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人工甘味料アセスルファムKを3グラム食べたラットは全滅した:それでもアセスルファムK入り食品を買いますか?

生活 生活-人工甘味料

人工甘味料アセスルファムKの毒性

未成年が飲んではダメでブログに書いたらグーグルアドセンスに引っかかるらしい,ある飲料の売り上げが好調との記事が今月(2016年1月)初旬の新聞にのってました.某キ○ンの一番○○○のことです.うちも半年くらい前からそれにしています.それ以前は人工甘味料アセスルファムカリウム(アセスルファムK)入りの安いやつでした.

でも,これを読んで買うのやめました.

 

厚生労働省行政情報


食品衛生調査会関係資料 - 食品添加物の指定に関する食品衛生調査会
毒性・添加物合同部会報告について

(別添) アセスルファムカリウムの指定について

http://www.ffcr.or.jp/zaidan/MHWinfo.nsf/0/7768026d2059d2334925686900194dab?OpenDocument

 

安全性の項目を引用します.長いので読み飛ばしてくださってかまいません.要点は引用の後にまとめてあります.

 

(1)急性毒性試験-アセスルファムカリウムを、雌ラットに、4,0006,3008,00010,000mg/kg体重の用量で単回強制経口投与し、14日間観察した試験においては、6,300mg/kg体重以上の用量において死亡例が観察され、10,000mg/kg体重では、全例が死亡した。本試験におけるLD507,431mg/kg体重であった。
 雌ラットに、
5008001,2502,0002,5003,200mg/kg体重の用量で腹腔内投与し、14日間観察した試験においては、2,000mg/kg体重以上の用量において死亡例が認められた。死亡例において、自発運動の低下、口を尖らす行動、腹臥位および痙攣が認められたと記載されており、病理学的検 査においては小腸壁にびまん性の赤色化が散見された。生存例には特筆すべき所見は観察されなかった。本試験におけるLD50は、2,243mg/kg体重であった

(中略)

 マウスに3,4724,1675,0006,0007,2008,640mg/kg体重の用量を単回強制経口投与し、14日間観察した試験においては、全投与群に自発運動の低下及び鎮静が、6,000mg/kg体重以上の投与群において痙攣が認められた。死亡例では、雌雄いずれにおいても剖検的に胃粘膜の出血、小腸の充血が見られ、その他に肺のうっ血も散見された。生存例について試験終了後に行った剖検では、雄の6,0007,200mg/kg体重の投与群及び雌の7,2008,600mg/kg体重の投与群において、軽度の前胃肥厚が見られた。本試験におけるLD50は、雄で6,971mg/kg体重、雌で6,713mg/kg体重であった。

 

半数致死量LD50について簡単に説明しておきます.

半数致死量LD50とは,一定の時間内に実験動物の半数を死亡させる毒物の量です(『やさしい環境科学』p.2).

やさしい環境科学

やさしい環境科学

 


メスのラット100匹を同じ環境でそだてていても,健康状態や体質によって毒物への影響や耐性は一匹ずつちがうかもしれません.つまり,厳密に言えば一匹一匹致死量がちがうわけです.ワンピースのルフィがマゼランと闘ってから毒耐性をある程度もつようになったようなものですね(違う).そこで,100匹すべてに同じ毒物をあたえたときに全滅した毒の量ではなくて,半数 の動物が死んだ毒の量を目安にしているとのことです.

 

要点は以下の通りです.

・アセスルファムKを,メスのラット(大型ネズミ)の口に無理矢理食べさせて14日間様子をみた.すると,体重1kg当たり6,300mg食べさせたら死ぬラットが出てきた.体重1kg当たり10,000mg食べさせたラットは全滅した

体重1kg当たり7,431mg食べさせたら半分が死んだLD50=7,431mg/kg体重).

・方法はわかりませんが,口から与えたのではなく,お腹に入れたときに全体の半分が死んだ量は体重1kg当たり2,243mgだった.

マウス(小型ネズミ)の場合は,オスは体重1kg当たり6,971mg,メスは 6,713mgで全体の半分が死んだ

これらの実験以外にも,アセスルファムKを餌に混ぜて食べさせたらどうなるかというものもありました.

ラットもマウスも月齢による体重の個体差が大きいのですが,体重1kg当たりじゃちょっとわかりにくいので,ラットの体重をざっくり300g,マウスの体重を40gにして再計算すると,

・アセスルファムK体重1kg当たり10,000mg食べさせたラットは全滅した
体重300gのラットに3,000mg = 3g食べさせたら全滅

ラットの半数致死量は2,229.3mg(7,431mg×0.3)=2.2g

マウスの半数致死量は272mg(6,800mg×0.04)=0.2g

となります.ティースプーンに軽く1杯の砂糖の量が5gです.ちなみに,ジャガイモの芽に含まれるソラニンの半数致死量は,ラットで体重1kg当たり590mgです.

