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【北朝鮮情勢】
政府、対北朝鮮独自制裁強化へ 拉致交渉にらみジレンマも
日本政府は米政府と連携する国連安保理で、金融制裁や船舶の寄港制限などの制裁強化を各国に働き掛けている。日本独自の制裁強化に踏み切っても「世界が北朝鮮への圧力を強めなければ経済面、外交面ともに効力が小さい」(外交筋)からだ。特に、中国とロシアからの協力が得られなければ、北朝鮮にエネルギー資源や核・ミサイル部品などさまざまな物資が流入するのを防げず、日米欧の経済制裁の効力は薄まる。
このため日本政府は、岸田文雄外相が中国の王毅外相やロシアのラブロフ外相との電話会談を調整しており、鍵を握る両国の説得に全力を挙げる。
一方、日本の独自制裁強化に北朝鮮が反発することは必至。外務省幹部は「日朝交渉の助けにはならない雰囲気だ」と語り、拉致問題協議の停滞を危惧する。それでも官邸筋は「北朝鮮もストックホルム合意を温存したいはずだ」と対話は維持されるとみていて、独自制裁はジレンマを抱えながらの難しい判断となる。
首相周辺は「あらゆる独自制裁を検討するが、国際社会の動向を見極めた上での対応だ」と語る。