2016年1月9日岩手・盛岡市アイスアリーナ。
世界を代表するフィギュアスケーターが一同に会し東日本大震災の被災地を支援するスペシャルイベントが行われました。
今年で震災から5年。
少しでも復興の力になれたら…。
そんな思いを胸に集まったスケーターたち。
演技以外でも実際に被災地に足を運ぶなど現地の方々とさまざまな交流をしました。
私たちは今回「NHK杯フィギュアスペシャルエキシビション」の舞台裏に密着。
スケーターたちが氷上にささげた復興への祈りをお届けします。
(拍手)今回のスペシャルエキシビションが行われたのは岩手県の盛岡市アイスアリーナ。
イベント本番の朝スケーターたちが続々と会場に到着します。
これから始まるのはショーのオープニングとエンディングのリハーサル。
リンクにはオリンピックや世界選手権のメダリストをはじめとする世界のトップスケーターたちが勢ぞろいしました。
競技会でないにもかかわらずこれだけ豪華なメンバーが集まるのは異例の事。
彼らが復興への熱い思いを抱いている証しです。
練習の合間にはスケーター同士の交流があちこちで見られました。
すごく特別だなというふうに思いましたしたくさんの言葉を頂けたのですごく光栄だなと思いました。
そうですね私も尊敬する2人の選手と一緒にこうしてショーに出れる事もすごくうれしいですしこうして一緒にいられる事がすごくうれしいです。
ショー本番の2日前。
特に被害の大きかった岩手県沿岸南部大町へ向かう車内に羽生結弦選手の姿がありました。
羽生選手は地元からの依頼で震災直後からポスターなどを通じ大町の復興支援を呼びかけています。
これまでここに来る機会がなかったため大町の現状を知ろうと今回の訪問を決めました。
ここに住んでていろんな経験をされてほかとは全然違う経験をされてる方々なのでそういうお話も聞いたりまたその方々がどういう表情で今暮らしているのかどんな気持ちで暮らしているのか。
それを直接聞くわけではないかもしれないけれども言葉とか雰囲気とかそういうものを通してちょっとでも感じてそれが…。
自分がこれから震災というものに多分ずっと携わっていかなきゃいけないと思うのでその中でちょっとでも役に立って皆さんの思いが伝えられるようになったらいいなというふうには思います。
まず訪れたのは町が見渡せる高台。
壊滅的な被害を受けた海沿いは復興半ばです。
当時の建物で外観だけでも残ってるのは旧庁舎だけなんですね。
あとはもうほとんど…。
多くの方が亡くなった旧役場庁舎跡。
(羽生)被災地とかね津波の被害があった所とか通る度にすごく思うんだけど僕の言葉なんかじゃ絶対表せないし…。
言ってみれば部外者だから僕たちは。
人のね心に踏み込んじゃいけないところって絶対あるんで。
でもこういう風景を見てる時に思うのはほんとに何ができるかなという事はいつも思います。
「花は咲く」の歌詞にもあるけど「何を残しただろう」とか。
そういう歌詞があるけれどもほんとに僕たちは今生きている中で逆に何を残せるんだろうってすごく思うんですよね。
ほんとにいろんなものがなくなってしまったからこそ。
だからそういうものの助けになるんだったらいいなとすごく思います。
自分たちは未来に何を残せるのか。
羽生選手は町の未来を担う世代と触れ合うため大学園を訪ねました。
ここは震災の被害に遭った町の4つの小学校と中学校が集まって出来た学校。
震災を機に小・中一貫校になりました。
中学3年生は9年生です。
失礼します。
みんな9年生の子って9年生って呼ぶの?はい。
9年生の皆さんなんだ。
あんまり慣れませんけど。
続いて小学部を案内してもらいました。
ちっちゃいな〜。
座る?いや〜座れないですよこれ。
ちっちゃい。
これが小学部の図書室?図書室です。
新しい校舎が建ったら更に整備された図書室が出来るので楽しみです。
新しい校舎がいつ建つかとかまだ分からない?来年度の9月ごろです。
じゃあもうちょっとなんだ。
じゃあ新しい校舎で学校生活できるんだね。
はい。
そっかそっか。
楽しみだそれは。
最後は記念撮影。
(撮影者)はいチーズ!学園の隣にあるこちらの施設。
親が働いている子供たちなどが放課後安心して過ごすための場所です。
おんぶ?おんぶ。
イエー!せ〜の!
