(美輪子)ぼたん。
あなたちょっと変じゃない?
(富貴子)何が?
(美輪子)綱輝さんとお付き合いするのはいいけどぼたんはいつも適当に距離を置いていたわ。
(美輪子)あまり熱くなるのは下品よ。
(富貴子)下品?私ってもともとお嬢さま育ちじゃないからしかたがないわ。
どうかしてるんじゃない?ぼたん。
(世奈子)こんな疫病神。
人間じゃないわ。
ぼたんの化け物よ。
外しなさいよ。
外すのよ!痛っ。
やめてください。
(世奈子)ほら。
外して!やめて。
やめてください!
(綱輝)この指輪は僕からあらためて富貴子に贈ったものです。
何ですって!?
(綱輝)帰ってくださいよ。
僕はあなたの息子でも何でもありません。
迷惑なんですよ。
よく言うわね。
恩も忘れて!帰ってください!後悔するわよあなた。
大丈夫?綱輝さん。
大丈夫なの?
(綱輝)好きだ。
違う。
違う。
違う。
違う。
違う!
(眞澄)どうしたのよ?あれじゃぼたんじゃないわ。
全然違う。
じゃあ抜糸も済んで?
(綱輝)抜糸のときは麻酔が効いてないから痛かったですよ。
ちくちくっと。
(萌子)私全然知らなかったわよ。
富貴子にこんなハンサムな恋人がいることさえ知らなくって。
全快祝いっていうから「えっ?誰の?」って聞いたぐらいで。
ごめんなさいね。
(綱輝)このたびやっと恋人に昇格させていただきました。
嫌ね。
昇格だなんて。
(崑一)とにかく綱輝君。
全快おめでとう。
ホントによかったわ。
予定どおり退院できて。
(綱輝)ありがとうございます。
僕のためにこんなお祝いの席を設けていただきまして感謝しています。
(萌子)おめでとうございます。
おめでとう。
おめでとう。
(綱輝)ありがとう。
綱輝さん。
大丈夫?そんなにお飲みになって。
いやぁ。
うまい。
主治医からのお墨付きが出たのよ。
適量を過ごさなければOKだって。
ふーん。
(綱輝)何日ぶりかな?あの屋台の一件以来だからほぼ1カ月だ。
いやぁ。
細胞に染み渡る。
(崑一)五臓六腑に染み渡るって言うんだよそういうときは。
(綱輝)失礼しました。
本当にこのたびは富貴子さんにはお世話になりまして。
(崑一)もう頭が上がらないんじゃないのかね?
(綱輝)まったくそのとおりです。
(萌子)よかったわね富貴子。
内助の功を発揮できるお相手ができて。
あら。
内助の功なんて。
(萌子)でなかったら愛情の発露ね。
(崑一)災い転じて福となったんだよ。
ご両親も心配なさったでしょうね。
富貴子さんがそばに付いてくれているので母親も安心して帰っていきました。
くれぐれもよろしくと申しておりました。
それはよかったわ。
僕もこれまでの中途半端な生き方をやめてしっかり事業に取り組むつもりですのでどうかその点はご安心いただいて。
(崑一)おや。
ずいぶん改まって言うね。
彼女といると目標が見えてくるんですよ。
野心が刺激されるっていうか。
私は何にも言ってませんよ。
綱輝さんってあくせくしない人だから。
お育ちがいいから。
でも動きだしたらブルドーザーみたいになっちゃうんじゃない?ありがとう。
あら。
おだててるんじゃないわよ。
本気でそう思ってるのよ。
(綱輝)うん。
分かってる。
(萌子)いいわね。
人間至る所に青山あり。
若い人はやる気になれば何だってできるんだから。
私みたいに老いさらばえちゃ死ぬ気でやろうったってもう気力も何もありゃしない。
(崑一)大丈夫ですよ。
お母さん。
大女優の引退興行派手にやりましょう。
(萌子)そんなことして小屋ががらがらだったらどうすんのよ?冥土の土産にもならないわよ。
どうしたの?美輪子。
さっきから黙っちゃって。
別に。
おい!ピアノでも弾け。
綱輝君のために何か景気のいい曲を演奏してあげろ。
そう。
(崑一)ああ。
・
(『牡丹と薔薇』の演奏)『牡丹と薔薇』の歌だわ。
・「牡丹と薔薇はどちらが綺麗」
(一同)・「色鮮やかに咲き乱れるよ」・「牡丹と薔薇はどちらが幸せ」・「春を競って香りはなつよ」おい君たち。
2人で踊れよ!
