霊峰・高野山への参詣口として栄えたこの町にある問題を抱えたお宅がありました
この家が抱える問題それは…
「とりあえず今は申し訳ないけど施設に行ってください」ってお願いして行ってもらったので
古来多くの参拝客が渡った清流・紀の川
その川辺に120坪もの敷地を擁し広い土地いっぱいに建物がコの字型に連なる森家
20年も前に閉鎖した古い織物工場が今もそのまま
2階建ての母屋は板張りの外壁が色褪せもう長い間雨戸が開けられていません
シンと静まりかえった家の中でひっそりと暮らすおばあちゃん
一人暮らしになって早3年がたちました
日に何度も仏壇に手を合わせてお祈りするのは離れ離れになってしまったおじいちゃんとまた一緒に暮らせる日が1日も早くくること
3年前家で転んで背骨を圧迫骨折した森家のおじいちゃん
寝たきりの入院生活が続いたことで筋力が弱まり車椅子が必要な体に
自宅での療養を望むものの高齢のおばあちゃんと夫婦2人きりではそれも難しく退院後もそのまま近所の介護施設に入所しずっと家には戻っていません
(スタッフ)おじいちゃん早く帰りたいですか
しかしそんなおじいちゃんの思いとは裏腹に愛着あるわが家には玄関の高い敷居をはじめ車椅子のおじいちゃんを阻む数々の障害が待ち受けています
今のままでは車椅子で帰ってくることなど到底無理
足腰の弱ったおばあちゃんにとっても大きな負担となっています
おばあちゃんが外出する際自分の部屋を出るとそのすぐ脇に玄関があるにもかかわらずそれを横目に見ながら玄関とは全く別の方向へ
実はおばあちゃん玄関の敷居が高すぎてまたぐことができずコの字型に連なる広い家の中をぐるりと回り込みわざわざ対面するかつての工場の入り口から出入りしていたのです
動線上にあるあらゆる物を手すり代わりにして体を支えながらゆっくりと歩を進めるおばあちゃん
そして母屋からかつての織物工場へ
ここからは手すり代わりになる家具などもほとんどありません
そのためおばあちゃんが頼るのは空の台車
こうして部屋を出て歩くこと40m
母屋の玄関なら部屋からすぐ外に出られるのに僅か15cmの敷居をまたぐことができないせいで日々こんな苦労を繰り返すおばあちゃん
離れて暮らす娘が願うのはおばあちゃんの体に優しくおじいちゃんが車椅子でも安心して帰ってこられる家
そんな切なる願いを受け1人の男が立ち上がりました
まず住むためにはねそのおのおの人が自然に生活できるというのが大事やと思うんですね例えば家族構成二世帯なのか三世帯なるのか家族の中ではお年寄りの方がおったり小っちゃい子どもがおったりとか色んな家族があると思うんでお互いの距離感も大事やし微妙に閉じたり微妙に隠したりとかいうことも家の中では非常に大事なことですねその人にあった空間のつながりってあると思いますから無理のしない自然な生活というのをその人ができるように家族のライフスタイルを見極めてどの辺につないだらいいかということをいつも考えながら家造りをしています
家族1人1人が自然体でいられ気疲れせずに暮らせる家を目指す木村
人は彼を「気負わない家の仕立て屋」と呼びます
車椅子のおじいちゃんの帰りを願いもう3年もおばあちゃんが1人きりで暮らす森家
実はそんな両親を心配した娘家族が同居を決意しひと月前に戻ってきていました
こんにちは・はーい・ああこんにちは木村ですはいはいはい…
アメリカから帰った娘の京子さんと日系アメリカ人の夫・ケンさん
中学生の一人息子・カイくん
そして…
お名前何ていうんですか?
(京子さん)パンダみたいな顔してるのでパンちゃんっていいまーす
(スタッフ)一緒に連れてきたんですか?そうですか向こうからね
23年前旅先のアメリカでケンさんと出会い結婚した京子さん
一人息子のカイくんも生まれ親子3人これまでずっとサンフランシスコで暮らしてきました
しかし今回夫と息子に事情を理解してもらい17年ぶりに実家へ戻ることに
3年も一人暮らしをしていたおばあちゃんは家の中がにぎやかになって大喜び
パンダももうすっかり懐いています
こんにちは〜
(京子さん)母です木村ですよろしくお願いしますよろしくお願いします
(スタッフ)どうです?みんなと一緒に住めて
(スタッフ)来るよって聞いた時どうでした?うれしくって!
もともとL字型に建てられていた工場に母屋を増築してコの字型になった森家
その際工場の一角を台所に改築
玄関の土間は6畳もあって広々としていますがここ3年誰も使っていません
それは玄関にある高い敷居が原因
おばあちゃんにはまたぐことができません
これ大体15cmぐらいだと思うんですけどもこれが怖いんですね
(京子さん)怖いんです
今は施設にいるおじいちゃん自慢の母屋は床下を高く取った昔ながらの日本家屋
建具だけで仕切った田の字造りの1階の南側に客間と仏間が並び奥の北側にはおじいちゃんの部屋とおばあちゃんの部屋が
せっかく娘家族と暮らせるようになったのにおばあちゃんは一緒に食卓を囲むことができず食事をとるのは1人自分の部屋
低い座卓を前に正座するおばあちゃん
曲がった腰が痛くてみんなと同じように椅子に座ってごはんを食べることができないのです
へぇ〜お母さんそしたらここでいつも座られて…なるほどここが食卓というか…だけどこのテーブル若干低いような気がするんですけどもこの高さがいいんですか?いいんですこれ大体20cmぐらいなんですけど
(京子さん)もともと背も低いほうですし腰も曲がってますのでねこれぐらいの高さが本人は楽みたいですね
(スタッフ)お母さんここでだけど1人で食べるよりはね
(木村)そうですね食べたいですねこの家のね実はこの奥に隠されてるんですけれども…普通の押入れのような…一見押入れに見えるんですけど実はそこが階段で…真っ暗ですね真っ暗やしうわぁこれきついですね
おばあちゃんの部屋の押し入れに隠れていたのは母屋の2階に上がる唯一の階段
しかしそれは傾斜が60度以上もあるまるでハシゴのような急階段
驚くことにこの崖のようにそびえ立つ危険な階段を足腰の弱ったおばあちゃんが1日に何度も上り下りしているというのです
片手で手すりをつかみもう一方の手を踏み板についてゆっくりとはい上がるおばあちゃん
もともと2階がおじいちゃんとおばあちゃんの夫婦の寝室でした
年をとってから1階に寝床を移したもののタンスなどは今もそのまま
ここに来て手紙を書くのがおばあちゃんの何よりの楽しみなのです
すごいですね危ないですねだけどこれ…
(スタッフ)今日も上がったんですか?「上がる時声かけてね」って言うんですけどもそんなの声かけてくれないので「お母さんどこ?」ってこっちに来ると「ここよ」って上から声が聞こえてまた勝手に上がってるみたいな
(スタッフ)だけどおばあちゃん大丈夫ですか?これ
(木村)今まで落ちた時ってないんですか?
