(新番組)<木曜劇場>ナオミとカナコ #01【いっそ二人で殺そうか、あんたの旦那…】 2016.01.14


(直美)本当に後悔しない?
(加奈子)これでいいの。
これしかない。
(加奈子)これからも私たちは親友だよね?
(直美)そして共犯者。

(加奈子・直美)5・4・3・2・1。
(浅井)ここ数年われわれ百貨店にとって中国からのお客さまは大変重要な存在になってる。
その中でも陳会長は華僑の有力者であり幅広い人脈をお持ちだ。
今回の個人商談会は大きなビジネスチャンスにつながる。
心してお迎えするように。
(一同)はい。
(青木)以下が商品のラインアップになります。
(内藤)毛皮。
時計。
宝飾品。
ワインなど陳会長のお眼鏡にかなう最高の商品を揃えました。
(直美)それだけで十分でしょうか?
(直美)陳会長ご夫妻は芸術方面にも大変造詣が深く最近では日本の現代美術品にも興味をお持ちだと伺っています。
(直美)葵百貨店ならではの美術品をラインアップに加えることでより陳会長の信頼を得ることにつながると思います。
(浅井)具体的な案はあんのか?はい。
国村双水先生の花鳥文花瓶などいかがでしょうか?奥さまにはオノ・クリスタルのインペリアルシリーズがよろしいかと。
これまでの購入履歴から見ても陳会長ご夫妻にはご満足いただける商品かと思います。
これらの美術品をフロアに入ってすぐ目に留まるところに配置してはいかがでしょうか?商談会が始まってすぐ陳会長の心をつかめるはずです。
(浅井)ああ。
小田君。
さっきの提案素晴らしかったよ。
ありがとうございます。
で部長。
前々からお話ししている人事異動の件なんですけれども…。
(浅井)ああ。
これからも頼むよ。
葵百貨店外商小田でございます。
かしこまりました。
すぐにお伺いします。
痛っ。
痛っ。
あっ。
ちょっちょっ…。
もう!嘘でしょ?
(清三)ダイスケ!よかったなぁ。
(美子)ああ。
よしよしよしよし。
(清三)大好きな小田さんに散歩してもらって。
ハハハ。
小田さん。
折り入って頼みたいことがあるんだが。
はい。
何なりとお申し付けください。
(清三)実は3カ月間妻と地中海クルーズに行こうと思ってね。
すてきですね。
3カ月ですと大荷物になりますから大きめのかばんなど新調されてはいかがでしょうか?
(清三)旅行中ダイスケを預かってもらえないかな?えっ?
(美子)前回のクルーズのときペットホテルに預けたらストレスで心を病んでしまったのよ。
心を病む…。
(清三)こんなこと頼めるのは…。
(清三)小田さんしかいない。
(内藤)そりゃ小田しかいないだろう。
うちのマンション狭いですしそもそもペット禁止なんです。
あっ。
お疲れさまです。
(内藤)あのな。
外商ってのはお客さまとの信頼関係が全てだ。
こういう小さな積み重ねが売り上げ…。
売り上げにつながる。
分かってます。
ただ私はいつになったら葵美術館に異動させてもらえるんでしょうか?
(内藤)お客さまに信頼されてる外商部員を他の部署に異動させると思うか?一度つかんだ顧客を手放すわけにはいかないんだよ。
(内藤)お疲れ。
(従業員)お疲れっした。
えっ。
ちょっと…。
ちょっと。
ダイスケ。
ちょっと。
ダイスケ。
やめ…。
(加奈子)直美?ごめん。
加奈子?
(加奈子・直美)久しぶり。
半年ぶりだね。
(加奈子)そんなに会ってなかったっけ?そうだよ。
(加奈子)でもこれからは近所だからいつでも会えるよ。
ホントだね。
入って入って。
お邪魔します。
はい。
ねえ。
私んちから2駅ってめちゃめちゃ近所だよ。
直美の近所だから引っ越したの。
ありがと。
喜ばせると入り浸るよ?フフフ。
まあでも旦那さんいるしね。