(綱輝)いいんですか?
(崑一)楽しくやらなきゃ!
(一同)・「でもひとりでは生きてゆけない」・「生きてゆけない」・
(鍵盤をたたく音)もうやってらんない!
(崑一)えっ?どうした?美輪ちゃん?大丈夫?どうしたの?大丈夫なの?帰るわ!どうしたの?美輪子。
具合でも悪いの?私頭痛がするので帰ります。
何か気に障ったのかしら?どうしようもないわね。
気難しい子。
(崑一)ああ。
いいからいいから。
飲もう飲もう。
綱輝君こっち。
(綱輝)ああ。
すいません。
(崑一)お楽しみはこれからだよ。
はい。
ハハハ。
皆さん心配してたわよ。
「美輪ちゃん。
どうしたのかしら?」って。
他人事みたいに言わないでよ。
お姉ちゃまのせいなのに。
私のせい?そうじゃないの!あんなときにあんな振る舞いをして。
私恥ずかしくて頭がくらくらしたわ。
全然ぼたんらしくないんだもの。
また「ぼたん」なの?全然分かってないのね。
いい?おばあちゃまが「私全然知らなかったわ」とか言った後だってお姉ちゃま。
ホントに女のこびが丸出しになって気持ち悪くて。
えっ?えっ!?ぼたんだったらあんなリアクションはしないわよ。
(萌子)《私全然知らなかったわよ》《ぼたんにこんなハンサムな恋人がいることさえ知らなくって》《全快祝いっていうから「えっ?誰の?」って聞いたぐらいで》《ごめんなさいね》
(綱輝)《このたびやっと恋人に昇格させていただきました》
(ぼたん)《あら。
私たち恋人同士に見えるといいんだけど》ぼたんだったらそういう感じよ。
お姉ちゃまみたいに場末のクラブのホステスじゃあるまいし「嫌ね。
昇格だなんて」って綱輝さんの肩をぽんってたたいて。
いかにもなれ合った男女の嫌なにおいがぷーんとしたわ。
美輪ちゃん。
あなたそんなことまで言うの?それから綱輝さんがパパと話してるときだってそうだわ。
「彼女といると目標が見えてくるんですよ」って綱輝さんがそう言ったでしょ?その後で…。
《でも動きだしたらブルドーザーみたいになっちゃうんじゃない?》「でも動きだしたらブルドーザーみたいになっちゃうんじゃない?」なんて。
だいたいねブルドーザーみたいなんて例えが生でぼたんが言うせりふじゃないわ。
じゃあ何て言えばいいっていうの?何にも言わなくていいのよ。
つつましくほほ笑んでればいいのに。
その後で綱輝さんに手を握られたときだってじっと握り合ったままで。
ホント見苦しい。
(綱輝)《ありがとう》ぼたんならそういうふうにしたわね。
あっそう。
人前で手を握り合ったままなんて。
そんなはしたないまねは。
だいたい男女が手を握り合ったままじゃ両方の手のひらの汗がねばねばくっつき合って気持ち悪いじゃないの。
よくも平気でいられたもんだわ。
だって美輪ちゃんだって清塚さんと同じようなことを。
はぐらかさないでよ!ぼたんのことを言ってるのよ。
ぼたんはすごく潔癖なの。
そういうことは絶対にしないの。
あのダンスのときだってそうだわ。
綱輝さんと2人で抱き合ってうっとりしちゃってバカみたい。
ぼたんはねああいう目立つことはしないの。
絶対にしないわよ!
