というわけで2chで軽く炎上している表題のゲーム「恋×シンアイ彼女」の星奏ちゃんルートをクリアしました。
今回は恋×シンアイ彼女の星奏ルート、そして、星奏ルートのアフターストーリー「ラストエピソード」の感想を書いていこうと思います。
まず「恋×シンアイ彼女」とは。
AMUSE CRAFT系列の新ブランド「Us:track」の処女作なわけですね。
新島夕という「はつゆきさくら」、「ナツユメナギサ」等の名作のシナリオライターが関わっていることもあり、注目されていました。
僕も上記の二作がとても好きなので非常に期待してましたね。
それが昨日辺りから2chの本スレが荒れに荒れており積んでた状態からネタバレを見る前にと急いでプレイしました。
以下ネタバレありなので気を付けてくださいね。
まず星奏ルートとラストエピソードを一つとして僕の感想から話しましょう。
星奏ルート~ラストエピソードは一つの作品として僕にとって100点満点中95点です。
残りの5点はエピローグで主人公の国見君と星奏との間で「久しぶり」とかそういう一言だけでもいいのでなにかやり取りがあったら満点でした。
ただ、恋愛ゲームとしての評価は10点くらいです。
公式サイトのうたい文句を見て、
そして、体験版で星奏ちゃんを好きになった人からしたらこれはとても酷い出来です。
公式のうたい文句を少し書いてみましょうか。
以下公式より
理想のヒロインと物語のきっかけを作り、お互いの距離を縮め、最後には勇気を持って「告白」へ
恋愛小説を読んでいるような独特の世界観で、彼女たちとの学園生活を描きます。
学生時代にしか感じることの出来ない、甘くも酸っぱくもある
青春ならではのエピソードをシナリオとCGを描き魅力的に演出します。
本企画は極めて王道で恥ずかしいほどのド直球。
思わず目を覆いたくなるような、そんな恋愛ADVです。←ここまで
体験版までの部分ではこのうたい文句は確かに当てはまるのですが肝心のその先に関しては全くあてはまりません。
結論からいえば星奏というヒロインが恋愛ゲーのヒロインとしてやってはいけない事をしてしまったから荒れているのでしょう。
やってはいけない事というのは「ヒロインが主人公以外のモノを最優先する。しかも何回も」
これに尽きます。
上記の歌い文句を見て、そして体験版をやってこの作品を買おうと決めた人は萌え豚よりで
シナリオに高尚なものは特に求めておらず、ヒロインが可愛くストレス無くイチャラブ出来てニヤニヤ出来ればそれでいいって人が多かったんじゃないかな。
というより僕がまさにそれでしたので。
丸戸作品でいうならば、「パルフェ」や「こんにゃく」のような王道イチャラブ学園物を買ったと思ったら「ホワイトアルバム2」が出てきた。
と言ったところでしょうか。
何故叩かれているか分かりやすくシナリオを書くと
小学生時代に主人公は星奏に手紙を使い告白します。
が、星奏は実は天才作曲家で忙しく、返事を出す間もなく引っ越してしまいます。
返事をどうするか悩みはするものの、自分が曲を作らないと自分の曲を待っているバンドメンバーたちに色ぼけている暇があるなら曲を作れとせかされそのまま返事が出せないまま数年がたちます。
時は流れ、星奏は16歳になった際、スランプに陥いります。
昔住んでた町で、昔好きだった人と会ったらまた何かが取り戻せるかも。そう思った星奏は事務所の意向もあり主人公のいる町へと帰ってきました。
主人子と再会し、数か月を共に過ごし、なんだかんだで二人は恋人になりました。
が、ヒロインは二人で甘い時間を過ごしていく内に、作曲家としての勘を取り戻します。その後、ごめんと一言だけメールで告げ、再び主人公の前からいなくなります。
ここでなんとエンディングに入ります。
体験版の部分から付き合いはじめ、ラスト付近まではド直球のイチャラブラブコメなのに一気に突き落とされます。
その感覚は富士急の富士山から突き落とされたの如くで何が起きたのかさえ初めはわかりませんでした。
その後、数年たち主人公は教師になります。
教師をはじめ2年目になった時、星奏が曲を提供していたバンドは業界の闇やらなんやらで解散し、事務所は多額の借金を背負ったそうです。
星奏は職を失い、失意のまま思い出の町にかえってきました。
そんな星奏を主人公は見つけてしまい、自分を利用し勝手に消えていった事にたいして怒り、怒り、怒ります。
けれど、どうしたって主人公は星奏が好きだったのです。
初恋で、しかも一番多感な16歳の時期にはたった数か月ですが確かに思いを通じ合わせ、幸せな時間を過ごした。