(京子さん)私は子どもの時に落ちましたけれども
2階ばかりかトイレやお風呂へ行くのも大変
もともと森家の水回りは玄関を出た外にありました
4年前廊下をつくって家の中で直接行けるようにしたのはいいのですが延々と続く廊下の長さは実に20m!
トイレが近いおばあちゃんは途中に段差もあるこの長い廊下を1日に何度も往復しなければならないのです
そのトイレの隣廊下の段差の脇から入る洗面所やお風呂にもつまずきやすい細かな段差がいくつもあり高齢者にとっては危険がいっぱい
こちらからいつも工場のほうに入ってます
(京子さん)段差がないので織屋っていうんです私たちは…「おうち何してるの?」「私んち織屋」っていって私は織屋の子としてずっと育ったんです
パイル織物とは布生地の表面が毛羽立つように立体的に織り出された織物のことをいいます
代表的なものとしてはタオルや絨毯などがありビロードやコーデュロイもパイル織物の一種
面の密度が細かく丈夫なことから車や電車の座席などにも使われています
最盛期には日本全国のパイル織物の8割を生産していたといわれる高野口町
そこで織屋として20年前まで稼働していた森家の工場は当時何台も並んでいた織り機がすべてなくなり中はもぬけの殻
85年前に建てられた工場の建物だけが残されました
(スタッフ)一応どうですか?上の小屋組とか
(木村)珍しい構造ですね
(ケンさん)僕はこういうのがおもしろいと思うアメリカで見ないですねこういうarchitectureっていうの柱がない
(木村)こういう三角形でもってるんですね基本は洋トラスっていうので日本の組み方じゃなくて洋風の組み方ではあるんですけども…
(スタッフ)生活用品が…これはね私たちがアメリカから戻ってきてまだ1ヵ月で整理がつかずに放りっぱなしにしているものなんです
(ケンさん)今ここがクローゼット
(一同笑い)私と夫と息子は今こちらの部屋で生活してますこの部屋は20年ぐらいだと思うんですけども父がまだ元気だった頃にお客さんが来られた時に泊まれる部屋がどこにもないということで大工さんにお願いしてひと部屋ここにつくってもらったんですねほとんど使われていなかったんですけれど今回戻ってきてからこの離れで生活してるんですけれども寝る時もここで3人寝てるんですけどこの工場が何とも言えない怖いらしいんですね全くありません
(一同笑い)
(スタッフ)それは心配?心配です
検証を終えた匠は孫のカイくんも心配している近所の介護施設に入ったおじいちゃんのもとへ
(木村)木村と申しますよろしくお願いします娘さんから依頼を受けてお父さんの部屋もねきれいにさせてもらおうと思ってますけどもそやな任せとこかプロはプロになおうち帰れるね楽しみにね待っててください
(貞雄さん)はい
車椅子のおじいちゃんも足腰の弱いおばあちゃんもみんなそろって1つの食卓を囲めるよう森家が用意したのは3000万円
「気負わない家の仕立て屋」木村の挑戦が今始まります!
(所)桑田さん高橋さんこんばんは今回は広いですよこれどこから手をつけていいんだか先がなんか見えないですね桑田さんは2階におばあちゃんが上がったあと下りるのどうやってんでしょうって言ってましたよね下りる時のほうが怖いです危ないですよねこんな感じなんです広いここのスペースなんか全くいらないあとおばあちゃんがトイレ行くのに長〜い廊下を行かなきゃいけない不思議なぐらい段差がありますねそうですね
(江口)今回ご依頼がありましたのはもともとパイル生地の織物工場を営んでいた森家20年以上も前に廃業をしているのですが今も古い工場がそのまま残されご覧頂いたようにバリアフリーには程遠い家3年前に背骨を圧迫骨折し車椅子の生活を余儀なくされたおじいちゃんは当然家には戻ってくることはできず以来介護施設に入ったまま1人きりでおじいちゃんの帰りを待ち続けるおばあちゃんにとってこの家の環境はつらくとても寂しくてしかたありませんでしたそんな両親のことが心配でサンフランシスコで暮らしていた娘の京子さんが家族と一緒に日本に戻り二世帯で同居することを決めたのですが今のままでは父親を家に連れて帰ることはできませんそんな森家に挑むリフォームの匠は「気負わない家の仕立屋」木村茂伸さん果たして匠はどのようにリフォームするんでしょうか皆さんで推理してみてくださいまた旦那さん偉いですよねなかなか「日本で住もうか」ってなんないですけどね奥さまもほんとに親御さんを思う気持ちが強いんだなって…おじいちゃんを施設に入れたみたいな…あれがあるんでしょそれはでもしかたないことなんですけどね今回戻せるよっていうんで家族ハツラツと生活できるわけですよでもこれ目一杯を5人で使うと広すぎるし掃除も大変だしかといってギュッと濃縮しちゃうと意味ないしっていう…やってくうちに減築だ何だって出てくるんだとは思いますけどあとここの造りがなんか非常にさっきお話の中でこの造りが好きだって言ってた…これは残すでしょうね
近所の介護施設に入って3年
リフォームが完成し車椅子でも生活できるわが家に帰れるその日に向けてリハビリに力が入る森家のおじいちゃん
いつもよりちょっとできましたね
(一同笑い)
夢に見たその日がもうすぐ
ずっと帰っていない自宅でいよいよ引っ越しが始まりました
玄関の高い敷居につまずかないよう注意を払いながらの作業
おばあちゃんにとっては54年前19でこの家に嫁いできて以来初めての引っ越し
ひと月前にアメリカから帰ってきたばかりの次女・京子さんも荷造りを手伝います
(スタッフ)京子さん引っ越しですねいよいよですね〜父がねここに帰ってくるっていうのがやっぱりね考えると…そんな日は来ないだろうなって家族全員が思ってたのでそれがかなうと思うとねそのこと思うとねもうねほんとに涙が出てきちゃうもうほんとに…
京子さん一家が帰国してから使っていた工場の隅にある客間
そこで荷物を整理していたのはサンフランシスコで生まれ育った一人息子のカイくん
(スタッフ)サンフランシスコから引っ越してきてまたすぐに引っ越しだね
日本へ帰るという京子さんの決断に悩んだのはカイくんだけではありません
(スタッフ)「一緒に日本に帰って」って言われた時どう思いました?しゃべるけど…
17年前今の自分と同じように不安を抱えつつもアメリカへ来てくれた京子さん
愛する妻のために今度は自分の番
そんな思いで日本へやって来たケンさん
来て早々地域になじもうと参加した地元の消火班の仲間がこの日総出で引っ越しの手伝いに駆けつけてくれました
そして工場の屋根裏からは…
(スタッフ)これ何ですか?
