韓国の北東アジア歴史地図編纂事業が頓挫の危機

発注側の政府系財団、事業協約の解約を決定
編纂委は反発

 だが、編纂が最終段階に差し掛かった昨年、古代の地図が一部公表されると、歴史歪曲との批判を呼んだ。古朝鮮滅亡後に漢が設置した「漢四郡」の位置を地図で韓半島(朝鮮半島)北部としたことが「植民史観に基づくもの」と在野の学者から批判を浴び、国会からも是正を要求された。また、東北アジア歴史財団が12年、この地図を土台にした古代史関連資料を米議会調査局(CRS)に送ったことも問題となった。これを受け、財団側は昨年10月から事業に対する再検討を進め、地図学専門家5人の審査結果を踏まえて協約解約の決定を下した。

 これに対し編纂委は、解約の理由として挙げられた事項は簡単に修正できるとして強く反発している。「全ての地名をハングルで表記していない」との指摘については「歴史の地名は該当国の言語で表記するという原則に従ったものであり、すぐにハングル表記に直せる」と釈明。「投影法やデザインなど地図としての完成度が低い」という部分に対しては「予算が削られたため後回しにした」と説明している。編纂委は、地理学者や歴史学者が適切に含まれた審査委員会を再構成し、再審査するよう求めている。

 人文学の分野で、多額の予算が投じられた長期的な国家プロジェクトの協約が最終段階になって解約されることは極めて異例だ。東北アジア歴史財団は「事業を断念するわけではなく、結果物を検討した上で事業団を再公募するなどして継続する」としているが、事業は相当期間にわたり宙に浮くと見込まれる。ある歴史学者は「財団と関連学界が共同で公聴会を開くなどして、提出された歴史地図が本来の趣旨に沿ったものか、修正・補完が可能なのか、活用策があるかどうかなどを総合的に検討すべきだ」と指摘している。

李先敏(イ・ソンミン)先任記者
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