そうそう幸せな家庭にはお邪魔できないよね。
連絡しようかなって思うけどいつも悪いなって思うもん。
嘘?こっちは直美の仕事の邪魔しないように遠慮してたのに。
じゃあ次から遠慮しないよ。
この新居すごくない?
(達郎)小田さん。
ご無沙汰してます。
あっ。
今日はお招きいただきありがとうございます。
すてきな新居ですね。
(達郎)ありがとうございます。
多少無理したんですが…。
(達郎)まあ加奈子もずっとうちにいるんだしなるべくいい環境をと思って。
ねっ?うん。
今日の料理全部加奈子が作ったんですよ。
へえー。
料理教室に通って腕をめきめき上げてもうねプロ並み。
外で食べるより加奈子の手料理の方がはるかにうまいんです。
ちょっと。
達郎さん。
ハードル上げないでよ。
何で?・
(チャイム)ああ。
出るから。
小田さんとゆっくりしてて。
ああ。
ありがとう。
加奈子。
嘘ついた。
えっ?普通でいい。
普通の家庭を築いてそれを守っていくのが夢だって言ってたよね?こんないいマンション住んでエリート銀行マンの旦那がいて。
しかもあんなに優しくて。
どこが普通よ?よかったね。
加奈子。
ありがとう。
でも直美も美術館への異動もうすぐでしょ?あっ…。
やっと夢がかなうんだね。
そのときは絶対お祝いさせてよ。
うん。
(達郎)いらっしゃい。
(陽子)お待たせ。
はい。
お土産。
(達郎)あっ。
(陽子)シュークリーム。
(陽子)初めまして。
達郎の姉の陽子です。
(陽子)あれ?達郎の結婚式で友人代表のスピーチをしてくださった方ですよね?はい。
(陽子)ああ。
やっぱり。
どこかで見たことあると思った。
お姉さん。
どうぞ。
(陽子)ありがとう。
(達郎)それにしても早かったね。
(陽子)うん?
(達郎)パーティーがあるって言ってなかった?
(陽子)ああ。
婚活パーティーね。
えっ?結婚する気になったんですか?
(陽子)まさか。
ありがとう。
(達郎)うん?でも婚活パーティーに行ったんじゃ…。
(陽子)婚活パーティーは相手の身元がはっきりしてるからビジネスに利用できるのよ。
(陽子)相手の収入環境趣味趣向を把握できればそれに見合う物件を効率よく薦めることができるでしょ?
(達郎)なるほどね。
だから達郎はもう使えない。
残念ね。
乾杯。
ねえ。
小田さんって葵百貨店の外商部で働いてらっしゃるんでしょ?はい。
直美はホントにすごいんです。
たくさんの一流のお客さまから信頼されてるんです。
やめてよ。
そうだ。
達郎さんが何か協力できることがあるかもしれない。
(達郎)そうだね。
うん。
(達郎)僕は投信と資産運用のプロだから小田さんのお客さまの人生設計にお役に立てることがあると思う。
なるほどね。
今日は新居祝いじゃなくて営業だったってわけね?
(達郎)姉貴とは違うよ。
(陽子)うん?デザートの用意してくるね。
(達郎)うん。
(陽子)達郎。
取ろうか?
(達郎)ああ。
じゃあ何か適当に。
(陽子)うん。
OK。
手伝うよ。
何かすごいね。
ちょっと圧倒されちゃった。
直美。
付き合ってる人いるんでしょ?えっ?ダイスケさん?この前電話したときにそう呼んでた人そばにいたでしょ。
隠さないでよ。
直美ならすてきな人がいて当然だもんね。
まあね。
結婚するなら事前に紹介してよ?結婚なんてないない。
大丈夫?この前ドアにぶつけちゃって。
でもホントに結婚ってなったら決める前に絶対に会わせてよ?分かった。
どうかした?何かうれしいな。
また昔みたいに直美と会えると思うと。
(達郎)ハハハ。
えっ?嘘だよ。
(陽子)ホントホント。
(達郎)ああ。
そう。
(笑い声)
(内藤)おい。
中村。
看板上げよう。