唐突に自分語りを挟みますが、今では立派な恋愛ゲーマーでキモオタな僕ですが、僕も15歳のころ付き合っていた彼女がおり、とても大切な女の子がいましたが、ひどい別れ方をして、そのまま今でも会っていない子がいます。
そのころの記憶は10年たった今でも僕の一番大切な記憶で、女々しいのですが、宝物なのです。
だからこそ、社会人編、まあ、これがラストエピソードなんですが、このあたりの主人公はもう自分そのものではないかと非常に深く感情移入して楽しめました。
何が言いたいかってそんな元カノと再会した主人公は、やっぱりあきらめられないのでした。
星奏に主人公は好きだと叫び、そしてヒロインに問いかけます。
「もう、終わったの?」と
「なら、今度こそ、ずっとそばに居てほしい」と
ヒロインはうなずき二人の幸せな同居生活がしばらく続きます。
ここで終わってればまだよかったのでしょう。
が、暫くしたのち、彼女は事務所の負債を自分の作曲家としての才能を担保にして、またも作曲家としての道をゆくことをひそかに決意しました。
そんなとき、主人公はプロポーズをしました。
なんとなく、主人公は予感していたのです。
また、離れて行ってしまうのではないかと。
ヒロインはプロポーズを受け、うれしいと
本当にうれしいと言います。
が、結局彼女は主人公の元を離れていきました。
主人公とはもう二度と合わないと書置きを残して。
はい、自分でも書いてて思いましたがヒロインとして完全にギルティな行為をこれでもかと言うほど
重ねておりますね。
星奏ちゃんはなんと小学生、高校生、社会人と計三回主人公を捨て作曲家としての道を選びます。
主人公に自己投影してイチャラブニヤニヤしたかった層のライフももう0どころかマイナスの方向に突き抜けていそうです。
実際僕もなんども心が苦しくなり、なぜイチャラブしたかっただけなのにこんな胸糞展開ばかりが続くんだと思わなくもなかったです。
この作品は何となくですが、秒速5センチメートルとホワイトアルバム2を意識してるんじゃないかなと思いました。
幼馴染との甘い初恋の記憶と別れ
再会、そして別れ。
社会人となり、再会。
そして……
うん。まさに上記の2つの作品を足して2で割った感じです。
そして上記の2つは見てて鬱になること間違いなしのような作品です。
間違ってもUs:trackの公式にあるような内容ではありません。
故に2chは大荒れし、批評空間もすごいことになっているのでしょう。
が、僕はこの作品を恋愛ゲームでなく、一つの作品としてみたい。
主人公、国見とヒロイン、星奏
この二人は恋愛ゲームとしての主人公とヒロインという枠で見るのではなく、小説のような物語のキャラクターとしてみると非常に魅力のあるキャラクターなのです。
國見の星奏への気持ちはもはや呪いのように彼の人生を縛り付けています。
彼の根幹はもはや星奏無しにはありえない程に。
そして、星奏は國見の事がとても大好きで、大切で、
けれど、それでも彼女は作曲家で。
芯が強く、一度決めたらその決意は決して曲げない、そんないつもはホンワカしている彼女は音楽にどこまでも全力だったから。
悲しいくらいに全力だったから、國見ではなく音楽を彼女は選び続けたのでしょう。
國見を最後には苦しめるとわかっていても、故郷に帰り、彼と過ごし、そして、作曲に必要な何かを得たのなら、彼のもとをさり、そして作曲を続ける。
はい、書いているだけでも本当にひどいヒロインですが、そんな彼女も日常のシーンではかわいらしいシーンも多く、茶目っ気もあり、そして、主人公の事を愛し続けていることは伝わるのです。
そして、そんな彼女だからこそ、主人公は全力で彼女を好きでい続け、彼女に並べる人間になれるよう、唯一の才能である執筆に熱を注いで何度も本をだし、彼女にメッセージが届くよう、本を出版します。
彼女は二度と合わないと手紙にかいた。
彼女の決意は固く、そう宣言したからにはもう自分の前に現れることはないと彼は思う。
けれど、
それでも國見は小説を書き上げ、その物語に彼女へのメッセージを載せる。
彼は27歳になった。
もう決して若いとは言えない。
けれど、もう少しだけでいいから、彼女を追いかけたいと
そして、彼のメッセージ
自分と星奏は似ていると
全力で何かを追いかけていた。
彼女は音楽を
自分は彼女自身を
が、彼女はどうも、作曲家として、もう、才能は枯れてしまっていたらしい。
國見が手に入れたその後の彼女の曲は…薄っぺらいものでしかなく、業界でも話題になることはもうなかった。
そして彼も、幼いときから彼女の幻影をどこかに求めて生きてきた。
が、その思いは報われず、彼女の事を調べても、彼女の手をつかむことはもうできなかった。
