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 イランと米英独仏中ロの6カ国は16日、核問題を巡るイランへの制裁を解除すると発表した。日本を含む各国が凍結していたイラン産原油の売上金など、少なくとも総額500億ドル(約5兆9千億円)の支払いが始まる。制限されていたイランとの貿易は、より自由にできるようになる。

 国際原子力機関(IAEA)が16日夜(日本時間17日未明)、イランが昨年7月の6カ国との合意にもとづいて保有する濃縮ウランや遠心分離機を削減するなど核開発を縮小したことを確認したと発表。これを受け、6カ国の代表である欧州連合(EU)のモゲリーニ外交安全保障上級代表がIAEA本部があるウィーンで共同声明を発表した。

 共同声明に先立ち、米国のケリー国務長官もザリフ氏と会談した。

 米国は2011年の制裁で、イランと取引をした企業に米国との取引を禁止。日本など多くの外国企業が事業の縮小や撤退をしていた。この制裁は効力を失い、ビジネスの相手として米国とイランの二者択一を迫られることはなくなる。

 EUによる、国際的な銀行間取引からのイランの排除や、イラン産原油の禁輸も解除になる。

 制裁の影響で、イランの原油輸出量は11年の日量250万バレルが、現在は同120万バレルに落ち込んでいる。イランは制裁前の水準に戻す方針で、原油安が長期化する可能性もある。