(内藤)いいか?陳会長ご夫妻をはじめ華人会の幹部がご夫婦で5組いらっしゃる。
一夫婦を一人の部員でしっかりと対応するように。
(青木)大変です!陳会長がお知り合いの華僑の方々をわれわれに紹介したいと。
(内藤)ありがたいことじゃないか。

(ドアの開く音)
(手塚)うわ。
すごい。
これかなりの売り上げ期待できますよ。
バカ。
これだけのお客さん私たちだけでどうやって対応すんのよ?
(内藤)ようこそお越しくださいました。
(陳)いや。
葵百貨店の内覧会があると言ったら皆見たいと言ってな。
(内藤)では皆さま。
こちらの芳名録にお名前とご住所をお書きください…。
個別での対応は無理です。
予定変更してテーブルごとに接客するのはどうでしょう?
(青木)よし。
そうしよう。
(手塚)はい。
(陳)おお。
これは国村双水の花鳥文花瓶ですね。
(内藤)ほう。
さすが陳会長。
お目が高い。
(手塚)少々お待ちください。
あのう。
順番に対応いたしますので少々お待ちください。
(男性)シェイシェイ。
サイツェン。
(騒ぐ声)出て。
出て出て。
(騒ぐ声)すいません。
(従業員)はい。
ジュースとお菓子を用意していただけますか?
(従業員)かしこまりました。
私がさせていただきます。
(朱美)これすてき。
幾ら?ウブロの日本限定品です。
ベルトのレオパード柄が大胆で…。
(朱美)だから幾ら?税込みで204万1,200円になります。
(朱美)嘘!高い高い。
ここ優待割引ないの?外商のカード会員さまですとございますが。
だったら私今会員になるね。
ありがとうございます。
ただ会員さまになっていただくためには一定以上のお買い上げ実績と様々な手続きがございまして…。
(朱美)サービス悪いね。
やめた。
買わない。
陳さん。
ここ高いよ!
(中国語)申し訳ございません。
お客さま。
お客さま。
よろしいでしょうか?
(騒ぐ声)ありがとうございます。
ああー。
触らない触らない。
触らないで。
ほら。
ジュースジュースジュース。
(チャイム)はい。
(配達員)お届け物です。
こちらにサインお願いします。
はい。

(一同)ありがとうございました。
(従業員)ありがとうございました。
(手塚)小田さん。
ウブロの腕時計のケースが1つ余るんすけど。
えっ?
(浅井)被害額200万だって!?申し訳ございません。
(内藤)小田の話ですとその腕時計を執拗に欲しがっていた女性がいたようです。
芳名録によると名前は李朱美。
池袋にある中国食材販売業者です。
すぐに警察に被害届を出してきます。
(浅井)いや。
被害届は出さない。
どうしてですか?盗まれたとしか考えられない状況なんです。
(浅井)万が一陳会長の耳に入ったらどうなる?自分たちのことを疑ってるのかと気を悪くされるだろ。
でも200万の時計がなくなってるんですよ?
(浅井)陳会長の人脈を失うかもしれないリスクを冒すわけにはいかない。
そもそも誰のせいでこんなことが起きたと思ってるんだ!警察に被害届出すのが筋でしょ?なのになかったことにしようなんてそういうのが許せない。
変わんないな直美は。
うん?ねえ。
覚えてるでしょ?サークルの新歓合宿でさ丹沢にキャンプしたときのこと。
はい。
これ食べて。
ああ。
うん。
ありがとう。
あのとき後輩の男女2人が行方不明になったじゃない?それでみんなで必死に捜したら隣のキャンプ場のバンガローの中でいちゃいちゃしててさ。
私あんとき「あんたたち不潔!」ってキレたよね。
っていうかさ「不潔」って昭和じゃないんだからね。
言った私がへこんだよ。
直美はさ潔癖なところがあるのよ。
ふしだらな感じ?そういうのが許せないんでしょ?「ふしだら」ってそれもじゅうぶん昭和だから。
あっ。
そうだね。
「ふしだら」って。
ああ…。
何か加奈子に愚痴ったらすっきりした。
ううん。
やるやる。
あっ。
ありがとう。
ねえ。
そういう話ってさ彼氏は聞いてくれないの?えっ?ほら。
ダイスケさん。
聞いてはくれるけど答えてはくれないんだよねぇ。
えっ?どうして?はい。
犬だから。
えっ?ごめん。
嘘ついてた。
実はダイスケってお客さまから預かった犬。
ホントは彼氏なんていないの。
それに美術館の仕事だって望みは薄い。
不況で美術館も催事部も業務縮小したから。
ホントはやりたくもない仕事で毎日頭下げてお客さまに振り回されてるのが現実。
そうだったんだ。
見え張っちゃった。
すてきな結婚をするって夢をかなえた加奈子がうらやましくて。
夢なんかかなってないよ。
おいしそう。
(メールの着信音)「達郎さんに外商のお客さんを紹介するって話できればお願い」「今度の異動で本店の法人営業部への栄転が決まるかどうかの瀬戸際なの」加奈子の旦那大変なんだって。
仕事。
食べたいの?
(メールの着信音)「了解。
加奈子の愛する旦那のためなら一肌でも二肌でも脱ぐよ」・
(ドアの開く音)
(達郎)ただいま。
おかえりなさい。
(達郎)支店長との付き合いで3軒はしごだよ。
お疲れさまでした。
(達郎)ありがとう。
お風呂沸いてるから。
嫌なの?
(従業員)この時計箱はないんですか?
(朱美)ない。
(従業員)ちなみに保証書はありますか?
(朱美)ないです。
(刑事)銀座の質屋に持ち込まれてね。
箱や保証書がなかったことで売買には至らなかった。
この女性見覚えがあります?それは…。
(浅井)被害届は出さない。
じゃあ200万の時計を取り返さないんですか?
(浅井)取り返すに決まってるだろ。
えっ?
(浅井)《李社長の元に出向いて速やかにご返却くださるよう君がお願いするんだよ》・
(中国語)
(アナウンス)目的地に到着しました。