織物業で栄えたこの町の人たちにとってはなじみのあるものばかり
(スタッフ)糸を巻いて…こうこう糸が…
(スタッフ)昔使ってた道具ってこと?そうそう…
荷降ろしを手伝う匠も出てくるものに興味津々
(木村)これも何か糸で巻いていた道具ですかねたくさんありますねこれねこれも工場の機械の部品のようですねこう糸を巻いて…糸巻きでしょうねこんにちは
(美代子さん)お世話さまでございます
(木村)今ね上から下ろしたの見てたんですけどもうわぁすごい…
(木村)たぶんこれが古いので新しくこっちになったんでしょうかねそうそう
織物のことなど何も知らぬまま19で嫁いだおばあちゃん
おじいちゃんに1から教わり夫婦で工場を切り盛り
2人の娘を育てながら休む間もなく働きました
おばあちゃんにとって1人きりで過ごした3年は明かりの消えたさみしい毎日でした
でももうそんな日々ともお別れ
明るく楽しい未来へと時を紡ぐわが家の大改造が始まります
森家の解体作業が始まるその日集まった職人さんの中に何やら見覚えのある顔が…
(スタッフ)ケンさん今日はどうしたんですか?
(スタッフ)お手伝いに来たんですか?はいそうです
実はケンさんアメリカでドアの建て付けや水漏れの修理など住宅周りのこまごまとした作業を請け負う「ハンディーマン」と呼ばれる仕事をしていたのです
来日して1ヵ月あまり
日本でも地元の人たちと親睦をはかるためアメリカでの経験を生かし近所に住むお年寄りの家の補修などを買って出ていました
こうやって玄関に手すりを付けることなど朝飯前
(スタッフ)高さもちょうどいいですかいいですありがとうございますどうも頼むわようれしいわ
今回共に暮らす妻の実家のリフォームを手伝いたいとみずから志願したケンさん
(スタッフ)どうですか?自分のおうちの作業に加わるっていうのは
床に張られていたのは無垢の杉板
(スタッフ)結構床板丁寧に剥がす感じですね丁寧に1つ1つクギを抜くっていうのは信じられない時間かかるし…
40坪分の床板を1枚1枚剥がすのは大変
必死に作業を続けていると突然ケンさんが…
広い織物工場の床板を1枚1枚丁寧に剥がす作業を手伝っていたケンさんが床下から何かを見つけました
木村さんちょっと来てくれますかおもしろいもん出てきましたよえっ?おっ…あっほんまやまだ入ってますねそうかそうか井戸を一緒に埋めてしまったんですねこれ…
床下から出てきたのはフタもされずに放置された石積みの井戸
(スタッフ)結構深いですね深いですね石落としますんで…
(スタッフ)こんな井戸見たことありました?
(スタッフ)使ってたとか聞いたことありました?家族から聞いてないせーの!
再利用する床板を丁寧に剥がしたあとは土壁や台所の設備などを一気に解体
大きな鉄の爪を持つ重機を使って壊すのはもともと玄関の外にあった水回り
雨にぬれずに直接行けるようにと廊下でつないだもののおばあちゃんの部屋からトイレまで20mもありお風呂に行くのにも段差だらけでした
こうして工場と母屋がコの字型につながる森家のちょうど真ん中にあった水回りスペースが跡形もなく取り払われました
しかし閉鎖して20年織物の機械が運び出されたあとずっとガランとしたままだった工場は解体を免れトラス構造の小屋組はそのままに
工場と住居スペースの継ぎ目部分もともと工場の一角を改装して作られたかつての台所は完全に形を失いましたが…
その先の母屋はおばあちゃんの部屋以外は一切手つかずのままで残されました
(スタッフ)今こちらは残されていますけども…
(スタッフ)ここは残していくと?ここは残しますね
(スタッフ)それはわざわざ工場を住居にするっていうところは何か…もともと工場っていうことやったのでそれが柱もぬれてですねこの柱なんかここなくなってますからねこの部分に荷重はほとんど…周りの壁でなんとかもってるだけなんで危険な状態になってますねこれは…
解体が一段落したところで森家の家族が様子を見にやって来ました
うわやっぱりもう…うわうわすごいうわっすごい
(スタッフ)こんにちはこんにちはご苦労さまです
(スタッフ)おばあちゃんどうですか?すごいねぇほんとに…
(スタッフ)こうやって壊されるの見ててどうですか?おっほー!すごいな広いですね改めて見ると…
(スタッフ)ケンさんが解体中にちょっと見つけたのがあって床を剥がしてたら…怖〜い何?何?
(スタッフ)覚えてないですか?びっくりした…
(スタッフ)屋根とかの構造的には結構しっかりはしてたんですよねこの辺もポロポロ取れてる状態…ボロボロですねもう水が入ってきててね
(スタッフ)途中で切れちゃってますもんね
(京子さん)浮いてますもんね
50年前に工場の南側に増築された簡素な造りの倉庫
雨漏りなどで柱が腐り傷みの激しかったその倉庫の解体が始まりました
重いセメント瓦をすべて取り払い屋根の下地まで剥がすと…
そこに水回りを跡形もなく取り壊した重機が再び登場
どうやらここも完全に解体してしまうようです
(スタッフ)木村さんこれ工場は壊しちゃうんですか?
