【コラム】中国リスク増大、今こそインドへシフトせよ

英国とインド、上下関係逆転

 英国の与野党議員約20人が先日、ロールス・ロイスの最高経営責任者(CEO)あてに手紙を書いた。ロールス・ロイスは産業分野における英国の誇りとでも言うべき会社だ。自動車部門はドイツに追い越されたが、飛行機エンジン製造で世界第2位の座を守っている。そして、原子力潜水艦の推進技術を持つ「防衛産業の宝」でもある。従業員約2万1000人のうちエンジニアが約9000人にも達しており、「技術士官学校」役も果たしている。この会社に議員たちが書簡を送ったのは、180年以上も英国の植民地だったインドと関連がある。

 経営難に直面しているロールス・ロイスは構造改革を計画している。人員削減はもちろん、生産設備の海外移転も考えている。そうした中で政界に衝撃を与えたのは、戦闘機用ハイテクエンジンをインドで製造するという計画だ。雇用先が減るのはともかく、防衛事業の要をかつて植民地だった国で作るという話に、英国の主流社会が自尊心を傷付けられたとの反応を示したのだ。そこで党の垣根を越えて、議会が立ち上がって再考を求める書簡を送ったのだ。

 しかし、ロールス・ロイスはすでにインド人エンジニアたちを英国に呼び寄せて教育し、彼らを中心にインド事業を展開する方針だ。実権はインドが握っている。インド政府は「国営の防衛産業企業が開発している次世代戦闘機にロールス・ロイスのエンジンを搭載するから、早くインドで生産を開始してほしい」と催促している。何世紀も続いてきた両国の上下関係が逆転した格好だ。

国際部=孫振碩(ソン・ジンソク)記者
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