「デジタルマーケティング」を担う組織を新設する動きが広がっている。2016年は、もはや経営者にとって知らないとは言えない年になる。ということで、新年最初はデジタルマーケティングを俯瞰(ふかん)的に捉えてみたい。
良い物を作るだけではモノは売れなくなり、マーケティングの重要性は高まっている。顧客と直接リアルタイムにコミュニケーションし、情報が取得できるデジタルデバイスがビジネスの中心になるのは確実だ。今回はデジタルマーケティングのポイントを大きく3つに整理してみた。
(1)情報提供で顧客の行動を変容させる
テレビCMで届ける、ウェブのPV数を稼ぐ、チラシで来店させるなど様々な施策を模索することがマーケティング上、重要だった。しかし、あらゆるコミュニケーションがデジタル化するなか、どんな情報を与えると顧客の行動がどのように変容するかをデータで把握できるようになった。
例えば、メールを送るのは朝がいいか、夜がいいか。値引き幅は20%と30%で購買がどう変わるのか。その割引率はどんな属性の人に最も効果的かといったことだ。マスメディアやソーシャルメディア、企業が自身をプロデュースできる「オウンドメディア」、店舗、アプリなど顧客との接点としてどの媒体が一番良いかも分かる。
企業はこうした情報をトータルで生かし、顧客の行動変容モデルを作ることが必要だ。プライシング(製品やサービスの価格を決めること)も情報の一つ。値引きに依存しない顧客の誘導モデルも大事になる。
「マーケティングオートメーション」というマーケティングのプロセスを自動化して最適化しようという動きもある。自動化が進めば進むほど、企業が初期に設定するビジョンや価値が重要になるだろう。
(2)「売る」ことが最終目的ではない
ふじもと・けんたろう 電気通信大情報理工卒。野村総合研究所を経て99年にフロントライン・ドット・ジェーピーを設立し社長。02年から現職
あらゆるものをネットにつなぐ「IoT(インターネット・オブ・シングス)」時代は売ることが最終目的でなくなる。販売後のデータがとれるようになり、顧客が商品をどのように使っているのか、満足したかまで追跡して把握しなければならない。
家電はまもなく製品がIoT化され、消費者の利用状況がリアルタイムで把握できるようになる。近い将来、ヘルスケアやスポーツもそうなるだろう。多くの消費者向け製造業はサービス化して、サービス業との再編も増えていくのではないか。売り切りだった商品をサービス化して月額利用料をとる方向にビジネスモデルを変える企業も出てくるに違いない。
(3)全ての状況をデータとして把握しマネジメントする
どうしたら顧客の行動を変容させることができるのか。どんなプロセスで最終的に価値を最大化するのか。顧客の行動データは企業で最も重要なデータになるだろう。顧客との関係を構築してモデル化するデジタルマーケティングを担う人材は企業内で何よりも重要であるし、企業のトップ自らがマーケッターとならなければならない。
(D4DR社長)
〔日経MJ2016年1月15日付〕
藤元健太郎、デジタルマーケティング、SNS
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