50年前工場が手狭になったため建て増しされた南側の倉庫
それがきれいサッパリ消えてなくなりかつての工場の南側およそ25坪分が更地になりました
でもそのおかげで…
するとそこに長い塩ビのパイプを積んだ軽トラックが到着
塩ビのパイプ以外に何やら見慣れぬ機械も一緒に届きました
匠がそれを運んだのは解体中にケンさんが見つけたあの井戸
工事中誰も落ちないようにと上にかぶせていた板を取ると…
運ばれてきた長さ5mほどの塩ビのパイプをその井戸の中に差し込みます
そしてそのパイプの端を機械に接続
何してんだ?
今も井戸が使えるのか一度水を抜いて確かめようというのです
それから5日後匠が状況を確認してみると…
一度調べてみてですね
そしていよいよ本格的なリフォーム工事がスタート
かつて工場だった建物の駆体を補強するため鉄のサポートで梁を下からしっかりと支えます
内部に柱を立てず大空間を保つトラス構造
外周の柱は丸い礎石の上に載っているだけ
それを外して鉄筋コンクリートの頑丈な基礎を作るのです
こうして工場の駆体を宙に浮かせたまま今度は建物内の地面を掘削
しかし通常の基礎を作るにはずいぶんと深め
一面をおよそ50cmも掘り下げてしまいました
一体なぜ?
森家で解体中に見つかった井戸はもう枯れていて使えないため京子さん一家の立ち会いのもとちゃんとおはらいをして埋め戻すことに
これまで水の恵みをもたらしてくれた井戸に宿る神さまに感謝しお帰り頂く古くからのしきたり
米や塩・お酒などで井戸を清めます
(スタッフ)これで井戸がちゃんとおはらいできましたのでありがとうございました安心しました
(スタッフ)おばあちゃんもこれで安心ですねすごく安心すると思います
そして工事再開
深く掘り下げた地面一面に防水シートを敷き詰め再びケンさんも加わってそこに鉄筋を組んでいきます
この作業はアメリカでハンディーマンをしていた頃に経験があり手つきも慣れたもの
配筋を終えると一気にコンクリートを流し込みます
礎石を外して宙に浮いた柱の下にもくまなく
周囲の立ち上がり部分と大きな段差をつけて築かれる基礎
広い室内空間を実現するトラス構造で組まれたかつての織物工場を住居に変えるため匠はまず礎石に柱を載せただけの貧弱な足元を頑丈な鉄筋コンクリートの基礎で覆って強化
こうして新たな基礎が完成すると大工さんが屋根の上に…
15年前に瓦をふき替えたばかりでまだ新しい工場の屋根
その東面の瓦を一部剥ぎ取り瓦を押さえていた屋根土を取ると下地の板を切断
開けられたのは50cm四方の四角い穴
その穴から下を見下ろすとちょうど真下に役目を終えおはらいを済ませたあの古い井戸が
井戸の真上に開けた屋根の穴
一体これに何の意味があるのでしょうか?
気が付きませんでしたね工場を住む所にするっていうまさかでしたね僕らはこっち側に住んでここをなんとかするんじゃないかと思ったら…全然違いましたね旦那さんはよく働きますね手慣れたもんでしたね私あの夫婦愛にもちょっとウルッときちゃって…17年もアメリカに来てくれたんだから今度は僕が日本に来る番だなんか夫婦ってこういうふうになんなきゃいけないんだって…たぶんこうなりますからあっそうなんですね自分が訓練していけばいいんですもん旦那はなんか違う話になってないっすか
(スタジオ内笑い)基礎工事が終わったあと工場の床下から出てきた井戸のちょうど真上の屋根に50cm四方の穴を開けましたが一体何のための穴なんでしょうか皆さんで推理してみてください井戸は枯れてたでしょうでも井戸まだ最後埋めてなかったですよね掘るのかな?いやでも煙突みたいにしちゃうんですかねあそこを暖炉みたいになるですよね暖炉みたいな感じ…
基礎工事を終えた森家で匠が待っていたもの
それはトラックの荷台からはみ出すほどの大きさの巨大なアルミ製のパイプ
先がとがったそのパイプの直径は40cm
長さは6m近くもあります
(スタッフ)ケンさんなんかすごいのがすごいの届きましたね何だと思います?Ihavenoidea…全然分かんない
(スタッフ)今日使うんですもんねそうなんですよこれを使いますね
アメリカで住宅の修繕などを請け負っていたケンさんも想像がつかない謎のパイプ
とがった先を下にしてクレーンでつり上げられると…
頑丈な基礎が築かれた工場の屋根を越え東側に開けたあの四角い穴の上に…
はい…はい下ろして下ろしてゆっくり…
そう屋根に開けた50cm四方の穴はこの大きなパイプを通すためのものだったのです
その穴の真下にあるのは解体で見つかった枯れた古井戸
巨大なパイプが井戸の中へとゆっくりと下ろされていきます
1m…
3m…
そして深さ5mの井戸の底に到達
(スタッフ)ケンさんこれ井戸の中に入ってますね
そんな謎を残したまま長いパイプを収めた井戸が土で埋められていきます
するとそこにまたもや大きな筒状の物が届きました
今度は直径20cmほど
軽いポリエチレン製で筒全体がメッシュ状になっています
それを立ち上がりの基礎に開いた穴に通してつなぎ合わせたり…
L字に曲がった塩ビのパイプをつないだり…
1段下がった所にそれらを寝かせたまま基礎工事用のグリ石をまいていきます
巨大なアルミパイプを飲み込んだ井戸の前の一画を除いて一面が大量の石で埋め尽くされました
石の間から顔を出すのはメッシュのパイプにつないだL字パイプの先端
平らにならした石の上に防水シートをかぶせて鉄筋を張り巡らせると…
再びその上からコンクリートを流し込んで塩ビのパイプの先端だけが飛び出すようにして固めます
こうして深い段差のあった基礎が一面フラットに
次に登場したのは大きな送風機
井戸の前だけ段差をそのまま残したのはこれを取りつけるため
太い塩ビのパイプを井戸から頭だけ出したあのアルミパイプにはめると…
そこから脇にさらにパイプをジョイント
井戸の上の連結部分は断熱材で囲い…
