ソウル中央地裁で15日に行われた、いわゆる「梨泰院殺人事件」の論告求刑公判で、検察は「全く面識もない大学生を、これといった理由もなく殺害し、18年がたった現在に至るまで犯行を否認して、反省しようとしない。まさに悪魔の所業だ」として、アーサー・パターソン被告(36)に対し懲役20年を求刑した。
パターソン被告は1997年4月3日、ソウル市竜山区梨泰院のハンバーガー店のトイレで、大学生チョ・ジュンピルさん(当時23歳)を刃物で刺し殺害したとして起訴された。当初はトイレで一緒にいたエドワード・リー氏(36)が殺人罪で起訴されたが、98年に無罪判決を受けた。一方、証拠隠滅罪で起訴されたパターソン被告はその後米国に帰国したが、昨年9月に韓国に送還された。
検察は「パターソン被告は被害者を刃物で9回も刺すという残忍な犯行により、将来が嘱望される善良な大学生の命を奪い、その家族の幸福を破壊した。法廷でもまるで傍聴人のように泰然と裁判を傍観していたパターソン被告は、憎たらしいことこの上ない」と求刑理由を述べた。パターソン被告は犯行当時17歳だった。検察は少年犯罪の場合、法定刑の上限が懲役20年となっていることから、パターソン被告に対し最高刑を求刑したという。パターソン被告はこの日の公判でも「リー(エドワード・リー氏)が真犯人だ。リーは証言をたびたび覆し、うそをついている。リーは(事件当時、酒に酔っていて)何があったのか記憶していないが、私の裁判を傍聴した自分の父親から助言され、(パターソン被告が犯人だと)証言した」と主張した。ソウル中央地裁刑事27部は、今月29日に判決公判を行う予定。