中国ハイアール、GE家電買収で世界的メーカーに
中国家電大手の海爾集団(ハイアールグループ)が米ゼネラル・エレクトリックの家電事業を大枚をはたいて買収する。中国最大級の世界的な家電企業になるためだとすれば、その目的は達成された。
GEは15日、同社の家電事業をハイアールの子会社で上海証券取引所に上場する青島ハイアールに54億ドル(約6318億ドル)で売却すると発表した。同家電事業をめぐってはスウェーデンの家電大手エレクトロラックスが買収することでGEと合意していたが、当局の承認が得られず、昨年破談になった。今回の買収額はエレクトロラックスが支払うはずだった34億5000万ドル(負債込み)を大幅に上回っている。
高値で家電事業を売却したGEはさすがだ。GEによると、買収額は過去12カ月のEBITDA(利払い前・税引き前・償却前利益)の10倍となり、エレクトロラックスが2014年に提示した最大7.3倍を上回った。家電メーカーでは、ワールプール株が7.6倍、エレクトロラックス株が6.6倍、青島ハイアール株は7.5倍で取引されている。ハイアールによると、相乗効果を考慮した買収額はEBITDAの8.2倍だが、それでもまだ割高だ。
ハイアールがどうしても海外資産を手に入れたかったことは明らかだ。S&PキャピタルIQの計算によると、ハイアールグループが2012年にニュージーランドのフィッシャー・アンド・パイケル・アプライアンシズを買収したときは、EBITDAの19倍近い金額を支払った。
背景にあるのは中国経済の減速だ。ユーロモニター・インターナショナルによると、2005年から2011年まで金額ベースで平均17%伸びていた中国の家電市場が失速し始めた。住宅販売の減少がエアコンや冷蔵庫の売上げに波及する一方で、当局は家電購入への補助を中止した。2015年の家電販売の伸びは1.6%。その上、競争も激化している。
対照的に、米国の家電市場はこの3年、平均で6.1%という伸び率を確保。安定した市場シェアを持つGE買収によって、ハイアールは米国最大のメーカーの一角を占めることになるだろう。ユーロモニターのフェン・チャン氏によると、ハイアールは冷蔵庫などの部門に強みを持っており、食洗機や調理器に強いGEの事業を補強できるとみている。
ハイアールはまた、将来的にアジアで展開できる由緒ある西洋のブランドを手に入れたことになる。GEブランドは確実に高級部門への足掛かりとなるだろう。
青島ハイアールのEBITDAは今回の買収でおよそ50%上昇する可能性がある。同社の株式は昨年10月以降、再編を理由に取引が停止されているが、取引が再開されれば投資家は目を向けるはずだ。青島ハイアールは今や真剣に注目すべき多国籍家電メーカーだ。