打つ手を間違えれば命取り。
わしは決めた!真田はまだ終わってない。
最新のトレンドを発信し続ける街パリで年齢や性別を超えて大きな支持を集めているブランドショップがこちら。
ボンジュールムッシュー。
エレガントなジュエリーの中でも大人気なのが…。
なんと京都のくみひもを大胆にあしらったブレスレット。
発表されたのは1年前。
金属とは異なる素材の斬新さが評判になりました。
鮮やかな色合いと洗練された雰囲気。
きょうのイッピンは…千年の歴史に育まれた糸と糸があやなす繊細な模様。
狭い幅の中で極限まで追求した美を世界が認めたんです。
日本でも。
時計とベルトの取り合わせを楽しめると話題の腕時計専門店。
この夏京都のくみひもが登場。
さまざまな色の絹糸を組み合わせたベルトは男女を問わず人気で生産が追いつかないほど。
(知花)ほ〜あかわいい。
おしゃれ!知花くららさんつけてみました。
縦のストライプに見えますけど。
ひと目ひと目編まれているのがよく見れば分かりますね。
上品さはそのままにモダンに進化した京都のくみひも。
その魅力に迫ります。
くみひもの一大産地京都。
100軒以上の工房があります。
知花さん時計のベルトを作った工房を訪問。
こんにちは!
(八田)はいこんにちは。
案内してくれるのは…どうぞお入りください。
こちらは創業67年。
12人の職人がさまざまな種類のひもを作っているんだそう。
ひもによっていろいろ組み方が違うんですけれどもはい。
例えばこの辺りですとかばんの持ち手に使っていただいたりとか。
こちらですか?はい。
ふ〜ん。
本当だ。
なんかしっかりしてますね。
はい。
これらは「唐打ひも」っていう名前のひもでして大体寺社仏閣なんかでよく使われてる結びをされるためのひもになりますね。
用途によって作り分けられるくみひも。
その製作工程を見せていただきましょう。
(機械の稼働音)お〜!ワハハ!すごい!え〜!ところ狭しと並ぶ50台の機械。
ひもを組むためにつくられた製紐機です。
それぞれ異なる組み方をしています。
すっごい!ええええええ。
こちらが一番ベーシックな…。
はい。
まずは基本的な組み方をする機械を拝見。
へぇ〜。
どうなってるんですかこれ?ほ〜!はい!この機械が作るのは巾着のひもなど細めのもの。
くみひもに最も多く使われるのは絹糸。
数十本を1つに束ねたものをボビンに巻き取り付けるとこれが兵隊さん。
兵隊さんは互いにぶつからないよう設置されたレールの上を動くんです。
中心の柱のまわりを緑色のボビンは左回り。
黄色のボビンは右回り。
すれ違うとひもが組める仕組みです。
この2本にご注目。
すれ違った瞬間に糸が交差してひと目組まれました。
糸が8本の場合同時に4か所で交差するんです。
糸の色を変えると表情が異なるひもになるんだそう。
まずピンクを1本だけ黄緑に替えると…。
すご〜い。
次に糸をピンクと黄緑4本ずつにすると斜めのストライプ柄に。
糸の色組み合わせ方太さを変えれば無限の表情を生み出せるんです。
この工場ではほかにも…。
16本の糸でブレスレットやストラップに使う平らなひもを組む機械。
寺や神社の飾りひもを作る機械など。
糸の数動きの違いによって多様なくみひもが作られていました。
さあいよいよ時計のベルトを組む機械です。
その機械を担当するのはベテランの…昭和40年代から使っている製紐機。
工場で最も多い39のボビンが複雑に動き回っています。
すごい!へ〜!あ出来上がってますね。
組むのは薄く平らなひも。
これほど緻密なストライプ柄はこの機械にしかできないんだそう。
ベルト作りで最も難しいのは意外にも幅をピッタリ18ミリにする事。
時計は規格品なのでベルトの幅は厳密に決まっているんだそうですがいったいなぜ難しいんでしょう?芳岡さんが朝最初に行うセッティング。
そこに秘密を解く鍵がありました。
天気や使う糸の状態によって調子が変わる古い機械。
コンディションを見極め幅18ミリになるよう毎朝調整し直さなくてはならないんです。
(芳岡)よし。
さてきょうのご機嫌はいかがでしょう?すぐに機械を止めました。
すいません。
糸が切れてしまったんです。
山が削れているみたいなのでこれが今丸くなっちゃってるんですね。
これを山をきれいに作り直します。
木製のボビンの歯車が摩耗してスムーズに回転せず糸が切れる原因となっていたのです。
削り直したものを設置して…これで大丈夫でしょうか?
