検事・鶴丸あや ・・ 名取裕子
京都府警刑事・北村鉄男 ・・ 船越英一郎
中京署刑事 ・池内弘二 ・・ 益岡徹
京都地検事務官・太田勇一・・ 渡辺いっけい
京都地検副部長・高原純之介・・蟹江敬三
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
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