(中国語の会話)
(中国語)びっくりしました。
私タダと思いましたね。
日本の百貨店中国人が買わないと経営成り立っていかない。
だから中国人集めてサービスしたと思いました。
そちらの説明不足ですね。
しかし李さまは時計の値段をお尋ねになりまし…。
(朱美)サービスしてくれる時計が幾らか知りたかっただけのことですね。
さようですか。
(朱美)さようのことです。
では李さまにはどちらか一つの決断をしていただきたく存じます。
1つ目は商品を直ちに返却する。
2つ目は商品をお買い上げいただく。
(朱美)返す返す。
だって200万もするでしょう?今どこにありますか?
(朱美)家にあるのことです。
今すぐ取りに帰っていただけますか?
(朱美)あっ。
間違った。
横浜の友人に預けた。
今家にあるとおっしゃいましたが。
思い違い。
忘れてた。
友人から返してもらうのでとにかくあした昼すぎに来てください。
今私忙しい。
聞こえた?今私忙しい。
(中国語)ハァ…。

(エレベーターの到着音)達郎さんって実は双子の兄弟とかいない?・
(中国語)加奈子?聞こえてる?加奈子?お姉さんだけだよ。
ああそっか。
でも実際見たら腰抜かすよ。
あっ。
あしたご飯の前にさ一緒に見に来ない?あっ。
ごめん。
あした無理。
風邪ひいちゃって。
大丈夫?今夜達郎さんは?帰りは?遅いの?加奈子?加奈子?大丈夫。
また連絡するね。
(通話の切れる音)あっ…。
(不通音)休んでるとこごめん。
ご飯作るの大変だろうと思って買ってきた。
ああ…。
メールすればよかったんだけど帰り道だから直接来ちゃった。
あれ?加奈子?どうぞ。
風邪大丈夫?うん。
だいぶ楽になった。
あっ。
ごめんね。
急に来て。
これ。
ごめん。
ありがとね。
じゃあまたね。
あっ。
ちょっ…。
加奈子。
ちょっとそれどうしたの?階段から落ちた。
ねえ。
よく見せて。
大ケガじゃない?ううん。
大したことない。
嘘嘘。
ちゃんと見せて。
加奈子。
何で風邪だなんて…。
直美。
すぐ大げさに心配するから。
ホントに大したことない…。
そんなことないでしょ。

(男性)こんばんは。

(女性)こんばんは。
入って。
ちゃんと病院には行ったの?大丈夫だって。
ねえ。
それってホントに階段から落ちてできたあざ?そうだよ。
こないだも腕痛がってたよね。
何これ?まさか達郎さん?そのケガ達郎さんに?加奈子。
単なる夫婦ゲンカだよ。
何言ってんの?いつから?ちゃんと話して。
石川のご両親には相談した?ねえ。
加奈子。
言ったでしょ?達郎さん今すごいプレッシャーの中働いてるの。
誰だっていら立つこと…。
仕事が大変なことと暴力を振るうことは関係ないよ。
すぐ別れなきゃ駄目。
何で直美が決める…。
女を殴る男と暮らして幸せになれるわけがない。
結婚してない直美に何が分かるの?はい。
うん。
分かった。
もう帰って。
こんな状態じゃ帰れない。
帰って。
ちゃんと話そう?私なら大丈夫だから。
ねえ。
加奈子。
お願い。
帰って。