けれど、
それでも彼は自分のそんな、醜くて、報われなくて、そんな人生でも、輝いていたと肯定する。
だって、自分は全力だった。
かっこ悪くても、それでも、全力で彼女を追いかけて、生きてきた。
だからこそ、何故星奏が手紙の返事をくれなかったのかもわかったそうだ。
彼女は、ただ、自分が全力でやるべき事に対して全力だった。
そんな彼女が最後には彼に二度と合わないと手紙に誓った。
それだけ重大な決意なのだと彼も受け止めた。
が、それでも
國見洸太郎はメッセージに込める。
どこかげ彼女がその本を手に取り、気づいてくれると信じてその言葉を全力で叫ぶ。
「あなたに会いたい」
「あなたが好きです」
そして
いつかの思い出の場所
桜の舞うあの場所で 彼女は彼を見つけた
って感じの話とキャラクター設定な訳でして。
とにかく國見も星奏も1人のキャラクターとして確立されていたのです。
1人の女の子に全力な愚かだけれどもまっすぐな少年と、音楽に全力で、自分勝手だけれども、寂しい時には自分を好いてくれる人のそばにいたかった女の子。
どちらも非常に魅力的なキャラクターで、話もBGMとあいまって、とても楽しかった。
なんで長々とこんな感想もといプレイ日記を書いてるかって、僕の心にはこの作品がとても響いたからなんですよね。
ブログ作ってネットで上げちゃおうと思うくらいには。
今はやりおわったばっかで頭の中がぐちゃぐちゃなんですが、ほかにも色んなテーマやメッセージ、
感動のはいった作品だったんだと僕は全力で叫びたいから。
とにかく糞ゲーではないです。
恋愛ゲームとしては問題はありますが、切なさや心を揺さぶるなにかを得たい人ならこのゲームをプレイする価値は必ずあると僕は叫びたいですね。
ちなみにこのゲームで一番の評価ポイントはBGMって説を僕は信じたいですね。
動画で直接感想をたれ流したりもしてるので暇があったら見てくださいな。
https://www.youtube.com/watch?v=aghj5CaGqkc
それでは!お疲れさまでした!
この記事へのコメント
盛り上がってるからちょっと調べてみたけど・・・
なんでこんな叩かれてんのこれ
売り文句からユーザーが期待してるのと違ったんだろうなぁ
男女逆だったら相当ヒドいことしてますよねw
メインじゃなくてサブヒロインでやれば1ルートとして納得はしないまでも荒れはしなかったと思う
メーカー1作目なのにストライク確実に取らずに頭にデッドボールって感じ。
次回作の予約数とかにだいぶ影響出そうですね
管理人
作品に対して色んな視点を持って楽しめるかどうかによると思います。
純粋に主人公に自己投影してイチャラブゲーを楽しみたかった人からすれば糞ゲーなのは間違いないです。
ただ、一つの作品として、物語としてみれば、切ない國見君の生きざまに心を揺さぶられて楽しめますよ。
悪いところばかり探して叩くか、いいところも探して楽しんでみるか、そういったスタンスの違いでこのゲームの感想は変わってくると思います。
公式に騙された!星奏は糞!という怒りの声が多いのも勿論わかりますが、今回叩かれるべきモノがいるとすればそれは公式の広報の仕方かと思います。
期待が高かっただけに「騙された!」と感じた人の不満が爆発しているのだと思います。
後、恋愛ゲームはアングラ界寄りなものなので、2chで一度叩かれ始められるとどうしても批判寄りの意見ばかりが目立ってしまうのだと思います。
管理人
まさにそれですね。
星奏ルートのシナリオは悪いものでは決してないですが、このメーカーの一発目の作品としてはやるべきではなかったかなと。
僕は次回作もワクワクしながら買いますが、近年のゆずソフト等のイチャラブゲーがウケてる恋愛ゲー業界なので、次回作を予約してくれる人は激減しそうだなーと。
※念のため書きますが、ゆずソフトのゲームは大好きです
気持ちはすごい良くわかります。私は苦痛が気持ちいいぐらいな心地ででプレイしていましたが、やっぱり最後に幸せが欲しかった。
でも、明らかな再開の明示は作品の雰囲気とはそぐわないかなぁとも思います。最後のシーンで解釈の余地が有るだけで救われた気持ちです。
管理人
でも、明らかな再開の明示は作品の雰囲気とはそぐわないかなぁとも思います。最後のシーンで解釈の余地が有るだけで救われた気持ちです。
そうですね。僕も作品の終わり方として考えれば最後に明確な再会を表現しないほうが星奏ルートの雰囲気には合っていると思います。