(一同)《・「牡丹と薔薇はどちらが幸せ」》《・「春を競って香りはなつよ」》《おい君たち。
2人で踊れよ!》
(綱輝)《いいんですか?》
(崑一)《楽しくやらなきゃ!》
(ぼたん)《私じゃなくておばあちゃまと踊ってあげて》
(崑一)《ああー》《ねえ?おばあちゃま。
綱輝さんと》《こんな年寄りでいいの?》《おばあちゃま。
少しは若返ってくださらなくちゃ》
(綱輝)《お願いします》
(萌子)《どうしましょ》《いっていって》
(一同)《・「どちらが綺麗」》《・「色鮮やかに咲き乱れるよ」》ぼたんならきっとそういうふうにしていい雰囲気を醸し出したと思うわね。
みんなもほのぼのとした気持ちになれてとてもいいお祝いのひとときを過ごせたのに。
ひどい。
お姉ちゃまってホントに欲望をむき出しにした最低女だわ!ホントにがっかり。
どうしてぼたんのようにしてくれないのよ!いいかげんにしてよ!そんな…。
何よ?文句があるの?下品なことばかりしてこれ以上ぼたんを汚すと承知しないわよ!悲しいわ。
どうしてそんなに私を裏切るのよ?お姉ちゃまってホントにひどい。
何度裏切ったら気が済むのよ?美輪ちゃん?美輪ちゃん。
じゃあ私先に出掛けます。
・
(ドアの閉まる音)まあ杉ちゃん。
(杉彦)姉ちゃん。
やっぱりこの家にいた。
どうしたの?こんなところで。
何してるの?
(杉彦)僕何回もこの家の前に来たよ。
姉ちゃんに会いたくて。
駄目よ杉ちゃん。
さあ帰りましょう。
一緒に行きましょうね。
(伊佐子)この間もねいつの間にかいなくなったと思ったら姉ちゃんを捜しに行ってたっていうのよ。
ホントに目が離せないんだから。
(峰靖)よっぽど富貴子が恋しいらしいな。
(伊佐子)あんたがちゃんと言い聞かせないからよ。
じゃあ私は仕込みで忙しいから。
富貴子。
たまにはこっちでゆっくりしていきなさいよ。
姉ちゃん。
このままいろ。
あんな家に行くな。
そうね。
ここに戻ってくるとほっとするわね。
(峰靖)無理してんじゃないのか?富貴子。
何か疲れた顔してるぞ。
ハァー。
ああー。
もう駄目。
(杉彦)姉ちゃん?私あなたに聞きたいことがあるの。
(綱輝)んっ。
何でしょう?いったい亡くなったぼたんって人はどういう人だったの?あなた愛してたの?
(綱輝)そりゃ婚約して結婚式の日まで決めてたんだから愛してないわけじゃないけど。
キスはしたの?
(綱輝)うん。
キスはね。
でもそれ以上のこととなると大変だったな。
(ぼたん)《何をなさるのよ!》
(綱輝)《えっ!?》
(ぼたん)《そういうことをされて私が喜ぶとでも思ってらっしゃるの?》《冗談じゃないわ。
そんな女じゃありません。
私は》
(ぼたん)《ひどいわ。
ひどいわ!》《それじゃあなたも並の男と変わらないじゃありませんか》《しかし僕たちはいずれ結婚するんだから何もそんなに…》
(ぼたん)《嫌なものは嫌なんです!》《本当に何てことをなさるのよ!》
(綱輝)《ちょっと待って。
ぼたん》ふーん。
やっぱり潔癖な人だったんだわ。
潔癖というかどこか女として感情的に未発達なところが。
いいのかな?こんな話をして。
私が聞いてるんだもの。
話してよ。
あるときホテルに誘ったんだ。
そしたら?一応ベッドインはした。
したことはしたんだけど。
《えっ?えっ!?嫌!》《何するのよ?あなた》《何てことなさるのよ!》
(綱輝)《えっ?》《いくら何でもひどいわ。
そんなこと私我慢できないわ》
(綱輝)《ちょっと。
ぼたん。
ちょっと。
ぼたん》《ひどい!ひどい…》
(綱輝)《なぜなんだ?ぼたん。
そんなに僕が嫌いか?》
(ぼたん)《だって無理やりあんな》
(綱輝)《無理やりになんかしてないだろう?》《どうなってるんだ?いったい》《ごめんなさい。
いざとなると駄目なんです》《体が拒絶して》かわいそうに。
ぼたんはずいぶん無理してたんだわ。
(綱輝)そうだと思う。
一種の男性恐怖症のようなものがあったのかもしれないな。
ぼたんって本当にガラス細工のようにデリケートなのね。
付き合うのが大変だったな。
あのまま結婚したとしてもうまくいったかどうか。
私はそんな感性のかけらも持ち合わせてないわ。
だからそれでいい。
とても無理。
ぼたんにはなれない。
(綱輝)ならなくてもいいって言ってるじゃないか。
富貴子は富貴子。
あなたの伸びやかに開けた個性が好きなんだから。
でもねどうしてもダブルイメージさせたがってる人がいるの。
私をぼたんそのものだと混同している人が。
あら。
やっぱりここに。
2人ともいたわ。
私が言ったとおりでしょ。
(清塚)どうも。
こんばんは。
(綱輝)よっ!私たちも何か飲みましょうよ。
スクリュードライバーね。
(清塚)同じく。
ずいぶんきついカクテルを飲むね。
だってあなたたちが放ってるみだらな愛のオーラから身を守るには酔っぱらうしかないわ。
ねえ?清塚さん。
(清塚)まあね。
これからこのホテルのベッドでもつれ合うんでしょ?それとももう散々愛をむさぼり合った後なのかしら?美輪ちゃん。
ふん。
軽蔑するわ。
ぼたんなら決して進んでセックスなんかしなかったのに。
そうでしょうね。
婚約しても結婚しても男にでれでれと身を任すなんて絶対しなかったわ。
ところが悪いけど私はぼたんと違って男が大好きなのよ。
男なしでは生きていけないのよ。
えっ!?美輪ちゃん。
綱輝さんってすごいのよ。
今まで体験したこともないくらいの超ど級で私もう体がとろけそうで何回達したか分からない。
お姉ちゃま。
私もなりふり構わず声を上げて淫乱の限りを尽くして思う存分楽しんだわよ!このあばずれ!裏切り者!どうして?どうしてなのよ?
