ニュース「台湾総統選」関連 2016.01.16


ここでニュースをお伝えします。
きょう投票が行われた台湾の総統選挙は、民進党の蔡英文氏が、与党・国民党の候補を破って勝利し、台湾で初めての女性総統が誕生することになりました。
国民党の中国への急速な接近を批判した民進党が、8年ぶりに政権を奪還することになりました。
民進党の蔡英文氏は、日本時間の今夜9時半ごろ、勝利を宣言し、8年ぶりに政権を奪還し、台湾で初めての女性総統が誕生することになりました。
国民党の朱立倫氏は、私は主席を辞任して、徹底的に反省したいと述べて、今回の敗北の責任を取って、国民党の主席を辞任する意向を示しました。
投票は日本時間の午後5時に締め切られ、現在、開票作業が続いており、中央選挙委員会の発表で、日本時間の午後9時半現在、民進党の蔡英文氏が658万票余り、国民党の朱立倫氏が361万票余りとなっています。
選挙戦では、争点の中国に対する政策を巡って、交流拡大の継続が台湾の利益になると訴える国民党の朱氏に対し、急速な接近は、台湾の主体性や民主主義を損なうと批判する民進党の蔡氏が、8年ぶりの政権交代を訴え、激しく争ってきました。
台湾では、同時に行われた、議会・立法院の選挙の開票作業も進められており、民進党が議会でも過半数を獲得できるのか、注目が集まっています。
では、台北で取材に当たっている田島記者に聞きます。
現在、そちらはどのような様子でしょうか?
私は今、民進党の蔡英文陣営の選挙対策本部の前にいます。
今、このすぐ隣にある記者会見場で、蔡英文氏の記者会見が行われています。
この後ろにあるスクリーンに、その記者会見の様子が映し出されていて、支持者たちがその記者会見を聞き入っているところです。
蔡英文氏がここに訪れたとき、支持者の人たちは、総統、総統と叫んで迎え入れました。
蔡英文氏は、この記者会見が終わりますと、こちら、会場に姿を見せて、支持者に勝利の報告をするものと見られます。
蔡氏の勝因はどこにあると見ていますか?
選挙戦で蔡英文氏は、経済格差や、不動産価格の高騰など、市民の間で不満が広がっている問題の解消を目指す政策を打ち出して、国民党政権が進めてきた、中国との関係緊密化の恩恵を実感できない人たちの受け皿となりました。
一方、国民党政権と中国の共産党政権が、対話の基礎としてきた、いわゆる一つの中国という考え方は押しつけだと批判することで、台湾人としてのアイデンティティーが強まっている若い世代に支持を広げたことも、勝因に挙げられます。
総統選挙は、民進党の蔡英文氏の勝利が決まったことで、今後は同時に行われた議会に当たる立法院選挙で、民進党が初めて議会で過半数を獲得し、安定政権を作れるかどうかが焦点になります。
続いて北京の逵記者に聞きます。
民進党の蔡氏の勝利について、中国政府はどのように受け止めているのでしょうか?
蔡英文氏のこれほどの圧勝は、中国にとって厳しい結果です。
中国政府の公式の反応はまだありませんけれども、きのう外務省の報道官が、台湾情勢にどのような変化が起きても、台湾独立に反対する立場は変わらないと述べています。
このあと、公式の反応が出るとすれば、中国大陸と台湾はともに一つの中国に属するという原則を改めて強調すると見られます。
今後、中国政府はどう対応するのでしょうか。
中国政府は台湾の政権が変わっても、台湾との安定した関係が続いて、交流がさらに拡大することを望んでいるんです。
ただ、一つの中国の原則で譲歩することはできませんで、これを受け入れなければ、台湾海峡の平和と安定は守れなくなると圧力をかけていくと見られます。
その一方で、水面下で蔡英文氏側と接触して、歩み寄りを求める可能性があります。
また中国は、台湾の最大の後ろ盾でありますアメリカの役割を重視しています。
北京には来週以降、ブリンケン国務副長官と、ケリー国務長官が、相次いで訪れる予定でして、蔡英文氏が中国も受け入れ可能な態度表明を行うように、アメリカからの働きかけを求めることも考えられます。
では、ここからは国際部の石部記者と共にお伝えします。
石部さん、民進党の蔡英文氏の勝因について改めて詳しくお伝えください。
若者を中心に広がる台湾のアイデンティティーを重視するという主張が、広く受け入れられた結果だと思います。
今回の選挙では、有権者の4割を占める20代と30代の若者が鍵を握ると見られていました。
国民党の馬英九政権が、経済面で中国との関係強化を進めた結果、中国依存が強まり、台湾経済が中国に飲み込まれるという不安も広がっていました。
おととしには馬英九政権には中国とのサービス分野の自由化協定を一方的に進めようとしたことに反対し、学生たちが3週間以上にわたって議会を占拠しました。
蔡氏はこの運動にも共感を示し、この運動から生まれた政党とも選挙協力を進めました。
こうした若者たちが重視するのが、台湾のアイデンティティーです。
台湾の大学が去年行った調査によりますと、自分のことを台湾人だと思うという人が、およそ60%にまで増えている一方、中国人だと思うという人は僅か3%でした。
蔡氏は台湾の主体性を強調して、政治の刷新を訴え、政治への関心を高めた若者らの意識の変化をうまくつかんだと言えると思います。
新しい政権はどのような政策で臨むのか、その見通しはどうですか?
中国が独立志向が強いと見ている民進党の政権になり、中台関係が不安定化する可能性があります。
総統選挙で高い得票率を占め、議会に当たる立法院でも民進党が単独で過半数の議席を確保すれば、安定政権になり、蔡氏が独自色を出してくる可能性があります。
ただ選挙戦の中で、蔡氏は独立に言及せず、現状維持を強調してきました。
民進党が初めて政権を取った陳水扁政権のときのように、独立志向を強めれば、中国との関係が冷え込み、台湾経済が悪化するおそれがあります。
このため当面は、独立志向は抑えるものと見られます。
蔡氏は5月の総統就任に向け、政権樹立の準備に入り、中国側と水面下で接触するという見方もあります。
中国が求める一つの中国という考え方にどのように対応するのか注目されます。
それから、日本との関係についてはどうでしょうか?
蔡英文氏は、日本と一歩進んだ協力の可能性を探りたいとして、関係強化を進めたい考えを示しています。
去年10月に来日した際には、安倍総理大臣の地元の山口まで足を伸ばし、日本との関係を重視する姿勢を示しました。
具体的には台湾経済の発展のために、バイオテクノロジーや、再生可能エネルギーなどの分野で、日本の経験を参考にしたいとしています。
また日本やアメリカとの関係強化は、中国との関係がぎくしゃくする局面に備える意味もあるという見方もあります。
日本や東アジア情勢に影響を及ぼすだけに、蔡氏の手腕が注目されます。
国際部の石部記者とともにお伝えしました。
2016/01/16(土) 21:50〜22:00
NHK総合1・神戸
ニュース「台湾総統選」関連[字]

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ニュース/報道 – 定時・総合

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