換気用のダクトで井戸のパイプと送風機を接続
そしてそれが基礎の中に埋められたメッシュパイプにも…
これは地中熱を利用した24時間の換気システムなんですけどもその部分に石を敷き詰めることによって蓄熱層を作っていますそうすることによってこの基礎全体が熱を蓄えるっていうのがありますねこれで温度のバリアフリーっていうか家中が温度差のないおじいちゃん・おばあちゃんにとっても優しい空間になりますね
長さが6m近くもある巨大なパイプを上からまっすぐ井戸に入れるために開けた屋根の穴は役目を終えると再び塞がれ以前と同じ形に戻されました
もともとそこは古い織物工場
断熱材など一切入っていませんでした
気密性の高い発泡ウレタンの断熱材を吹きつけ屋根も壁も一面隙間なく覆って住まいに適した空間に
ずっと工事に参加しているケンさん
今度は床張り
これまた手慣れたものです
おじいちゃんが車椅子で過ごせるよう一面段差のない床が作られました
アメリカから黙ってついてきてくれた夫が実家のリフォームを手伝い現場で汗を流していたその頃森家の実の娘である京子さんは…
いきますよゆっくりねよいしょ…いけましたか?あ〜よかった
介護に必要な知識や技術を習得できる地元主催の研修に参加していました
(スタッフ)お疲れさまでしたはーいちょっと疲れてるかもしれん
(スタッフ)資格を取られるんですか?そうなんですよ
リフォーム後に始まる介護生活
水回りの設備などもそれに対応した物を用意
もちろん必要な場所にはすべて手すりも
トイレは車椅子でも入れるよう十分なスペースを確保
便器には体を支える背もたれやひじ掛けなどが取り付けられました
京子さんが家族5人分の料理を作ることになるキッチンは機能的で作業がしやすくアメリカで使い慣れたオーブンも
するとせっかく平らに張った床の上に木枠が組まれなぜかわざわざ50cmもの段差をつけた一画が築かれていくではありませんか
85年も前にパイル織物の工場として建てられ作業優先で居住性などとは全く無縁だった隙間風が入り放題の寒々しい空間が…
地中熱を利用した換気システムを備え明るく暖かいLDKに大変身
その一画にあえて4畳ほどの広さの小上がりを設けたのには大事な訳が…
新しいダイニングテーブルは匠みずからデザインしたもの
大きな天板の真ん中には何やら見覚えのあるものが並んでいます
その上にガラスをかぶせて完成
ガラス越しに見えるそれらは…
(スタッフ)なるほどおじいちゃんがずっとね守ってきた工場の…ちょっと大きめの引き戸にしてます車椅子で出はいりできるようにと考えて広くしてましてここにおじいちゃんのベッド介護用のベッドが置かれるようになりますこちらはトイレなんですねおばあちゃんがこちらから出た時にトイレが行けれるようにこちらからもトイレが開くようになってまして…
(スタッフ)おじいちゃんとおばあちゃんの部屋で挟んでるとこれがおばあちゃんの部屋ですおばあちゃんはもともと畳でねそのまま寝たいということなんで畳を敷いてまして部屋中に手すりを付けさして…
(スタッフ)かなり低い位置ですねこの手すりをずっと通ってこちらも引き戸がありましてこの引き戸を開けると
(スタッフ)段差がなしで行けるための通路ですかずいぶん長いですよね
(木村)これぐらいの高さになるとこれぐらいの長さいりますので手すりも若干ここで下げてるんですけどもっていうのは徐々にこうこのままここへ座っていく感じここでおばあちゃんが座るんですけども
(木村)今まで家族が一緒にごはん食べられなかったのはこの高さに原因がありましてここで座ってもらってですね食事をとれるようになると…車椅子がここに入るようになってましてこれでほんとにおじいちゃんが戻ってきて介護しながら家族がみんなで生活しやすくなったかなというふうに感じてますけど…
森家の家族みんなのことを考えきめこまやかに環境を整えていく匠
そんな匠が次にやって来たのは看板製作の工場
こんにちはこれなんですけどねえっと…
そこに持って来たのは1枚の貼り絵
(スタッフ)木村さんそちらの絵は?これ引っ越しの時に出てきた絵なんですけども…
カイくんが生まれてから12歳まで過ごしたサンフランシスコの思い出を新しい家に残そうと考えた匠
お願いしますはい
ここに来たのはカイくんの貼り絵を特殊な印刷機械で拡大コピーしてもらうためでした
一体どれくらい大きくしたかというと…
もともと縦12cm横20cmだった絵が…
大きなロール状の紙に3分割しそれを3枚合わせるとなんと!縦3m横5m
およそ500倍もの大きさに!
匠はカイくんが描いた貼り絵をこんなにも大きく拡大コピーして一体どこにどんなふうに利用しようと考えているのでしょうか?
空調は気が付きませんでしたね地下の一定した温度を…あんなシステムがあるんですねあれ作るためにもう土台を掘ってあったんですさすが匠ですねやっぱり…ねぇ!あの小上がりもおばあちゃんのいいですよねああいいですねうまいこと20cmになっておじいちゃんの車椅子もうまいこと入ってシンデレラがガラスの靴にピタッて入るような感動を覚えました匠はカイくんが描いたゴールデンゲートブリッジの貼り絵を500倍もの大きさに拡大コピーしましたが一体どうしようというのでしょう皆さんで推理してみてください僕実は新婚旅行でこの橋に行ってきたんですよここで女房と一緒に写真撮ったのも今絵を見てパッと思い浮かびました桑田さんが見ても新婚旅行を思い出すっていうことはやっぱりね息子さんが…カイくんが見たら喜びますから元織物工場っすからね…織りって絨毯に使うとかねこれを絨毯していく…
トラックいっぱいに積んだ古いセメント瓦が…
これはすべて倉庫を解体した時の廃材
掘った地面の上に広げ細かく砕いていきます
最後はケンさんも手伝って一面平らに
(スタッフ)今これ瓦砕いて敷いてますけどこれ今何の作業ですか?
