6434人が亡くなった阪神大震災は17日、発生から21年を迎えた。神戸市など各地で追悼行事が営まれ、遺族や被災者らは鎮魂の祈りをささげた。追悼には今年で発生から5年を迎える東日本大震災の被災者らも参加。自然災害が頻発するなか、防災と復興への誓いを新たにした。
犠牲者らの名前を刻んだ「慰霊と復興のモニュメント」がある神戸市中央区の東遊園地では「1.17のつどい」が開かれた。地震が発生した午前5時46分には「1.17」の形に並べられた竹灯籠を囲み、遺族や市民らが黙とうをささげた。
「多くの人に震災のこと、大好きな母が生きていたことを伝えたい」。母、啓子さん(当時45)を亡くした神戸市東灘区の自営業、山本広美さん(42)が遺族代表として追悼の言葉を述べた。
今年は初めて竹灯籠でつくる文字を公募。震災の教訓や追悼の祈りを若い世代に語り継いでいこうと、選ばれた「未来」の文字も竹灯籠で囲み、「1.17」の上部に添えられた。
市民グループによると、発生21年にからむ市民主催の追悼行事は59件にとどまり、過去最多だった20年の行事の110件から半減する見込み。
◇
東遊園地で開かれた「1.17のつどい」では、遺族や市民らが犠牲となった人々へ思いをはせ、防災への誓いを新たにした。
震災で次男の真輔さん(当時28)を亡くした、兵庫県西宮市の三宅弥生さん(74)は「昨年には夫も亡くなった。寂しい思いがつのるばかりだが、2人はきっと天国で再会を喜んでいるだろう」と目に涙を浮かべた。
「今年はきれいな振り袖姿で孫娘が成人式に行ったんやで」。神戸市兵庫区に住んでいた母(当時90)と兄(同60)を火災で亡くした同市須磨区の無職、納(おさめ)みよしさん(78)はつぶやいた。「真っ暗な空が竹灯籠の灯で照らされると、2人が帰ってきている気がする」と宙を見つめた。
震災を経験していない若い世代の姿も目立った。「悲しみにくれる姿を見て、遺族らの思いはいつまでも変わらないと分かった」。震災を契機に設立された兵庫県立舞子高校環境防災科3年の清水咲希さん(18)は友人と参加。「震災の記憶と備えの大切さを次の世代に伝えていきたい」と強調した。
長女(10)と長男(7)を連れて家族4人で訪れたのは愛知県岡崎市の主婦、武田美佳さん(47)。「当時住んでいた神戸市須磨区の自宅が半壊し、水や食料が不足した自分の被災体験を子供たちに伝えたい」と真剣な表情で話した。
「出張でよく神戸を訪れていたこともあり、ずっと追悼の場で手を合わせたいと思っていた」。愛知県碧南市から訪れた竹内弘治さん(61)は、昨年仕事を退職。週末ということもあり時間に余裕ができたため、初めてつどいに参加したという。「今後起こりうる災害に向けてさらに備えを重ねたい」と言葉を強めた。
阪神大震災
日本経済新聞社は16日、2015年12月の「日本経済新聞」朝刊販売部数(日本ABC協会公査)と16年1月4日時点の「電子版」会員数を公表しました。日本経済新聞では半年ごとに最新の部数、会員数をお知らせしています。
日本経済新聞・電子版購読数合計 | 318万2315 |
---|---|
日本経済新聞朝刊販売部数 | 273万2604 |
電子版有料会員数 | 44万9711 |
うち新聞と併読除く電子版単体 | 24万7505 |
無料登録会員を含む電子版会員数 | 297万3070 |