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軽井沢バス転落 法令違反だらけのずさん運行会社
軽井沢のバス転落事故を受けた記者会見で、土下座する運行会社「イーエスピー」の高橋美作社長(中央)ら
Photo By 共同 |
長野県軽井沢町で14人が死亡し、過去30年で最多の犠牲者を出した事故で、バスの運行会社「イーエスピー」(東京)の高橋美作社長(54)が遅刻して、事故を起こしたバスの出発前に、運転手2人の健康チェックができなかったことが16日、分かった。道路運送法で義務付けられた書類の不備なども明らかになり、同社のずさん管理の疑いが浮上。国土交通省は、運行停止や業務停止などの行政処分を検討する。
高橋社長は16日、東京都羽村市の同社で記者会見。黒のスーツ姿で「重大な事故を起こしてしまい、おわび申し上げます」と頭を下げた。自身が遅刻したため、法令で義務付けられた出発前の点呼ができず、事故で死去した運転手2人の健康状態の確認を怠っていたことを明らかにした。集合時間を間違えて5分遅く着いたという。ずさんな運行管理が事故の引き金になったのではないかと問われると、「もしかしたら、心の緩みがあったかもしれない」と叫ぶように答え、再び頭を下げた。
運転手が無断で走行ルートを変更するケースが以前にもあり、今回の変更も「連絡がなかった」と説明。バスツアーを国が定める基準を下回る金額で引き受けたことや、バスを運転していた土屋広運転手(65)の昨年12月の雇用時に健康診断を受けさせていなかったことも明かし、会見の最後に額を床に付け数分間にわたって土下座した。
今回のバスツアーは、旅行会社「キースツアー」から約19万円で引き受けていた。国交省によると、国が定めた距離や時間による単価の下限額を基にした最低価格を8万円下回っていた。
国交省の特別監査では、会社側が運転手に対して作成する「運行指示書」はツアーの出発地と到着地のほか、経由地などのルートを記載しなければならないが、今回のツアーの指示書には出発地と到着地しかなく、ルートの記載はなかった。また、同様に発着地しか記載のない指示書がほかのツアーでも確認された。
運転手の業務実態を把握するための「点呼簿」という書類でも虚偽記載が判明。通常、運転手は目的地到着後に会社に連絡し、運行管理者が終業の印を押すが、今回は事故があったのに業務終了の押印があったという。
また、運転手の労働時間が基準を超えていたケースや、いつ誰が乗務したかを示す乗務記録や免許証情報の乗務員台帳への記載漏れもあった。運行状況をバス車内で自動的に記録する運行記録計(タコグラフ)に用紙を装着していない車両も見つかった。
[ 2016年1月17日 05:30 ]
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