(稼働音)しばらく動かしたところでベルトの幅を確認します。
18ミリであるはずが1ミリ広かったのです。
そこで芳岡さんが取り出したのは油。
レールにさしてスムーズに動くようになれば設定したとおり18ミリになると考えたのです。
再び動かしましたが…。
まだ19ミリのまま。
油作戦は失敗。
そこで今度は…。
注目したのは錘。
実はそれぞれの糸には錘がついているんです。
錘は糸を引っ張ることでひもの固さや幅を決める役割を果たしています。
重い錘をつけ強い力で引っ張ると幅は広くなります。
狭くするには錘を軽くし引っ張る力を弱めます。
何本もある糸の錘を微妙に変えることで幅の細かな調整ができるのです。
実は1ミリ狭めるのは大きな調整。
芳岡さんは39本の糸のうちベルトの中心を組む赤い糸の錘を100グラム軽くしました。
中心の糸が幅に大きく関わっている。
この機械特有の癖から割り出した解決策でした。
さて芳岡さんの読みは当たったのでしょうか。
ついにやりました。
半世紀近く稼働し続ける製紐機。
その複雑で美しい組み方は職人の細やかな調整があって初めて出来るものでした。
この機械芳岡さんにとってどんな存在ですか?老いた機械と愛情を注ぐ職人。
名コンビが生み出したイッピンです。
(掛け声)エンヤラヤー!京の都で平安時代から続く祗園祭。
町衆の心意気を示す山車のあちこちにくみひもが。
くみひもは京都の文化とともに発展してきたんです。
それに呼応するように道具もさまざまに開発されてきました。
円盤の上で「組玉」という錘をつけた糸を動かしひもを組む「丸台」。
丈夫なひもを組むなら「綾竹台」。
複雑な柄を作ることができる「高台」。
明治に機械が登場するまでは全て職人が手で組んでいたんです。
代表は帯締め。
帯を留め飾り人々の目を楽しませてきました。
ほかにも貴族の調度品。
鎧などの武具。
お茶の道具。
さまざまな暮らしの場面に寄り添ってきました。
そしてまた京都で新たなムーブメントが。
1年前にオープンしたこちらのお店。
コンセプトは「気軽に楽しむくみひも」。
現代のライフスタイルに合ったモダンでポップなデザインの製品が並ぶ中人気急上昇中なのが長さ3メートルの細めのくみひも。
使い方は自由なんだそう。
生活のあらゆる場面でくみひもが手放さないという寺本恵里さんに伝授してもらいます。
くみひもで結んだだけなんですけれどもこんな感じでつけてて。
ここがちゃんと組んであるひもなので滑り落ちないようになってましてこのまま普通にワーって走ってもはいいけます。
毎日持ち歩く手帳。
表紙の裏にくみひもをテープでとめればかわいいしおりに。
そして取って置きの活用術が。
ひもがあればこんな感じでカフェとかお店に行った時によくこうやってくくっちゃって傘をこういうふうにかけてしまう。
なるほどこれは便利。
結ぶ束ねるくくる。
楽しみ方はいろいろ。
着物姿でさっそうと歩く知花さん。
帯締めがその美しさを引き立てています。
いやもうすばらしいですよね。
なんかもう締めたときにキューっていうきぬずれの音となんか吸い付くような感じ。
ハ〜締め心地最高です。
知花さんを魅了した帯締め。
作った方の工房へ。
ごめんくださ〜い。
(長谷川)はいどうぞ。
こんにちは。
こんにちは。
キャリア50年の伝統工芸士。
長谷川さんの帯締めを一度使うと皆とりこになってしまうほど人気の匠なんです。
私きょう帯締め締めさせていただいているんですけど…。
ありがとうございます。
長谷川さんは手組み一筋。
操るのは「角台」。
組みあがりを確認しながらしっかりと組めるのが特徴です。
帯締めのために開発された台とも言われています。
組玉をリズミカルに動かしながらどんどん組み上げていく長谷川さん。
この時何よりも大切にしている事がありました。
そう「むっくり」。
組み目1つ1つがギンナンのように丸みを帯びつややかに美しく並んでいる事。
これがいい帯締めには欠かせないんです。
これを持って。