ただ、それでもやっぱり、もし再会した二人が長い旅の終わりにどんな言葉を交わすのか、それを自分の想像ではなく作者の表現で見てみたかったなと思ってしまうんですよね…
管理人
あなたの感想が見れただけでもこのブログやってよかったなあと思いました。
僕も初恋の切なさってコンセプトにはどうも弱いようで…。
星奏視点の番外編をやるか、シナリオの中で星奏の人生を彼女自身の口から語らせるかでもっと、だいぶ違った受け取られ方をしたんじゃないかなと僕も思いました。
よい作品ですが、やっぱり粗削りな部分は否めないので。
一万払って糞女に振り回された男が主人公でしたとかいうつまらん結論突きつけてるだけの作品を評価出来る訳ないんだよなあ
初恋の切なさ等は出ていて作品としては良かった
要はこういうわけわからん事を言う癖のある人間向けってことだろ
萌え豚には分からないだろうなぁ的な
意識高い系に通ずるものがある
管理人
実際に叩いている人の多くはこのゲームに公式サイトのうたい文句のようなまぶしい青春と可愛いヒロインを求めていた人が多いと思います。
が、それを求める人を萌え豚とひとくくりにするのは確かにレッテル張りになるかもしれません。それが不快だというのなら謝りましょう。
>>一万払って糞女に振り回された男が主人公でしたとかいうつまらん結論突きつけてるだけの作品を評価出来る訳ないんだよなあ
その糞女に振り回された主人公の生きざまがなんか、こう、いいなって思う人もいるわけで、感想は10人10色。
なんと言われようと僕は楽しかったですよ。
意見が批判に偏る一方で管理人のような感想も見れてとてもよかった
炎上の論点(?)はストーリーそのものというよりも、これジャンル詐欺やんといったレビューやコメントが多かったからストーリーそのものを掘り下げた感想というのはとてもありがたい
奇を衒った感想が欲しいわけじゃありませんが、次もこんな新鮮味のある感想期待してます
こんだけ荒れたんだし、もう少し経ったら安くなったりしませんかね?(笑)
このゲームを始める1か月前に、マンガ、アニメ化された「君のいる町」を熟読したのですが、星奏が「君のいる町」のヒロイン枝葉柚希になんとなく似ている感じを受けました。「恋×シンアイ彼女」は、プレイヤー視点=主人公視点なので、ヒロインの心理描写が文字として少なく行間「・・・・」などの表現の時は、星奏の顔の表情、声優の声などに注意しながら、どんな内心かを想像しながら読み進めるのが楽しかったです。ラスト付近の星奏が主人公から離れた後の活動で、「手に入れるのさえ苦労したその曲を聴いてみても、俺にはあまり良いものとは思えなかった。何かが空虚で、ウソ寒かった。」って箇所で、星奏は自分から主人公と決別してから、自分にとって何が一番大切かを理解したのかな?個人的には、ラストにおいて 逆の構図を見てみたかったです。
例えば、主人公が御影町を離れて、作家活動をしながら世界各地を旅している。そこへ別れた後に出版された主人公の書いた本を片手に、星奏が追いかけてくるような。
管理人
僕も2chを適当に眺めていたらスレの勢いが半端ではなく目がうろこになりましたw
一か月後には4000円は切るんじゃないかと思います。
僕が昨日ソフマップに行ったときは中古でもさすがにまだ6980円でしたが参考までに。
管理人
星奏が逆に主人公を追いかけてくるっていうのも面白そうではあるんですが、それだと音楽に全力をかけ、二度と合わないと決意した星奏のキャラクターが崩壊してしまうので、主人公を追いかける姿ももちろん見てはみたいんですが、それは違うなと個人的には思います。
ただ、言いたいことはよくわかります。
最初は主人公が追いかけているのに気が付いたらヒロインが主人公を追いかけて主人公はヒロインを置き去りにしがちで前へ前へ進んでいく作品とか僕は好きなので。
具体的に作品を上げるとガンダムXのガロードとティファあたりとか
わざわざ星奏と似たタイプの精華を使って星奏の主人公への気持ちを代弁させてる様な演出とか…結局言えない星奏より言えちゃう精華の方がかわいく感じちゃうし
そして何より「お前はアルファコロン」てタイトル ← 狂気しか感じない
全体的には楽しめたけどね
管理人
わざわざ星奏と似たタイプの精華を使って星奏の主人公への気持ちを代弁させてる様な演出とか…結局言えない星奏より言えちゃう精華の方がかわいく感じちゃうし
精華ちゃんルート追加はよとプレイした人の大多数が感じたと思います。
星奏からの説明を徹底的に排除したのは個人的にはありかなと思います。
ルポライターとして彼女を全力で追いかけた果てにようやく彼女の事がわかり、それが最後の國見君の泣ける独白へと繋がっていたので