(聡子)《やめて!》
(聡子)《誰か!》
(呼び出し音)
(弘美)もしもし。
お姉ちゃん?今話して大丈夫?
(弘美)あっ。
今ね実家なんよ。
お母さん元気かなって思って。
(弘美)うん。
ご近所さんたちとようバスツアー行ってるわ。
お父さんいなくなってお母さんよう笑うようになった。
ねえ。
(弘美)うん?弘美は結婚怖くなかったん?
(弘美)うーん。
私はお姉ちゃんがいたっけ。
(弘美)ねえ?お姉ちゃん。
一生結婚しないつもり?
(弘美)お姉ちゃん?近いうちそっち帰るわ。
私もお母さんの笑った顔見たいっけな。

(メールの着信音)
(達郎)加奈子。
うん?何か鳴ってるよ。
小田さん。
あっ。
うん。
ありがとう。
「このままじゃ絶対駄目。
ちゃんと話したい」「仕事が終わったらそっち行くから」加奈子。
えっ?これおいしい。
そう。
よかった。
返却できない?
(朱美)預けた人がつかまらない。
(朱美)もう少し時間かかるとのことですね。
困ります。
(朱美)私も困ってる。
あなたが困ってどうするんですか?とにかく預けた人の名前と住所を教えてください。
言えない。
個人情報です。
あさってまでには返しますね。
では期限内に返却できなければ弁償すると誓約書を…。

