日刊スポーツ
第88回選抜高校野球大会(3月20日開幕)の運営委員会が13日、大阪市内で行われ、同大会から甲子園に「ドリームシート」を新設することが決まった。
甲子園中央特別自由席内のバックネット付近の118席で、全国軟式野球連盟に所属する小中学生の軟式野球チームの選手を連日、無料招待する。招待選手は毎試合ごとに入れ替える
夏の大会も同様になるようだ。昨夏までラガーさんや「8号門倶楽部」の連中が座っていた席だ。
彼らは、それに抗議する権限はないから、今年の選抜以降、ラガーさんの姿を見ることはなくなる。
「8号門倶楽部」は、十年以上前から甲子園の8号門の入り口に、春、夏の大会ごとにテントを張り、バックネット裏の最前列の席を占有していた。
自由席であり、彼らには何の権利もないが、最前列に座ろうとする客を恫喝して排除しようとするなど、問題行動を起こしていた。
関西にはこういう“輩”がよくいる。何の根拠もないのに「わしらのシマや」と居座る連中である。大したことないことでも、すぐに既得権益を主張する。
「わしらのような“通”は」と本当の通なら絶対に言わないような、恥ずかしいことを言ったりする。
「8号門倶楽部」も「わしらこそ高校野球の神髄を知るファンや」くらいのことは思っていたのだろう。恥知らずである。彼らの一部はこの席と食事などを組み合わせた「商品」を作って商売をしていたという。堅気のやることではない。
ラガーさんは、「8号門倶楽部」の幹部ではなく、後から入ってきて認められたメンバーだ。
ただ、ラガーシャツに蛍光色のキャップという目立つ服装だったために、「八号門倶楽部」のアイコンのようになってしまった。
ラガーさんに注目した編集者が本を書かせたこともあって、ラガーさんは一躍有名人になった。私はラガーさんと「東京野球ブックフェア」でご一緒してきた。名刺交換もした。サインを求める人も多く、人気者だった。率直に言って、本の内容は他愛ないものだったが、ラガーさんは文化人にもなっていった。
昨年になって「8号門倶楽部」の専横ぶりに反発を抱いた人物が、最前列の席を取った人間が彼らによって排除される様子を録画して、ネット上で上げた。日本中に、ごうごうたる非難の声が上がった。
これによって「8号門倶楽部」、とりわけラガーさんは社会からつるし上げを食らった。
さらに「Change Org.」に「8号門倶楽部」を告発する主張を掲げた。高野連、新聞社などに「8号門倶楽部」を排除するように求めたのだ。
私は「8号門倶楽部」をのさばらせたのは高野連、主催新聞社の怠慢だと思っている。何らかの手を打つのは当然だ。
しかし、ネット上で一方的な主張をし、とりわけラガーさんを集中攻撃するのはリンチに等しいと思っている。
ネットではまっとうな意見も当然上がるが、おかしな意見も多い。そして誰でもいいから他人を叩きたい、潰したいという卑劣な人間もたくさんいる。こうした輩は人の尻馬に載って誹謗中傷の限りを尽くす。人間として最低だと思う。
ネットでの批判は、歯止めが利かない。軽微なミスを犯した人間を破滅させるような危険性を持っている。匿名の人間の「正義感」は、変質することが多いのだ。
確かにラガーさんはおかしなことをしていたと思うが、主犯格ではないし、社会的に葬り去られるほどの罪を犯したわけではない。リンチを受けるのは気の毒だと思っていた。
さらに、私はネット社会が生んだ貴重な異議申し立ての手段である、「Change Org.」がこうした手段に使われることにも違和感を持っていた。
とはいえ、高野連や新聞社がこの期に及んで拱手することはないと思っていた。
今回の措置は、「8号門」にもラガーさんにも一切触れていないが、この事件がきっかけになったことは疑いの余地がない。
ことここに至るまでに手を打てなかったのは、高野連や新聞社の無能だと言って良いが、この解決策は事件を「最終的かつ不可逆的」に解決するものであり、評価したい。
日刊スポーツにはこういう文面もあった。
甲子園の特等席の無料開放という思いきったプランは、日本高野連の強い危機感の表れだ。甲子園人気に衰えはないものの、少子化の影響などで少年野球人口は年々減少。中体連の資料によれば、06年は30万2037人だった軟式野球人口が15年は20万2488人に落ち込んだ。日本高野連の竹中事務局長は「未来の球児を確保することが大事」の考えで、昨年から温めていた計画を実行に移した。
少年野球人口の減少は、少子化によるものではない。また、これしきのことで、未来の球児を確保することはできない。
高野連の解体など、アマチュア野球を根本的に見直さない限り、野球の将来はないと思うが、高野連にも危機意識があることが分かったのは、収穫だった。
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未来の球児を確保等と言った項目は後付であり、このことが本文でも仰っている通り、8号門クラブに対する措置なのは明白かと思います。
バックネット裏の席から8号門クラブを何らかの形で排除しても次の8号門クラブが出来るだけで解決にはならないと感じていましたので、このような形で「解決」して野球ファンとしてよかったと感じています。
もうひとつ、近年の「ネット私刑」について本当に恐ろしいものだと感じています。
私としてはラガーさんは「偽ラガーさん」なる人物の行動により、8号門クラブの醜態が晒され、各種媒体で批判的立場で記事が書かれた時点で十分な社会的制裁は受けているという考えです。
少しの過ち(少しではないかもしれませんが)を犯しただけで徹底的に吊るしあげるネット私刑に恐ろしい負のエネルギーを感じます。
一歩間違えれば加害者と被害者は簡単に逆転しますから。