(子供たち)がんばってください!
(拍手)本物はテレビしか見れないからここの現実で見れるのがうれしいと思いました。
大町訪問の最後は羽生選手と町の橋渡し役となった方々との交流です。
こんにちは。
いつもありがとうございます。
(羽生)お世話になります。
羽生選手には我々の立ち上げの時からずっと応援してくれている事…。
羽生選手が復興を支援する大町。
町の現状を実際に見てどんな事を感じたのでしょうか。
(羽生)過去を振り返るじゃないけど今と過去とっていう感じがあったからつらいものがあったけどでもやっぱりこうやって被災者の方々のそれこそ一時的なものかもしれないけどこうやって笑顔とか声とか聞けるとあぁ頑張ってるんだなってすごく頑張ってるんだなと思える瞬間だったかなって思います。
町の方々との交流を心に刻んだ羽生選手はこの日盛岡に戻って練習を志願。
深夜まで演技の確認を行いました。
羽生選手が大町を訪問した同じ日。
荒川静香さんをはじめ10人のスケーターたちが被災地に向かいました。
ほとんどの参加者が現地を訪れた事がないため企画されたものです。
リンクで演技を披露する前に被災地の現状とそこに住む方々の気持ちを知っておきたい。
そんな思いが彼らを動かしました。
向かったのは三陸鉄道の南の起点盛駅。
ここから南リアス線に乗り込みます。
南リアス線は2014年の4月に全線の運行が再開されました。
目指すのは釜石です。
皆さんのとこにですね資料をお渡ししますのでご覧になって下さい。
震災の前後の写真とかですねあと会社の震災学習列車のパンフレット。
三陸町の町並みがですねちょっと見て下さいこういう感じだったんです。
今右手海見えますけど防波堤が全部壊れてしまったんです。
三陸鉄道に初めて乗るスケーターがほとんど。
黙とう。
沿線が大きな被害に遭った事を改めて実感しました。
三陸鉄道に乗ったあとは釜石市平田地区にある仮設住宅を訪ねました。
ここは釜石に66か所ある仮設住宅で最大のもの。
戸数は300近くになります。
いまだ仮設住宅での暮らしを余儀なくされる方々を少しでも激励できればと交流会が開かれました。
(拍手)現実に実物を皆さんを見てほんとにかわいらしくそしてまたすてきでほんと初夢でなくて現実に…見ました。
今日はどうもありがとうございます。
(拍手)皆様が復興に一歩一歩進んでいける力に少しでもなれるようにこれから活動も続けていきたいと思っております。
今日はどうもありがとうございました。
(拍手)頑張って下さい。
ありがとうございます。
皆さん楽しそうにしているのは改めてこうやって近くで見てよかったなと思うし早く復興してまたもとの生活に戻れたらいいかなと思いました。
まだこういう場所で頑張ってる方がたくさんいてでもすごくみんな笑顔が多かったので自分も少しでもスケートを通して役に立てればいいなと思いました。
元気出ました。
初めてですもんこういうの。
もっと頑張ろうね。
頑張んなくちゃね。
被災地の皆さんとの触れ合いはスケーターたちにとって自分のすべき事を見つめるきっかけになりました。
被災地訪問の翌日。
今回のエキシビションのために用意されたスペシャルプログラムのリハーサルが行われました。
荒川静香本田武史鈴木明子羽生結弦。
この4人が挑むのは復興支援ソング「花は咲く」。
これまで荒川さん羽生さんがそれぞれ披露してきた大切なプログラムです。
東北ゆかりのこの4人で「花は咲く」を届けようという企画。
本田さんは福島出身鈴木さんは仙台の大学を卒業。
荒川さん羽生さんは仙台出身。
全員仙台のアイスリンクを拠点に切磋琢磨してきた間柄です。
振付はこれまでも「花は咲く」を手がけてきた阿部奈々美さん。
阿部さんも仙台を拠点に活動。
まさにオール東北で復興への願いをささげます。
このメンバーは初めて。
4人は初めてです。
世代が少しずつ違うんですけどでも会えば普通に。
ほんとに振付の時とかもすごい楽しくやってます。
お母さん目線。
お父さん目線。
姉?お姉ちゃんで弟?なかなかシングルのスケーターなのでみんなで滑る機会ってないと思うのでほんとに自分たちも楽しく滑れてるなと思います。
メインリンクで皆さんの公式練習が始まりますので…。
