(テーマ音楽)バレーボール男子代表を昭和47年のミュンヘンオリンピックの金メダルへと導いた松平康隆さん。
その道のりは東京オリンピック銅メダルのチームを監督として引き継いだ時から始まりました。
松平さん率いる男子バレーはその言葉どおりに8年後のミュンヘンで金を獲得します。
(実況)待ちに待った優勝であります。
金メダルであります。
世界を相手に勝つための緻密な戦略とはどのようなものだったのか。
その秘密を松平さんの言葉からひもときます。
松平康隆さんは昭和5年東京で生まれました。
母親のツルさんは目が不自由でしたが気が強い女性。
その母に「男は語尾をはっきり言え」と厳しく育てられ人間性が形づくられます。
中学校では自らバレーボール部を作り東京都の大会で優勝。
バレーに熱中します。
大学卒業後は日本鋼管に入り監督まで務めました。
昭和36年大きな転機が訪れます。
当時の強豪国ソ連へのバレーボール留学を命じられたのです。
ソ連など東欧諸国のナショナルチームから戦術を学びながら松平さんは交流を広げていきました。
この時の経験と国際的な人脈が後に大きく役立ちます。
帰国後男子代表チームのコーチになり東京オリンピックでの銅メダルに貢献しました。
しかし男子の偉業は女子の金メダルの陰に隠れます。
松平さんは自ら次期監督に名乗りを上げました。
監督になると外国のまねではない日本バレーを8年がかりで作るという大きな戦略を立てます。
日本オリジナルの時間差攻撃やフライングレシーブを編み出します。
世界一の技を磨こうと連日の猛練習が始まりました。
更に選手の起用でも8年後を見据えます。
松平さんに率いられ臨んだ昭和43年のメキシコオリンピック。
男子代表チームは銀メダルを獲得しました。
ミュンヘン目指して更に手を打ちます。
喉から手が出るほど欲しいライバル東ドイツの情報。
しかし当時ナショナルチームを招く事はできませんでした。
松平さんは海外でも根回しし都市代表という形で日本へ招待します。
こうして東ドイツ選手の貴重なデータを手に入れました。
更に西ドイツのバレーボールチームに日本人の監督を送り込みます。
西ドイツの人々の間に日本バレーのファンを増やすのがねらいでした。
ミュンヘン五輪の建設現場にも現れます。
工事中のバレーボール会場に入るとコートの板の材質などを丹念に調査します。
その情報を基にふさわしいシューズを作らせるためです。
周到な準備を経て男子チームはミュンヘンオリンピックに出場。
順調に勝ち進みますが準決勝のブルガリアを相手に苦しみます。
(実況)日本にとっては思わぬ苦戦であります。
2セットを失いもう後のない第3セット。
動揺する選手たちを見て松平さんはタイムを取りました。
選手たちに2年前ブルガリアに逆転負けした試合を思い出させ言いました。
戦略どおり温存してきたベテラン選手を投入。
日本は大逆転。
決勝進出を決めました。
決勝の相手は東ドイツ。
ミュンヘンの会場は日本への声援に包まれます。
(実況)大変な騒ぎであります。
日の丸の旗がかなり目立っております。
いよいよ優勝へのあと一点となりました。
選手たちはホームのような中で力を発揮します。
(実況)これはアウトアウト。
8年がかりの戦略が実を結んだ瞬間です。
(実況)待ちに待った優勝であります。
金メダルであります。
見事に日本が勝ち得た優勝の瞬間であります。
松平康隆さん。
緻密な計算と先を読んだ戦略そして常識にとらわれないリーダーシップ。
大きな目標を達成するには何が必要か私たちに貴重なヒントを与えてくれます。
今褒められたいと思うと目先の事になる訳ですよね。
2016/01/16(土) 05:40〜05:50
NHK総合1・神戸
NHK映像ファイル あの人に会いたい「松平康隆(元バレーボール日本代表監督)」[字]
男子バレーボール日本代表監督の松平康隆。8年かけて金メダルを取るという独自の戦略を立て、強いリーダーシップで目標を実現した。いまもヒントを与えてくれる声を聞く。
詳細情報
番組内容
男子バレーボール日本代表監督の松平康隆。東京五輪で男子チームのコーチをつとめたのち監督に就任。8年かけて金メダルを取るという独自の戦略を立て、ユニークな戦術、緻密な情報分析、強いリーダーシップで、1972年のミュンヘン五輪で金メダルに輝いた。その戦略眼は現在の日本社会にも大きなヒントを与えてくれる。スポーツ界を代表するリーダーの声を聞く。
出演者
【出演】元バレーボール日本代表監督…松平康隆,【語り】鈴木奈穂子
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
ドキュメンタリー/教養 – インタビュー・討論
スポーツ – その他の球技
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