(木村)工事中でも雨が降ると1週間ぐらいぬかるんでたりとかいうことがあったので水ハケよくするためにまず掘りましてそこに解体の時にとった瓦なんですけどもこれを細かく砕いてまず敷き詰めてその上に水ハケのいい真砂土ずーっと全面的に敷いてちょっと1回やってみますけども以前このぐらい雨が降ってくると水がたまってきたんですけどももう今浸透してますねすぐこうしゅんでいきますからこれでもうほんとに水ハケもよくなりましたね
水ハケのよくなったその庭に匠が持ってきたのは…
あのカイくんの貼り絵を500倍に拡大コピーした紙
匠はなんとあろうことかその紙を整地した地面の上に広げ始めたではありませんか!
縦3m横5m
カイくんが描いた生まれ故郷・サンフランシスコの風景
オーライオーライ…
そこへ届いたのはトラックの荷台いっぱいに積まれたレンガ
よく見ると少しずつ色みの違うレンガが全部で300個も
それをトラックから降ろして土の上に広げたあの大きな絵の前へ運ぶと匠がおもむろにそのレンガを手に取り…
なんと貼り絵のコピーの上にまた貼り絵でもするようにレンガを並べ始めました
赤いゴールデンゲートブリッジをかたどって置かれたレンガをモルタルで固定しながらちゃんと絵の色調に合わせてレンガを使い分け形だけでなく色も元の絵に近づけます
橋以外の背景の部分には直接モルタルを敷き…
その上に色違いの砂利を散りばめて海や空を再現
匠がカイくんの絵を500倍もの大きさに拡大コピーしたのはこのため
なんということでしょう
森家の庭に懐かしいサンフランシスコの景色がよみがえったではありませんか!
京子さんがお父さん・お母さんの容体が悪いということで家に戻りたいというのでケンさんと息子さんをずっとアメリカで育ってるんですけど奥さんのために日本に来ましたねその思いっていうのはすごいなと思ったんですね特に息子さんは友達とも別れて日本へ来たわけですけども結構やっぱりさみしかったと思うし…
(スタッフ)どうですか?出来栄え的には…
かつて織物工場を営んでいた家の歴史と思い出を今につなぎ匠が仕立てた家族の誰もが気負わず暮らせる家
そのリフォームの全貌をご覧頂きましょう
自然豊かな高野山の山並みを望む紀の川のほとり
20年前に閉鎖した織物工場と母屋がコの字につながる森家
この広い家に一人きりで暮らすおばあちゃん
手すりに頼って小さな段差は上り下りできるものの玄関の高い敷居はまたげません
そのため家から1歩外へ出ようと思うとわざわざ古い工場をぐるりと回って遠回り
台車で体を支えながら部屋から40mも離れた工場の出入り口まで行かねばなりません
そんなつらい日々を送る母と介護施設に入ったままもう3年も家に帰っていない父
アメリカから家族と共に帰国し同居を決意した娘が願うのは年老いた両親と3世代5人いつもみんなが笑顔でいられる家
そんな切なる願いを受け立ち上がったのは…
「気負わない家の仕立て屋」が家族が寄り添い自然体で暮らせるよう心を砕いたそのリフォームの全貌をご覧頂きましょう
織り機が何台も並び毎日せわしなくパイル生地を織り上げていたのはもう20年も前のこと
音もなくがらんどうになった工場は…
傷みの激しかった南側の倉庫を壊し下ろした古いセメント瓦を新しくできた庭の砕石用以外に雨よけの犬矢来としても再利用
色あせていた母屋の外壁もきれいに塗り直しました
屋根の瓦も耐候性を高めるいぶし銀の塗料で塗装し風格ある日本家屋のたたずまいをよみがえらせました
おばあちゃんが高い敷居をまたげなかった玄関はおじいちゃんのお気に入りの扉はそのままにその内と外の段差を解消
もう敷居をまたがずに入れます
もともとは外にあり母屋と廊下でつないだもののおばあちゃんの部屋から遠く段差だらけだった水回りはきれいサッパリ取り壊し広い縁側を持つ中庭に
かつて工場の入り口だった所がこれからは家族が使うメインの玄関
玄関前のアプローチには車椅子でも無理なくスムーズに出はいりできるよう緩やかで幅の広いスロープを設け帰ってくるおじいちゃんを待ちます
おばあちゃんが母屋の玄関の高い敷居を避け遠回りしていた動線に唯一存在した工場内の大きな段差も…
車椅子でそのまま上がれる緩やかなスロープで解消し広くて使い勝手のいい玄関ホールに一新
家族5人分の靴が収まる大容量の靴箱も用意しました
スロープは滑りにくいカーペット敷き
壁の手すりの部分にはおじいちゃんが昔作ったパイル生地を飾りました
表面に凹凸のある手すりは握りやすくて滑りにくいのでおばあちゃんも安心
外から玄関そして室内に至るまで一切段差がないのでおじいちゃんを乗せた車椅子を押す家族にも負担になりません
少ない柱で広い空間を保つトラス構造の小屋組が特徴的なかつての織物工場
閉鎖してから長い間特に使われることもなかった薄暗い空間が…
その小屋組を生かして開放的な住居スペースに
新たにできた中庭から光が注ぐ30畳もの広さのLDKへと生まれ変わりました
おじいちゃんに懐かしい記憶をよみがえらせてくれる思い出の品もそこかしこに再利用
おじいちゃんが自分で作ったパイル生地を張ったお気に入りのソファや水屋ダンスなどきれいに手入れして新しいリビングに置きました
南側の倉庫を減築したことで明るい日ざしが差し込んだキッチン
そこから部屋全体を見渡せるので京子さんも両親の様子を見ながら安心して料理や後片づけができます
食器や調理器具もたくさんしまえて収納量も申し分なし
作業しやすい広いシステムキッチンの裏側にも一面収納棚が備え付けられましたが実はこれ…
おばあちゃんが毎日2階の部屋で手紙を書くために上り下りしていたあの押入れの中にあった急階段を再利用したもの
母屋も階段だけは緩やかなものに架け替えようと取り外したもののおばあちゃんにとっては愛着ある階段
処分せずに再利用することに
工事を手伝っていたケンさんもこれには…
母屋の暗い押入れの中から日の当たる明るいキッチンへと場所を移し横に寝かせて置かれた急階段
さておばあちゃんは姿を変えたこの階段に気が付くでしょうか?