(場内アナウンス)「それではお願いします。
どうぞ」。
メインリンクでは被災地を象徴する花も入れてカメラ照明なども含め細かく演技を確認していきます。
花の置き方こっちでいいですか?今回羽生選手たちに花を渡す役として地元東北の2人の少女スケーターが参加。
プログラムに文字どおり花を添えます。
そんな感じ。
羽生君が今やってくれたみたいにちょっとやってみようか。
はいはいいい感じいい感じ。
(羽生)多分こうやって渡す時にこう見た方がいい。
こっち見ててここ見てて渡したらこう見る感じ。
こうやって…。
こうやって見てちょっとニコッと。
ニコッ!笑っていいから。
笑わせるから来たら。
ほら笑って笑って笑ってって言うから。
・「いつか恋する君のために」・「花は花は花は咲く」・「いつか生まれる君に」イナバウアーはさ上から…それともこうやって…。
最近はこっち。
リンクの脇にもう一人少女がいました。
今17歳の彼女は羽生選手も訪れた大町出身の民謡歌手。
実際に被災しているだけにこのプログラムへの思いは特別です。
すごかったです!すごかったです。
びっくりしました。
生でスケート初めて見たんですけど何か滑る音とかも氷をこうする音とかも聞こえたりしてこの「花は咲く」っていう曲が自分の耳にも届いてほんとに夢みたいな感じのほんとすごいいい時間だなと思いました。
実際僕もこの「花は咲く」のプロジェクトに参加させて頂いてまして自分でも歌を歌ってる部分もあったのですごい思い入れのある曲にもなってます。
ほんとに心が温かくなる希望の光が見える歌だと思っているのでそれが今回スケートと共に人々に届けばいいなって思っています。
わ〜すごい。
ほんとに奇跡ですね。
浅田真央選手は2014年の休養中被災地を訪問。
懸命に生きる人々の姿を見て現役復帰を決めました。
被災地の方々への感謝の思いを込めて届けるのが「ジュピター」です。
もともと震災を受けて2011年から演じてきたプログラム。
今回プロデュースは浅田選手自身。
音楽衣装映像などあらゆる点にこだわり抜いて1年がかりで全く新しいプログラムを作ってきました。
長年浅田選手の振付を手がける盟友です。
彼女の復興への思いをよく知るローリーさん。
全身全霊でこのプログラムに臨んでいます。
歌を依頼したのはリベラ。
2011年の時にもコラボレーションしたロンドンを拠点に活動する少年合唱団です。
はじめまして。
作品のクライマックスに歌われる日本語の詞にも浅田選手の思いが込められています。
そして浅田選手と共に演技で祈りをささげるのが地元東北の少年少女スケーターたち。
大きな転機を与えてくれた被災地への訪問。
その感謝を胸に浅田選手のチームは一丸となってこのスペシャル・プログラムに命を吹き込もうとしています。
(浅田)やっぱりあれだけの津波で建物が流されてしまった中あの奇跡の一本の木だけが残ったという事でその奥にはすごくたくさんのパワーがあると思うので私たちもそれに負けないぐらいのパワーで滑らなきゃいけないなと思ってます。
いよいよ本番。
この日も開場直前まで入念なリハーサルが続きます。
一応確認だけします。
位置を…。
まもなく開演。
観客が席に急ぎます。
今回は被災した皆さんの招待席も設けられました。
スケーターたちの登場を待ちきれない様子です。
(会場の拍手)「東日本大震災5年NHK杯フィギュアスペシャルエキシビション」が開幕します。
(拍手)まもなく浅田真央選手が復興への思いを込めて1年がかりで準備してきた「ジュピター」が始まります。
(場内アナウンス)「浅田真央選手『ジュピター〜未来への光〜』です」。
(拍手)
(浅田)スケートはもちろん競技なんですけどそれだけではなくて自分が滑っていてやっぱりお客さんや見ている方に何かを感じ取ってもらってそれが勇気だったり希望だったりパワーだったりになってもらえたらうれしいなって思うのでこれからも私の滑りを見て何か感じ取ってもらえたらうれしいなというふうに改めて思いました。
(拍手)
(拍手)
(羽生)「NHK杯スペシャルエキシビション」って書いてあるそのタイトルの上に「震災5年」っていうふうに書いてあったりそういうものを見て非常に今回思ったのは被害が大きかった東北の人間としてすごく演技ができる事というのが誇りに思うし幸せだなって思いました。