人工甘味料アセスルファムKの摂取は1日当たり体重1kg当たり15mgなら問題なし?

アセスルファムKの毒性に関する結論は,

「1日当たり体重1kg当たり1,500mg(ラット1匹当たり450mg,マウス1匹当たり60mg)の摂取なら毒性は無いでしょう」

なので,

1日当たり体重1kg当たり15mg(1500mg×0.01)の摂取なら問題無いでしょう(1日摂取許容量:ADI=15mg/kg/体重)」

とされています.

 

そして,アセスルファムKについては,食品1kg当たり0.5g〜5.0g以下が適当である,とされています.

11.使用基準

 使用基準については、下記のとおり設定することが適当であると考えられる。

アセスルファムカリウムの使用量は、生菓子、菓子及びあん類にあっては、その1kgにつき2.5g以下(但し、チューインガムにあっては、その1kgにつき5.0g以下)、ジャム類、漬け物、氷菓、アイスクリーム、たれ及びフラワーペーストにあっては、その1kgにつき1.0g以下、果実酒、雑酒、清涼飲料水、乳飲料、乳酸菌飲料及びはっ酵乳(但し、希釈して飲用に供する飲料水にあっては、希釈後の飲料水)にあっては、その1kgにつき0.50g以下、砂糖代替食品(コーヒー、紅茶等に直接加え、砂糖に代替する食品として用いられるもの)にあっては、その1kgにつき15g以下、その他の食品にあっては、その1kgにつき0.35g以下でなければならない。但し、特別用途表示の許可又は承認を受けた場合は、この限りでない。

 その量が妥当なのかどうか,私にはわかりません.

人工甘味料は,いまや様々な食品・飲料に用いられています.しっきーさん(id:skky17)がご指摘なさっているように,使い方によっては有効なものだと思います.

体質によっては、例えば糖尿病になりやすい人からすれば、砂糖こそが有害物質で人工甘味料のほうがずっと健康的なものだったりするからだ。

 

blog.skky.jp

とはいえ,ラットに体重1kg当たり7,431mgのアセスルファムKを飲ませたら半分死んだという事実からは,体重65kgの人間100人に483gのアセスルファムKを口から飲ませたら半分の50人が死ぬかもしれない.でも人とラットではアセスルファムKへの耐性が違うかもしれないので,そんなに死なないかもしれないし,逆にもっと死ぬかもしれません.

 

この点についても,しっきーさんのご指摘を引用させていただきます.

 まず、人工甘味料が有害かどうかだけど、確かなことはなかなか言えない。

 現在色んなところで使われてるようなやつは、これといって大きな問題も確認できてないので、「食べてすぐに悪影響が出るレベルで有害ではない」とは言える。

 でも、10年後20年後の影響についてはわからない。すぐに健康被害はないけれど、体質的に苦手な人が特定の人工甘味料を長期間にわたって摂取すれば、老化促進や発ガンリスクが高まるみたいなことは十分考えられる。

 もしごく微小なレベルで有害だったとしても、少なくとも現在の科学水準ではそれを実証することはできないだろう。関わってくる変数があまりにも膨大で、そもそも「有害」「健康」「安全」「危険」という言葉の定義すらゆらいでくるからだ。

 個人の体質の差、様々な社会環境、精神的なもの等、膨大な要素が関わってくるなかで、ピンポイントに人工甘味料が与える影響を特定するのはほぼ不可能だ。

 

そう,わからないのです.インフルエンザワクチンだって,接種した後に異常行動がみられても因果関係を証明することはとても難しいのです.しかし,「わからない」と言って放り投げていいはずはありません.

browncapuchin.hatenablog.com

 

自分のことは自分で決めよう

インフルエンザワクチンを接種するかどうかは自分で決められます.

その食品・飲料にアセスルファムKが入っているかどうかは,成分をきちんと表示しているものだったらわかります.わかった上でその品物を買うかどうかは,自分でコントロールできます.

私はアセスルファムK入りのある飲料を買わなくなりました.でも,もしかしたら他のものから口に入れているかもしれません.スーパーでものを買うときにいちいち成分表示を確認していないからです.また,アセスルファムK以外の人工甘味料についてはまだ調べてません.これはまずい,調べなきゃ!

市販の食品・飲料はそこそこ安全だろうとは思っています.でも,やっぱりこれは口に入れたらあかんやろ,というモノはたくさんあるかもしれません.「自分の身は自分で守る」,そのための知識はインターネットにあふれているのです.コロンビアに美女があふれているのと同じように.

browncapuchin.hatenablog.com

 


ブログの売り上げ報告やアクセスアップの方法なんかは勝手にすればいいと思いますが,知識の源泉を袋とじにしまいこんではいけないのだ,と強く思います.
 

browncapuchin.hatenablog.com

 

ではまた!