(中国語)
(朱美)どうしましたか?あっ。
あの男の人って?うちで働いている林竜輝。
林さん。
病気のお母さんがいて上海の病院で手術受けさせるために日本に来たとのことですね。
(朱美)家族思いで勤務態度も真面目で優しい性格の上にハンサム。
紹介します。
あなたにぴったり。
いやいやいや。
そういうんじゃなくて。
知り合いにそっくりな人がいて。
中身は全然違いますけど。
これからどうするつもり?「どうする?」って?離婚するのかどうかよ。
達郎さん。
ホントに今が銀行員として正念場みたいなの。
すごいプレッシャー感じてるからストレスから手が出たのよ。
それが問題なんだよ。
何でストレスのはけ口として妻を殴らなきゃいけないの?はい。
加奈子。
勇気がいることだと思うけどこのままじゃずるずる続いて抜け出せなくなる。
暴力は絶対やまないよ。
どうしてそんなことが言えるの?直美には分かんないよ。
あっ。
ミルク用意するね。
分かるよ私。
えっ?分かるんだよ。
女に暴力振るう男のこと。
今までずっと話してなかったんだけど私の父親DVの人だったんだよね。
市役所に勤めてて外づらだけはいいんだけど私が子供のころからよく母を殴ってた。
それが始まると私は妹を連れて2階の押し入れに入って妹の耳をずっとふさいどくの。
お父さんって半年前…。
死んでくれた。
それが正直な思い。
くも膜下出血で倒れる前日までお母さんのこと殴ってたって。
私の近所に引っ越してきたのも達郎さんが怖かったからじゃない?今回が初めてじゃないんでしょ?洋梨が送られてきたの。
1年前達郎さんの実家から。
それを冷蔵庫に入れ忘れて腐らせちゃった。
《ただいま。
外寒いよ》《何だよこれは?》《えっ?》《あっ。
ごめんね》《何だよこれ!》《はっ?何でこんないいかげんなことすんだよ?》《ごめん。
冷蔵庫に入れ忘れ…》《食えよ》《えっ?》《全部食えよ!》《やめて!》《ほら!食えよ!》《食えよ!おい!ほら!》
(達郎)《昨日はどうかしてた。
もう二度としない》1年前のそれが最初。
それから…。
朝食にトーストとベーコンエッグを作ったら和食がいいって顔を殴られちゃったの。
アイロンのかけ方が悪いと髪をつかまれて部屋中引きずり回されて。
お風呂のお湯が熱いとバスタブに押し付けられる。
私の口紅の色が濃過ぎたり丈の短いスカートをはいてると何か蹴られちゃうんだ。
そんな生活1年も…。
すぐ警察行こう。
病院で診断書もらってそれで被害届を出す。
いいね?行かない。
何言ってんの?暴力振るって謝ってそしてまた暴力を振るう。
その繰り返しが延々と続くんだよ。
でもね今回だけはもう絶対に手を上げないって固く誓ってくれたの。
何度も固く誓ってたよ。
うちの父親も。
解決するには加奈子が断ち切るしかない。
私ね直美が幸せじゃなくてほっとしたの。
えっ?安心したんだよ。
人生うまくいってないのは私だけじゃないって。
でも私のこと本気で心配してくれた。
もし結婚するなら事前に絶対紹介してって。
自分と同じ思いをさせたくないって思ってくれたからでしょ。
ねえ?加奈子。
絶対このままじゃ駄目だって。
ホントに大丈夫だから。
お願いだからもうそっとしといて。
じゃあ一つだけ約束して。
もし次に何かあったら絶対私に連絡するって。
すぐ駆け付けるから。
ありがとう。
(直美)《始まったね?》
(弘美)《うん》
(征夫)《あっつ!?やけどさせる気か!》《弘美。
行くよ。
弘美》
(聡子)《すいません!》
(征夫)《なめんじゃねえよ!》
(聡子)《すいません!ああ!?誰か!》
(征夫)《痛えな!》《弘美。
行くよ》・
(聡子)《やめて!》《弘美。
大丈夫だから》・
(征夫)《うるせえ!》・
(聡子)《助けて!》・
(征夫)《おら!》・
(聡子)《やめて!助けて!》
(吠える声)
(陽子)小田さんに外商のお客さん紹介してもらうって話どうなったの?
(達郎)ちょうどさっき電話かかってきたところ。
いい顧客紹介してもらえそうだよ。
(陽子)あっそう。
今考えてる企画があって私も小田さんと仕事がしたいのよ。
(達郎)えっ?えっ?何?まさか姉貴も紹介してもらうつもり?
(陽子)向こうにとってもメリットがあることなの。
色々リサーチしたけど小田さんってかなり優秀な人よ。
(陽子)あの年で個人顧客の売り上げが年間1億以上ある。
外商のエースね。
私や達郎と同じタイプね。
むしろ達郎には小田さんの方が合ってるな。
(達郎)うん?
(陽子)だいたい加奈子さんって毎日何やってんの?仕事もしないでずっと家にいるなんて私には耐えられない。
(達郎)加奈子だって子供ができたら忙しくなるよ。
(陽子)子供欲しいと思ってないんじゃない?
(達郎)えっ?お母さんが加奈子さんに子供のこと聞いたら今は欲しくないみたいなこと言ってたって。
照れただけでしょ。
ほら。
加奈子は人見知りするからうちの家族にまだ慣れてないんだよ。