(泣き声)いらっしゃい。
行きましょう。
何よ!いいから私についてらっしゃい!
(綱輝)おい。
おいおいおい。
おいおい…。
何なの?どうしてこんなところへ?もうすぐよ!ここは…。
(峰靖)どうした!?富貴子!美輪ちゃん。
来たことあるでしょ?この天ぷら屋が私の家なの。
・
(杉彦)姉ちゃん。
姉ちゃん。
帰ってきた。
(伊佐子)何なの?富貴子。
これ。
この女。
覚えてるでしょ?この人たち。
多摩留のお父さん。
お母さん。
そして弟。
(伊佐子)何やってんの?富貴子。
バレちゃうわよ。
何もかも。
いいのよ。
もうバラすしかないの。
美輪ちゃん。
あなた多摩留にここに連れてこられておいしいおいしいって天ぷらを食べたんでしょ?やめて。
やめて!2016/01/15(金) 13:25〜13:55
関西テレビ1
新・牡丹と薔薇 #31[字][デ]【アバズレ!牡丹の逆襲】
美輪子(逢沢りな)は、富貴子(黛英里佳)と綱輝(片岡信和)を付き合わせようと画策するが、渋る富貴子は、綱輝との約束をすっぽかしてしまう。それを知った美輪子は…
詳細情報
番組内容
綱輝(片岡信和)が退院し、富貴子(黛英里佳)はその祝いをローズカフェで開くことにする。富貴子が家族の前で綱輝と親密な態度を取り、美輪子(逢沢りな)は我慢の限界に。「頭痛がする」と言って、一人で先に帰ってしまう。
美輪子がなぜ機嫌を損ねたのか分からない富貴子は、そのことを美輪子に問う。堰を切ったように、富貴子の綱輝への態度を“ダメ出し”していく美輪子。
番組内容2
最後はいつものように「ぼたん(黛英里佳・一人二役)なら違う。ぼたんならそんな態度は取らない!」と号泣。絶叫する妹を、富貴子はもて余すしかなくて…。
出かけようとした富貴子の前に、杉彦(石田愛希)が現れる。杉彦は富貴子の住む家を突き止めて以来、ときどき小日向家の前にやって来ていたのだ。富貴子もまた、養父母の家にいるほうが心落ち着くのを感じる。そんな富貴子が、綱輝にぼたんのことを詳しく聞くと…。
出演者
吉田富貴子:黛英里佳
小日向美輪子:逢沢りな
牧原世奈子:田中美奈子
小日向崑一:岡田浩暉
浅黄萌子:山口いづみ
瀬尾綱輝:片岡信和
・
小日向眞澄:伊藤かずえ ほか
スタッフ
【企画】
横田誠(東海テレビ)
【原作・脚本】
中島丈博
【演出】
藤木靖之
【音楽】
中川幸太郎
【主題歌】
サラ・オレイン「涙のアリア」(ユニバーサルミュージック)
【プロデュース】
西本淳一(東海テレビ)
大久保直実(ビデオフォーカス)
坪ノ内俊也(ビデオフォーカス)
【制作著作】
ビデオフォーカス
【制作】
東海テレビ
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