知花さん「むっくり」の秘密を探ろうと手組みに初挑戦。
反対です反対です。
反対回り左回り。
そうです。
あ〜!次に右回りはい。
これを右回り…あ緩めず。
はい緩めず。
はい今度左回り。
教わったのは絹糸の束を4本使う「四つ組」というシンプルな組み方。
はいもうそこで結構です。
お疲れさまでございました。
これで?はいいいです。
なんとか完成。
ふ〜すごい汗かいてる私。
並べてみなあかん。
や〜だ。
え〜!長谷川さんのと比べてみると。
この艶の感じが全然違いますね。
この光沢の違い。
さらに…。
長谷川さんの帯締めは組み目の形大きさ共に見事にそろい美しく整列していますが知花さんのは形も大きさもバラバラ。
どうして知花さんはむっくりしなかったんでしょう。
二人の組み方を比較します。
手の使い方にご注目。
長谷川さんは組玉を持ちしかも指先で回転をかけています。
一方知花さんは組玉ではなくひもを持って動かしていました。
そのため組玉がクルクルと勝手に回り絹糸の束がほどけてしまっています。
これが知花さん失敗の理由。
「むっくり」のポイントは「撚り」。
何百本もの糸からなる束がばらけないようねじってまとめることです。
玉を動かし組んでいくうちどうしても撚りは甘くなります。
だから組む合間に撚りをかけ直す作業が欠かせません。
しかも…。
小指で支えて撚りが甘くなったら小指でクイッとひねってやって。
なんと長谷川さんは組んでいるさなかにも指先で撚りが足りないと感じると組玉を回転させて撚りをかけていたんです。
じゃあ手を動かしながら撚りをかけると?はい。
撚りをかけるっておっしゃるけれどいくつ回して正解の撚りっていうわけじゃないんですよねきっと。
はい。
それはそういう撚りじゃないですね。
職人技だぁ。
ハイスピードカメラで見てみると。
両手のそれぞれで微妙に異なる撚りをかけているのが分かります。
しかも撚りがくみひもにもたらすのは美しさだけではないんです。
それは「伸縮性」。
適度に撚るとほどよく伸び縮みします。
撚りがあまいと伸びきったまま戻りません。
一方撚りをかけすぎると固くなり伸びません。
知花さん絶賛のつけ心地は適度な撚りが生んでいました。
常に絹糸の撚り具合に注意を払いながら組むこと20分。
はい出来上がりました。
すばらしい。
ありがとうございます。
ピカピカしてます。
ありがとうございます。
キラキラ。
そうですそうです。
わ〜きれい。
半世紀もの間指先で糸との対話を続けてきた職人のみが作り出せるイッピンです。
糸と糸を組む。
このシンプルな技を千年かけて磨き上げてきた京都の職人たち。
これからも数センチの幅の中に無限の美しさを作り出します。
2016/01/17(日) 04:30〜05:00
NHK総合1・神戸
イッピン「糸があやなす千年の美〜京都 くみひも〜」[字]
京都の“くみひも”が今、パリの高級ブランドでブレスレットへ、人気の時計店でしゃれたベルトへと姿を変え、華麗に変貌を遂げている。千年の美意識が結晶した世界を探る。
詳細情報
番組内容
今、パリのブランドショップでは、京都の“くみひも”をあしらったブレスレットが大人気だ。吉祥寺の時計店では、“選べるくみひもベルト”が飛ぶように売れている。京の都の研ぎ澄まされた美意識の結晶である“くみひも”が、より身近なものへと変貌を遂げ、世界を魅了している。時にはボビンが39個もある複雑な機械を操り、時には昔ながらの手組みのワザで華麗なくみひもの世界を作り上げる職人たちを、知花くららが訪ねる。
出演者
【リポーター】知花くらら,【語り】平野義和
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
趣味/教育 – 音楽・美術・工芸
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい
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