そしてそのキッチンから見える庭にはカイくんの貼り絵を色違いのレンガで再現した懐かしいサンフランシスコのゴールデンゲートブリッジが
家族で食べる野菜を自分たちで育てたいというケンさんのために広い庭を囲むように家庭菜園も
匠は京子さん一家と一緒に日本にやって来た愛犬・パンダのことも忘れてはいません
広い庭を駆け回ったあとにのどの渇きを癒やせる水飲み場や楽しい遊び場も用意
もともとL字型に建てられていた元工場の南側にはこれから同居を始める娘世帯の寝室が…
京子さんとケンさん夫婦の個室からはいつでも両親の気配を伺えるようリビングを見通すことができつくりのいい着物ダンスをそのまま生かしました
そしてそのお隣は日本に来てからずっと自分の部屋がなかった一人息子・カイくんの個室
ようやく望みがかなってできた自分だけの部屋
窓際に置かれた勉強机はかつておじいちゃんが工場で使っていた事務机をきれいに手直ししたもの
トラス構造の梁が支える高い天井高を生かした3畳分のロフトスペースも備えいつの日かサンフランシスコの友達が遊びに来た時には泊まっていってもらうこともできます
おばあちゃんが家を出る時に通る以外は物干し場代わりにしか使っていなかったかつての工場
その一画に森家の念願だった家族が5人そろって食卓を囲むことのできるダイニングコーナーが完成
椅子に座れないおばあちゃんは小上がりの座敷でおじいちゃんも車椅子のままでみんなで仲よくごはんが食べられます
広さがおよそ4畳床の高さが50cmの小上がり
その床下もむだにすることなくすべて収納として利用
2段になった引き出しの下の段は直接座敷に上がる踏み台の役目も果たします
その脇に並ぶ2つの扉
左は母屋とつながる廊下
右はおじいちゃんの部屋への入り口
幅の広い引き戸が大きく開き足元には一切段差がないため車椅子に乗ったおじいちゃんも楽に行き来ができます
ベッド脇の障子の向こうはみんなが集うLDK
すべて開け放つことのできる障子を開けばリビングと空間が1つになり家族の様子を一望することができます
これなら1人でベッドに寝ていても寂しい思いをすることはありません
おじいちゃんの部屋の奥にはおばあちゃんの部屋と直接行き来できる扉が付けられ2人の部屋の間に両親専用の車椅子でも楽に入れるトイレが
引き戸が両側から開くのでおばあちゃんの部屋からも遠回りせずに入れます
そしておばあちゃんの部屋は布団でしか寝られないおばあちゃんのリクエストで畳の間に
おばあちゃんが楽な高さの座卓を用意し母屋の2階にあった嫁入りダンスも2つに分けて使いやすい大きさにリメーク
横長で使いにくかった中の引き出しは半分のサイズに分け一番下の段は座ったままでも中身が取り出せるよう斜めにして趣味の書道や手紙を書く道具入れにしました
おばあちゃんの部屋には扉が3つ
廊下に出る扉とおじいちゃんの部屋とつながる扉
そしてもう1つある扉の向こうには手すり付きの緩やかなスロープがリビングの小上がりまで一直線に続く専用の通路が…
かつて織物工場の一番北側の一画をリフォームして作ったこれまで台所のあった場所は…
おじいちゃんとおばあちゃんの部屋からすぐに来られる水回りへと変身
介護のしやすさを考え洗面脱衣所はもちろんお風呂の洗い場も十分なスペースを確保しおばあちゃんがつかみやすい位置に手すりも
京子さんがおじいちゃんをお風呂に入れる時の負担を少しでも軽くするため浴槽に設置できる介護用リフトを備えました
もともとあとから工場を改装して作った台所と母屋との間には大きな段差がありましたが今回床の高さをそろえてその段差を解消
母屋で不要になった格子の建具を再利用し以前おばあちゃんが寝ていた部屋は2階に置きっぱなしになっていたタンスを並べて置ける大きな納戸に
さらにもう誰も使わなくなったむだに広い玄関土間は半分に区切って床を張りそこからそのまま母屋へと行き来できるようにしました
傾斜が60度もありおばあちゃんがはうように上り下りしていたあのハシゴのような階段は…
踏み板を3段増やして傾斜も緩やかに
たくさんあったタンスがなくなって広々とした2階は畳の表替えと壁や天井をきれいにしただけで立派な客間になりました
スーツケースを開いたままクローゼット代わりにしていた工場の隅
アメリカから帰国した娘の京子さん一家3人が1ヵ月あまり寝起きしていたあの客間のあった場所は…
座敷を取り払って土間に戻し新しい玄関ホールから出はいりできる独立した空間に
山小屋のような雰囲気のこの部屋実は…
美大を卒業後日本の中学校で美術を教えていた京子さん
去年の春日本に帰ってきてからは元ハンディーマンの夫・ケンさんと一緒に地元の子どもたちに絵や工作などのアートクラフトを教えていたのです
おもしろいねこれどうする?ここつけるようにする?
そんな京子さんが親の介護と両立したいと考えていたわが家で開く子どもたちの美術教室
それをかなえるために匠が用意したのが庭からも出はいりできるこのクラフトルーム
ケンさんが剥がした工場の床板で天井を覆い壁も構造用合板のまま低コストで仕上げました
机や椅子も合板で作られそれらは用途に合わせて組み合わせ自由自在
子どもたちが使う筆や絵具などが散らばらないよう机の真ん中には小物入れも
画用紙だってしまっておけます
ほかにも椅子にカバンや上着が入れておくことができたりお金をかけずとも便利に使える工夫がそこかしこに
そして壁一面を覆う網状のもの
実はこれフォークリフトで荷物を運ぶ際などに使われる「パレット」と呼ばれる台座
匠は中古のパレットを安く譲り受けて色を塗り壁面収納として利用したのです
棚を付けたり物をつるしたりと使い方はさまざま
黒板も掛けられその場所も自由に変えられます
筆や手を洗うための水場も備え子どもたちに温かい飲み物を出す場合も教室内で事足ります
もちろん住居にある家族用とは別に教室に来る子どもたち専用のトイレもちゃんと備えました
匠が森家の誰もが自然体で暮らせるようにと仕立てた家
果たして家族は喜んでくれるのでしょうか
3年間一度も家に帰ることのできなかったおじいちゃんがついにわが家へ戻る日がやって来ました
(スタッフ)こんにちはこんにちは
(スタッフ)いよいよできましたよ楽しみですか?はい…
(スタッフ)おばあちゃんこんにちはできましたよいよいよありがとうございます楽しみですいよいよです
(スタッフ)楽しみで?
