高校生の趙(仮名)は、何かと理由をつけては両親にカネをせびっていた。同級生から勧められた「有名講師点数保証講座」へ内緒で通うためである。料金は高かったが効果は絶大で、数ヵ月後に趙は米国の大学への留学を見事に決めることができた。
実は、この「講座」ではカンニングが指南されている。人気があるのは、留学には高得点が必須とされているTOEFL対策の「講座」だ。提供している業者は検索で簡単に見つけられる。申し込むと、2500元(約5万円)から1万3000元まで、さまざまなコースを提案される。高いコースでは、スマートウォッチの機能を備えた腕時計が渡される。安いコースでは、下着の中に隠し持つことができるライター大の携帯電話だ。いずれも試験会場に備えられた金属探知機に引っかからないよう加工済みである。試験中にチェックをパスしてトイレへ行くと、ショートメールで解答が届いている、という寸法だ。解答は時差を利用して、海外会場から仕入れているという。
もっと確実に高得点を取るには、替え玉受験という手もある。受験票の写真を粗くし、やや似ている人物に受験させる場合は1万5000元、試験監督まで抱き込む安全な方法は8万元だ。
さらに、留学希望先の大学に出す論文や経歴書などを、選考に通過しやすいよう丸ごと偽造してくれる仲介業者まである。
この動きを受けて、米国側も対策に乗り出した。5月には不正な手段で合格通知を手にした中国人留学生が15人も摘発され、最高で懲役20年の刑を受けた。だが業者は次々と新しい手口を編み出し、今や不正留学仲介の市場規模は50億元にまで達しているという。
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