一斉に報道され始めた中国経済の実態
上海株が、今年の取引の初日の1月4日、開始と同時に暴落した。新設されたばかりの安全装置である「サーキットブレーカー制度」が発動され、取引は15分で停止となった。それが7日にも繰り返され、中国政府が懸命に介入したものの、目立った効果は現れなかった。
このときのドイツの報道は、もう容赦なかった。夏の暴落のときのように、状況が過小評価されることもなく、ゴールデンアワーのニュースが大きく取り上げた。
新聞も、中国では株の売買が「国民スポーツ」と化していたとか、手軽に大儲けできる方法として、「タクシーの運転手から銀行員まで」が投機に熱中していたとか、すでに「夏の時点で相場が、1年前に比べて150パーセントも跳ね上がっていた」などと書いた。
そして、DAX(ドイツ株価指数)にまでその混乱が広がっていることが、危機感を煽るように報道された。一般の、中国とも株とも縁のなかった普通の人たちにしてみれば、すべてはまさに寝耳に水だったはずだ。
1月11日、株価は再び急降下した。「サーキットブレーカー制度」は、効用よりも害の方が多いとみなされたらしく、前週に廃止されていたため、株価は下がり続けた。
この日、7時間遅れのフランクフルトは本気で浮き足立った。シュピーゲル誌は「9月以来、最安値」と、そしてフランクフルター・アルゲマイネ紙やARDは「中国株 再び暴落」と、それぞれオンラインページに速報を入れた。
ドイツ経済は日本のように内需が大きくなく、輸出に多くを頼っている。日本の輸出依存率はGDPのわずか1割強に過ぎないが、ドイツは3割以上。しかも中国依存が強く、中国が、フランス、アメリカ、イギリスについで4番目の輸出相手国だ(日本の対中輸出はGDP比で3%にも達していない)。
今、そうでなくてもロシア経済制裁で輸出が鈍っているため、中国の不況はドイツにとってギリシャの金融危機よりも怖い。これまでフォルクスワーゲンの3台に1台は、中国に輸出されていたのだ。
つまり、最近ドイツメディアが一斉に中国経済の実態を書き始めたのは、これ以上、綺麗事を書いてはいられないという危機感の表れかもしれない。
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