(ドアの開閉音)おかえりなさい。
(達郎)ただいま。
(達郎)今日さ小田さんから連絡あって外商のお客さん紹介してもらえそうなんだよ。
へえ。
今が正念場だからかなり助かるよ。
よかった。
そういえばさ加奈子。
子供欲しくないの?えっ?俺の子供欲しくないの?
(メールの着信音)「達郎さんにお客さん紹介してくれるって聞いた」「ありがとう。
直美」「あくまでも暴力を受けないための一時的な措置だから」
(内藤)今日だったな?腕時計を返却してもらう最終期限だろ?本当に警察に黙ったままでいいんですか?このままなかったことにしてホントにいいんですか?
(内藤)いいんだよ。
くれぐれも下手な正義感を出して事を荒立てるなよ。
あっ。
おはよう。
(朱美)どう?奇麗なままでしょ?問題ないのことね。
これでおしまい。
おしまいではありません。
まだ謝罪の言葉を頂いていません。
だから前にも言いましたがその時計タダと思いました。
では李社長は陳会長からのご紹介なので陳会長に一連の経緯をご報告して判断を仰ぎたいと思います。
よろしいですね?小田さん。
もう許してよ。
どうしたらいいの?では謝罪の言葉が頂けないというのであれば他の商品をお買い上げになりませんか?
(朱美)それはどういうことですか?私も手ぶらでは帰れないということです。
例えばエクシードのESモデルであれば25万円でお買い求めいただけます。
それであればお値段もおよそ10分の1になります。
(朱美)いいけどもう少し安いのにしてよ。
それであればECモデルはいかがでしょうか?18万円になります。
どうせならこっちがいいかな?さすが李社長。
お目が高い。
こちらはエレガントなデザインが大変好評で人気の商品です。
お買い上げありがとうございます。
(朱美)あなた日本人じゃないみたい。
百貨店辞めてうちに来ませんか?私事業もっともっと大きくしていきたい。
小田さんのような有能な日本人雇いたいのことですね。
条件しだいで考えます。
小田さん。
面白い。
ねえ?おなかすいちゃった。
何か食べない?食べましょう。
私もおなかぺこぺこです。
(朱美)やり手やり手。
ハハハ。
おいしい。
(朱美)ここ古里上海と同じ味です。
李社長はどうして日本にいらしたんですか?
(朱美)私離婚して日本に来ました。
日本で成功してここで長く暮らしたいと思っています。
小田さんとも長い付き合いしたいです。
さっきまでいがみ合ってたのに?
(朱美)もう終わったことですね。
(朱美)小田さんのこと知りたいです。
あっ。
はい。
(朱美)あなたの家族はお元気ですか?新潟に母が。
妹は地元で結婚して子供もいます。
父は昨年病気で他界しました。
(朱美)お母さん。
悲しんでんね。
むしろ幸せなんだと思います。
あっ。
父は母に暴力を振るってましたから。
あなたのお母さん。
どうして離婚しなかったの?日本の女の人みんな優し過ぎるのことですね。
我慢して結婚生活続けるなんて絶対あり得ないよ。
もしも李社長の旦那さんが暴力を振るう人だったらどうしましたか?
(朱美)仕返しします。
まず無事では済ませないよ。
でも男の人に力では…。
(朱美)自分の力で対抗できなかったら親きょうだいが代わりに仕返しします。
家族が助けられなかったら?
(朱美)友達が助けます。
それが友情です。
友達。
困ったときに助けなくてどうして友達ですか?
(中国語)
(朱美)どうしましたか?あっ。
実は今大学時代からの親友が旦那さんから暴力を受けていて。
殺しなさい。
そんな男に生きている価値はないのことですね。
女に暴力振るう男なんて殺してしまいなさい。
いや。
それは…。
捕まっちゃうじゃないですか。
じゃあ捕まらない方法を考えなさい。
えっ?自分の人生守るための嘘や策略全て正当防衛。
李社長みたいにそれくらい私も強くなりたいです。
(朱美)ハハハ。
あなたじゅうぶん強い。
私が会った日本の女の人で一番強い。
ただその強さ使う勇気持っていないだけのことね。

(達郎)わざわざ来てくださってありがとうございます。
いえ。
(達郎)どういうお客さまのお役に立てるか詳細にお伝えしておいた方がお互い効率的だと思って。
手どうされたんですか?あっ。
恥ずかしい話なんですがゆうべ酔って転んだときにぶつけてしまったみたいで。
(達郎)お客さまの金融資産に合わせて様々な投資プランが揃っています。
最近の株と為替の相場からして海外のリートファンドがお薦めです…。
もしもし?また殴られたんだね?何言ってんの?加奈子。
何かあったら絶対に連絡するって約束したよね?病院には行ったの?ねえ?達郎さんに行くなって言われたから。
ふざけんじゃないよ。
今すぐ病院行って診断書もらって警察行って。
それで家もすぐ出て。
もういいかげんにして。
できないんだよ。
できるならとっくにやってる。
加奈子?苦しいのに直美はどんどんプレッシャーかけて。
ああしろこうしろって。
頭がおかしくなりそうだよ。
ほっといて。
もう私に関わらないで。
加奈子。
ちょっ…。
(通話の切れる音)
(不通音)《困ったときに助けなくてどうして友達ですか?》《ホントに大丈夫だから》《お願い。
帰って!》
(チャイム)
(チャイム)・
(自動ドアの開く音)加奈子。
私。
中入れて。
・加奈子。
中入れてくれないなら旦那が帰ってくるまでここで待つ。
それで旦那に問い詰める。
私何があっても帰らないよ絶対。
友達だから。

