(ナレーション)
京都市西京区にある…
芸術家やデザイナーを志すおよそ1000人の学生が通っている
日本画油絵彫刻陶芸デザイン音楽
あらゆる芸術分野の教育が行われている
これまで多数の文化勲章受章者人間国宝を輩出した名門校である
そんな京都芸大の歴史は130年前にる
明治13年日本初の公立の美術学校が京都御苑内に開校した
京都芸大の前身京都府画学校である
四条円山派の画家幸野楳嶺が開校を熱望
東京遷都によって衰退した地場産業を立て直し人材を育成するためであった
明治42年より専門的な教育を行う京都市立絵画専門学校が新設された
「絵専」と呼ばれ楳嶺門下の高弟竹内栖鳳や菊池芳文らが教壇に立った
第一回卒業生はそうそうたる顔ぶれであった
小野竹喬土田麦僊村上華岳など京都画壇を代表する画家たちが巣立っていった
北区にある…
画学校絵専時代を含む京都芸大で教鞭を執った作家の展覧会が開かれている
竹内栖鳳と同じ楳嶺門下の…
絵専の草創期の教師である
竹内や谷口に学んだ入江波光
仏画や古画の摸写研究に取り組み法隆寺金堂壁画の模写に従事した
福田平八郎が卒業制作に描いた六曲一双の屏風
福田は入学当初から頭角を現しこの作品は学校買い上げとなった
京都芸大で日本画を専攻母校の資料館で学芸員を務める松尾芳樹さん
美術教育というのは教える側とそれから巣立つ側その両方の面からアプローチしていくべきかと思いこの展覧会では教師たちにスポットを当てた展示になっております。
その中では非常に長く教師を務めた竹内栖鳳の絵手本。
この方はたくさんの学生を輩出したことでも…お弟子さんにしたことでもよく知られているんですけどもそういった…教師の中の教師といった竹内栖鳳の絵手本という教育に使われた資料ですねこういったものを展示するほか林司馬の…この方は林司馬というのは摸写を非常に専門にされた方で法隆寺の摸写に参加されたりそのほか京都の様々な古刹で摸写に従事された方なんです。
京都市立芸術大学では構内で鶏を飼っている
実物をじっくり観察し自然のフォルムや色彩躍動感を表現する画力を養うためである
(綾田さん)羽の流れっていうかそういうなんをよく見て丸みを…。
写生なくして創造は生まれない
そう語るのは日本画を教える…
京都においては江戸中期円山四条派っていうのがありましてそのころから円山応挙であるとか写生を中心にした絵画を始めました。
それまでは形式的な受け継がれる絵画制作の勉強の仕方だったんですけれども円山応挙が写生をすることによって個人の個性…創作性を伸ばすっていうことを始めました。
四条円山派を受け継ぐ竹内栖鳳は写生の重要性を学生に説いた
(綾田さん)そういう伝統が京都のこの教育の土壌にもあって…。
この学校が開設された当初からその精神があって代々教員の間に受け継がれてきまして。
あまり技術は教えない…けども自分で写生をして…しっかりとして自分の個性を発見していくっていう。
自然を見るんですけれども自然は鏡になるわけですね。
その鏡に自分を映すっていうことを自覚してそれを写生するっていうことが絵を描いていく姿勢っていうか原動力になっていると思います。
僕は割とこう…割とこうなんでも綺麗に綺麗にと思うところがちょっと今までというか最初はそういうところがあったんですけど先生から教えてもらってるときに「別にそういうことじゃなくてもっと本質の骨格の部分を大事にした方がいいよ」とか…。
私自身動物や植物を主に描くんですけれども山口華楊さんであったり上村松篁さんの作品が好きで完成した作品自体にも魅力を感じるんですけれども最初に写生されたそのスケッチの状態のものを見ているとなんかそのときの画家さんの持っておられる感情であったり考えておられることがダイレクトに伝わってくるのでそこで感動することが多いです。
日本画がほんとに…昔からずっと…日本人がずっとおんなじ画材で今までずっと描き続けてるってことで私も昔描いてた方の描きたかったものその思いとかを…自分の中に入ってきてたらうれしいなって思います。
仏画や風景画抽象画に至るまで幅広い作風で知られる堂本印象
この美術館も彼のデザインである
西陣織の図案描きの仕事をしていた印象は画家を志し大正7年27歳で京都芸大の前身絵専に入学する
在学中に第一回「帝展」に入選
瞬く間に画壇の寵児となった
卒業制作は三幅の掛け軸を組み合わせた…
老練な雰囲気を醸す作品である
母校の教員となった印象はそのかたわら画塾「東丘社」を主宰
画壇の指導者として長く活躍した
京都芸大に勤めていた50代半ば客員教授としてインドへ赴任した
茫漠とした黄色い大地に心を奪われた
展覧会では日本画のみならず様々な作家の作品も展示
陶芸家富本憲吉
洋画家須田国太郎
黒田重太郎
(松尾さん)京都の場合は「花鳥風月」とよく言われますけれども自然と向き合うということが非常に訓練されているといいますか日常の生活の中に自然を取り入れるっていうことが非常に巧みな土地だと思います。
京都市立芸術大学が持ってきた歴史の中で写生というものの精神というのがありまして京都が持っている文化資産というものを継承しながら教育を行ってきたことがそういった絵画につながっていったんだろうと思います。
またそれは京都ならではの美的な感性というものを育てていったんだというふうに考えられます。
日本の近代美術史を飾る数々の芸術家たち
彼らの教えが根を張り受け継がれる京都市立芸術大学である
2016/01/17(日) 06:15〜06:30
MBS毎日放送
美の京都遺産[字]
「京都市立芸術大学・1」
詳細情報
◎この番組は…
古都1200年の歴史の中で守り続けられてきた寺社仏閣・祭り・伝統工芸などの中より「美の再発見」をテーマに、ハイビジョン撮影による高画質映像でお送りする「映像美術館」。
音楽
久石譲
公式HP
【番組HP】
http://www.mbs.jp/kyoto/
おことわり
番組の内容と放送時間は、変更になる場合があります。
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 歴史・紀行
福祉 – 文字(字幕)
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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