それプラス僕にしかできない事被災地の関係で今トップにいるスケーターの中ではその震災当時一番近い所に一番被害の大きな地域の近くにいた人間だからこそできる演技があると思います。
その演技をしてでまたそれが皆さんの心に残ればなというふうに思います。
(拍手)
(場内アナウンス)「荒川静香さん羽生結弦さん鈴木明子さん本田武史さんによるスペシャルコラボレーション『花は咲く』でした」。
世界のトップスケーターたちが氷上にささげた復興への祈り。
その祈りは未来への光となって力強く輝きます。
(拍手)羽生選手たちの「花は咲く」。
そして浅田選手の「ジュピター」。
それぞれ復興への熱い思いが伝わってきましたよね。
スケーターの皆さんの心の籠もった演技のプレゼント被災した地域の皆さんにもしっかり届いたのではないでしょうか。
さて福島の会津地方を舞台にした大河ドラマ「八重の桜」。
その主人公を演じた綾瀬はるかさんが福島各地を訪ねる「ふくしまに恋して」を紹介しましょう。
人々に出会って自然や文化の魅力を訪ねる旅。
今回綾瀬さんは県の南部にある鮫川村を訪ねました。
はじめまして。
はじめまして。
綾瀬はるかと申します。
よろしくお願いします。
綾瀬さんが出会ったのは福島の農家を応援する高校生たち。
風評被害をなくそうと生産者を取材し食材と一緒に冊子を届ける取り組みを行っています
訪ねたのは大豆の加工場です
わ〜あったか〜い!おじゃまします。
甘さが売りという鮫川産大豆。
香りも豊かなんだそうです。
さあ続いて登場したこちらの機械。
何を作るものかというと…綾瀬さん
(笑い声)はんぺんばっかり。
すごい上手!すごい!う〜ん!
次に向かった先は大豆を作る農家
よ〜く耳を傾けて下さい
(大豆をかき混ぜる音))あ〜そうですね。
大豆をかき混ぜるのは1日3回10日間。
更に傷んだ大豆を取り除くのに10日間。
ひたすらまめな手仕事が続きます
(笑い声)
大豆を使った料理もいろいろあります。
とりわけ豆餅。
正月に食べるごちそうです
「ふくしまに恋して」のホームページでは綾瀬さんの旅の様子も紹介しています。
そちらも併せてご覧になって下さい。
では被災した地域で暮らす方々の今の思い。
福島県南相馬市の皆さんです。
私の後ろに見えますのは南相馬・鹿島にございます「奇跡の一本松」です。
被災した方々の心のよりどころとして守る会を作り育ててきました。
松は枯れが進んでおりますけれども…南相馬市原町区で洋菓子を作ってます。
避難区域にあったお店を2014年に再開しました。
お客さんにおいしいケーキを届けたいと新商品開発に取り組んでいます。
これからも福島のために…私たちは「相馬ながれやま踊りJuniorの会」です。
全国に避難された方々にふるさとの踊りを伝えたくて2014年に結成しました。
全国で披露させて頂き…。
「今日もありがとう」と声をかけて頂きうれしかったです。
2016/01/17(日) 10:05〜10:53
NHK総合1・神戸
明日へ−つなげよう− 氷上の祈り〜東日本大震災5年▽NHK杯フィギュアの舞台裏[字]
1月9日「NHK杯フィギュア スペシャルエキシビション」が開催。羽生、浅田選手ほか、世界のトップスケーターが集結。復興への祈りを込めた氷上の舞、その舞台裏に密着
詳細情報
番組内容
1月9日、盛岡市で「NHK杯フィギュア スペシャルエキシビション」が開催。羽生、浅田選手のほか、プルシェンコなど世界中からトップスケーターが集結。復興への祈りを込め華麗な氷上の舞を披露する。スペシャルステージでは復興支援ソング「花は咲く」を荒川静香、鈴木明子、本田武史、羽生結弦という東北ゆかりの4人が滑る。また浅田選手自らが音楽から映像までこだわったオリジナルプログラム「ジュピター」を初披露する。
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
ドキュメンタリー/教養 – スポーツ
スポーツ – マリン・ウィンタースポーツ
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