(鍵の開く音)これで分かったよね?まるでうちの父親と同じだよ。
外づらばっかりよくてゆがんだプライド持ってストレスのはけ口として弱い者に暴力を振るう。
治らないよ絶対。
一生続くんだよ加奈子。
分かってるよ。
えっ?分かってる。
たぶん一生続くんだろうなって。
じゃあ何で?怖いの。
達郎さんのことが怖いの。
私が加奈子を守る。
警察に被害届出して離婚訴訟を起こす。
裁判の間は私がかくまうから。
ねっ?無理だよ。
そんなことしたらもっとひどいことになると思う。
私だけじゃなくて直美まで殺されるかもしれない。
あの人いったん頭に血が上ると手が付けられない。
そうなったら家族も友達も全員犠牲になる。
いくら何でもそんな。
そういう人が世の中にはいるの。
もし達郎さんが逮捕されたとしてもいつかどんな手を使ってでも私を捜し出して殺すと思う。
海外に逃げるとか?だから駄目なんだって直美。
そんなことしたら私の家族が襲われちゃう。
じゃあ旦那が生きてるかぎり暴力におびえ続けるってこと?うちの母親みたいに。
暴力を終わらせる方法はないってこと?あるよ。
えっ?私が死ねば終わる。
加奈子。
加奈子が今望むことは何?水。
えっ?苦いの水が。
最初はね口の中が切れてひりひりして痛かったんだけどそのうち慣れてきたら今度は…。
苦く感じるようになっちゃった。
おいしい水が飲めたらそれでいい。
いっそ2人で殺そうか?あんたの旦那。
2016/01/14(木) 22:00〜23:09
関西テレビ1
[新]<木曜劇場>ナオミとカナコ #01[字][デ]【いっそ二人で殺そうか、あんたの旦那…】

「いっそ二人で殺そうか、あんたの旦那」広末涼子と内田有紀が体当たりで奥田英朗原作に挑む!すべての女性に捧げる痛快で衝撃的なエンターテインメント作品!

詳細情報
番組内容
 大学時代からの親友、小田直美(広末涼子)と服部加奈子(内田有紀)は、半年ぶりに再会した。加奈子の瀟洒なマンションに招かれた直美は、お互いの自宅が近くなったことを喜んだ。そこには、加奈子の夫で、エリート銀行マンの服部達郎(佐藤隆太)がいて、遅れて達郎の姉の服部陽子(吉田羊)もやってきた。食後、直美と加奈子はデザートの用意をしにキッチンに立つ。その時、直美が笑って加奈子の腕を軽くたたくと、加奈子は
番組内容2
飛び上がるほど痛がった。さらに、加奈子は洋ナシを見て固まり、額に脂汗を浮かべた。感情が欠落したようなその表情に、直美は得も言われぬ違和感を覚える。
 そんな折、直美が勤める葵百貨店の外商部が、華僑の大物を招いての商談会を開催。会場には高級品が揃えられた。課長の内藤伸吾(宮川一朗太)から、客は10人程度だと聞いていた直美だったが、実際は大人数の華僑が押し寄せ、会場は大混乱。そんな中、200万円超の
番組内容3
腕時計が紛失するという事件が起こった。直美は、その腕時計を勝手にはめていた女性(高畑淳子)に思い至る。
 一方、専業主婦の加奈子は、深夜、帰宅した達郎を玄関で迎えた。酔った達郎は、いきなり加奈子に抱きつくと、強引にキスをして体を求めてくる。思わず後ずさりした加奈子に、嫌なのか、と憤った達郎は顔色を変える。翌日、加奈子を見た直美は凍り付く。加奈子の顔は腫れ上がり、どす黒いアザが浮かんでいたのだ。
出演者
広末涼子 
内田有紀 
吉田羊
 ○ 
宮川一朗太 
山路和弘 
犬飼貴丈
 ○ 
富司純子
 ○ 
高畑淳子 
佐藤隆太
スタッフ
【原作】
奥田英朗「ナオミとカナコ」(幻冬舎刊) 

【脚本】
浜田秀哉 

【音楽】
ガブリエル・ロベルト 

【主題歌】
EXILE ATSUSHI + AI 「No more」(rhythm zone) 

【プロデュース】
長部聡介 
大木綾子 

【演出】
金井紘 
葉山浩樹 
品田俊介 

【制作】
フジテレビドラマ制作センター

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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