親子3世代これから同居を始める一家5人が新しくなったわが家へと向かいます
家族5人そろって戻ってきた森さん一家
おじいちゃんにとっては実に3年ぶりのわが家です
車椅子が欠かせないおじいちゃん
スムーズに家に入り思うように動き回れるでしょうか?
(スタッフ)一緒に見ましょうか?はい格好いいねうわ〜うわ〜すご〜い!うわ〜!すごーい!えーっ!?ここ手すりあるよ手すり
(スタッフ)京子さん幅大丈夫でしょ大丈夫ですバッチシです
(スタッフ)おばあちゃんどうです?手すり
(スタッフ)これちょうどおばあちゃんの高さに合わせてるあっほんとほんとふ〜ん…凸凹してるわ
(京子さん)持つとこあるから楽だねうわぁ〜
(スタッフ)ちょっと広めに取りましたよかったねぇ使ってもらえてねうわ〜…すっごーい!すごーい!うわ〜!えー!
(スタッフ)これも見覚えあるでしょううわ〜…これ覚えてる?何か…糸巻きの
(一同笑い)
(スタッフ)京子さんよかったねよかった…良かった…
(泣き声)
(泣き声)
(スタッフ)京子さんまだ見るとこいっぱいありますよ
(一同笑い)
(スタッフ)まだ最初ですよ
(スタッフ)これもね全部ここもほんとは倉庫にあったものばっかりですよ水屋ダンスとかねソファーとかね分かったこっち回らなダメこっち回らないと…
(一同笑い)やっぱり〜
(スタッフ)ケンさんも手伝ってやったんですそうですかよかったよおしゃれにできあがったねいや〜ウッソ〜うわっすごーい!なるほど…うわ〜すごいこれちょっとどうする!分からない〜分からない〜サンフランシスコの友達みんな呼ばなきゃねうん
(スタッフ)はいおじいちゃんの部屋で〜すうわ〜ステキ〜
(スタッフ)開くんで…うわっ見て見てうわっ!いいねここおじいちゃん寝ててもほらみんなあそこにいてて用事あったら「おーい」とか呼べる
(京子さん)これだったらトイレ行けるねしやすいしやすい…
(スタッフ)ちょうどいい高さでテーブルも作りましたよほんと〜すごいすごーい!これ続いてたよね1つに…あっなるほど〜全部引き出さずに少しずつこうして…わぁ〜便利だねぇ
(スタッフ)これおばあちゃんの散歩コースありがとうございます
(京子さん)上がり着いた先には何があるの下滑らないねカーペットだからねほんとやねおばあちゃんの部屋からここに回ってきた
(スタッフ)おばあちゃん高さどうですかこれテーブル
(スタッフ)これで一応皆さんが座れると…どうなるのかなってずっと思ってた
(京子さん)まさか工場がこんな風になると思わなかったよね
(一同笑い)やっぱりやれやれ?やれやれやなほんまやね
(木村)こんにちは
(ケンさん)ありがとうございましたこちらこそ…その思いがみんなに伝わってこの家ができたんかなって…
(ケンさん)よかった…よかった…戻れた…
3世代親子5人の新生活が始まった森家
京子さん念願の美術教室も無事開校
明るく楽しい京子先生のもとなら子どもたちの豊かな感性もさらに大きく育つに違いありません
ケンさんも京子さんをサポート
新しい庭は子どもたちの笑顔が満開
そしてこの日はおばあちゃんの73回目の誕生日
家族5人そろって同じ食卓でケーキを囲んでお祝い
(一同)イエーイ
(拍手)
(一同笑い)
3年ぶりにおじいちゃんも一緒の一家団欒は楽しくにぎやかなものになりました
家族が気負わず自然体で暮らせる家
匠の構想はどうやらうまくいったようです
すばらしいですねこれね色んな幸せが凝縮しましたね誰1人我慢してないのがすごいですね誰かのためっていうと誰かが我慢してたりとかあるんですけど匠がうまいこと造ったんで誰1人我慢してなく京子さんが旦那さまと息子さんを連れてきてよかったのかなって不安だったっていうのはすごくよく分かるのでこの工場跡だとねそうですよねこの工場が家族を1つにしたんですよね敷地が広い分だけ簡単なようで難しかったっていうのは印象受けますねそしてまさかカイくんの絵があの庭に!いやびっくりしましたねあんなことできるんですねあの上にレンガを置いていった…匠うまいですねおじいちゃんの部屋全部開くとずーっと見えていくっていうあれ閉めきった部屋で昼間寝てるのと外に動きがあるのが見えるんじゃえらい違いですもんね元気になりますもんそれだけで最後おばあちゃんにファーストバイトみたいにこう…おばあちゃんにケーキ食べさすとはすごいねもったいないからって自分で食べてたからねブラジルワールドカップ…。
(歓声)2016/01/16(土) 14:20〜16:25
ABCテレビ1
大改造!!劇的ビフォーアフター 2時間スペシャル[再][字]
涙の訴え!!介護施設の父を引き取りたい。アメリカ在住の娘が17年ぶり緊急帰国。アメリカ生まれの夫、息子も決意の日本移住。しかし元工場の隅での生活に…。感動の結末!
詳細情報
◇番組内容
劇的なリフォームで家族の問題を解決します!狭い・暗いなど不便な家を匠がリフォームで大改造!!日本中の家族を幸せにする笑いあり、感動ありの家族応援バラエティ
◇出演者
所ジョージ、桑田真澄、高橋真麻、江口ともみ
◇監督・演出
高橋章良
◇音楽
松谷卓
◇制作
ABC
ジャンル :
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい
バラエティ – その他
福祉 – 文字(字幕)
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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日本語
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