最近文庫版が発売された作品。
これぞ文学、これぞ小説! 味わい深くておもしろい。
一言や二言や三言ぐらいじゃ感想を言えない。あらすじは説明できるけど、「どんな感じ?」って聞かれると、「う〜ん…」となってしまう。読んでる最中も読んだあともいろんな感情が込み上げてくる。
この作品のテーマをがんばって一言でいうと…
"孤独"かな?
ぼくはそう感じた。
☆ ☆ ☆
小鳥と会話できる自閉症っぽい兄を持つ小父さん(おじさん)が主人公。その一生を描いた作品。この小父さんも、「ひきこもり」まではいかないけど社会不適合者っぽい。生涯小鳥と関わりを持って生きていく。
小父さんが、あまり社会と接点を持たずにつつましい一生を送るんだけど、でも社会は変わっていくから、つつましい生活がそのままというわけにはいかず、壊されていく。
変わらないということはムリなんだな〜と切ない気分になった。
小父さんが奇跡的に波長の合う人(若い女の子)と出会い、珍しく前向きに関係を構築しようとがんばるけど、その関係がそのままというわけにはいかず、消えてしまう。
「小父さんかわいそう」と本気で思ったし、「この章はもうちょっと続けて欲しかったんですけどー小川さーん」と恨めしい気持ちになった。
この本での小鳥の歌声はめっぽう美しい。文章だからこそキレイに聴こえる。文章自体に色を感じないから、素直に音が聴ける。表紙も白地の素敵な絵で最高。ナマの小鳥の歌声を聴きたくなる。毎日小鳥の歌声が聴ける環境にいる人がうらやましく思える。
後半には人間の醜さを感じる場面が出てくる。静かな雰囲気の文章でそんなに長くない作品だけど、結構盛りだくさん。「えー、最後の方にこんな話持ってくるの!?」って感じ。
そしてラストはとっても美しい。
ぼくはこの作品の、人間と動物(小鳥)の関係が好きだ。完全に意思疎通が取れてるわけじゃない。変に動物側の感情を描くこともない。動物が重要なファクターだけど、徹頭徹尾、人間についての物語にしてくれている。
こんな感じで、いろんな感想がバラバラと思いつく素敵な小説。タイトルの「ことり」がひらがなになっているのは、わけがある。それは読んでのお楽しみ♪
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